0348・武器の話と第7エリアの再攻略
「それで、さっき言ってたボスが違ってたっていうのは嘘じゃないんだね?」
「そもそも私が嘘を吐く理由が無いし、昨夜調べたから間違い無いよ。行きたくないのは分かるけど、行かないと先には進めないから諦めて明日行こうか?」
「またあの寒いトコへ行くのかと思うと嫌になるねえ。ま、ミクの言う通り、行かなきゃ先に進めないから行くしかないんだけどさー。あれほどの奴を用意しておきながら実はボスじゃないとか……」
「ガックリくるのはよく分かるけど、それでも行かなきゃ仕方ないんだから諦めなさい。それよりもミク、私達の武器が随分と壊れたんだけど、それは何とかしてもらえるの? 流石に言っていた熊も弱くはないでしょうから、悪くなっている武器じゃ厳しいわ」
「今作成中……いや、終わったよ。とりあえず食事が終わったら渡すから、代わりに使ってたヤツは回収ね。あっても仕方ないから、壊して第7エリアの海にでも捨てるよ。アレッサとティアには今の内に渡しておくから」
そう言って、食事の終わった2人に武器を渡していく。ウォーアックスは既に渡したが、他にも様々な物を渡していき回収していると、シャル達の食事も終わったようだ。
「あたし達も食事が終わったから渡していくよ。昨日の巨人は本当に強かったからね、ここまで武器が壊れても納得の強さだったし」
メイスなどもボロボロになっていたが渡され、代わりに剣と盾を渡す。今はそれだけしか作れていないと言うと、シャルは納得していた。昨日の矛やハルバードも回収しているので、既に壊す物として決定している。
「勿体ない気もするけど仕方ないね。その矛っていうのもそれなりには使えたんだけど、昨日の事を考えるとあたしも長柄を持った方がいいかな? 流石に相手が大きいと長柄じゃなきゃ大変だからさ」
「貴女ならグレートソードでも良いんじゃないの? 使った事はあるだろうし、そっちの方が上手く扱えると思うけど?」
「グレートソードを作っても良いけど、巨人の骨って重いんだよ。まあ、肉体がワイバーン製だから使えるだろうし軽量化はするけどね。それでも結構な重量になると思うから、その覚悟だけはするようにして」
「それは仕方ないさ。元々グレートソードは重い物だしね。それでも持ち運びは簡単に済むんだから、それで十分とも言えるさ。ウエストポーチ型のアイテムバッグが無けりゃ、持ち運びで苦労する羽目になる」
「普通は背負うか馬車で運搬させるかだものね、大型の武器は。貴族なら従士に持たせたりとかが一般的かしら。騎士団でもそんな感じだけど。そうそう、金砕棒だっけ? あれ使いやすいから作ってほしいんだけど……」
「矛と金砕棒なら既に完成してるよ。はい」
巨人の素材で作られた金砕棒を受け取って驚くカルティク。思っているよりも重かったからだが、長柄なのでそれが如実に来たのだろう。若干渋い顔をしたものの、威力としては上がっているので受け入れたようだ。
「あら? カルがそんな顔をする程に重かったの? 巨人の骨で出来ている武器は確かに重いけど……。そうだ、私は戟じゃなくて代わりに矛を受け取りたいんだけどいいかしら?」
「構わないけど、どうかした?」
「いえ、折角なら斬撃が出来た方が使い勝手が良いと思ってね。長柄の武器を使う相手は大きい相手ばかりじゃない? そうなると突く武器よりも切る武器の方が傷を与えられるでしょ。突きだと一点集中だもの、大した傷にはならないわ」
「まあ、それはね。さて武器も渡し終えたし、あとはシャルのメイスとグレートソードぐらい? 3本の短剣は使ってなかったから壊れていないようだし」
「すみません! 私にも短い武器が欲しいです。解体用のナイフと練習用の杖ぐらいで、短いタイプの武器がありません」
「あー……どうしようかな? ついでだから今度は短めの武器を沢山作ってみようか。昨夜は巨人を27体殺したし、素材はかなり余ってるんだよねー」
「「「「「27……」」」」」
セリオが干し肉を欲しがったので食べさせながら、ミクは本体で色々と作る事にした。鉈、片手斧、鎌、ケペシュ、球形メイスなど色々な物を作り始める。
ケペシュというのは古い剣で、先が鎌の形状になっている剣だ。膨らんだ形の外側で切ると大きな切り傷を与え、内側の刃で断ち切ったり相手の盾を引っ掛けて剥がしたりする。
色々な物を作っているものの、相変わらず剣などは作らないミク。中途半端な武器は好きになれないので、自分で作る事は殆どない。誰かに頼まれた時ぐらいだろう。ケペシュは作ってみたいから作っているらしい。
武器も渡し終えているので話を止め、ミク達はギルドへと行く。昨日ラーディオンに言われていたからだ。そう思ってやってきたのだが、規定人数に達していなかった為に先延ばしになったらしい。
次の予定が未定に変わったのでミク達は宿に戻り、部屋に入って防寒具を着る。もう一度着なければいけない事にアレッサとティアが文句を言っているが、仕方ないと言って諭す。第8エリアに行けないのだから頑張るしかない。
励ましながらダンジョンへ行き、今日も第7エリアへの魔法陣に乗って転移。中に入るとすぐに走る。2階を越えて3階に到達すると、猛吹雪が吹いていたので再び雪を掘る。
2本の棒を表に出したら間にセリオが立ち、壁がせり立ったら走って進む。<ユキフラシ>が居たのでさっさと接近し、武器を振るって切り裂いていく。重くなったものの切れ味と威力は高く、今までよりも簡単に切り裂く5人。
イリュとセリオは遠くから【火球】を放っており、<ユキフラシ>は身をくねらせながら苦しんでいる。今までなら雪を飛ばしてきたのだろうが、それよりも早く切り刻んで倒してしまった近接組。
今回の速さに全員が驚いている。
「お疲れー。それにしても早かったわねえ。まさかこっちに雪が飛んでくる前に切り刻むとは……武器が変わるとこうも違うとは驚きよ」
「言いたい事は分かるんだけど、実際には使ってるこっちも驚きなんだよ。どうしたって重いんだけど、その反面ここまで切れれば十分過ぎる。今までよりも重いのは威力の増加と切れ味で目を瞑れるよ」
「本当ね。ここまでの武器だとは私も思わなかったわ。重いと使うのが厳しいんだけど、これは結果を出してくれる武器でもあるから仕方ないわね」
「普段はアイテムバッグに仕舞っておけば、持ち運びの重さで苦労する事もないしね。解体用のナイフでも戦えない事はないから、護身用はこれで十分よ」
「ナイフの切れ味とは思えない程に切れるね、コレ。流石はあの巨人の骨なんかで出来ているだけはあるよ。死体だけど、それでも凄まじい切れ味さ」
「ま、<ユキフラシ>も倒したんだし、さっさと進みましょうよ。ここで立ち止まっていても仕方ないし、寒いだけよ」
イリュの言葉を最後に、全員が走りだす。今日は第7エリアの攻略に来ているのであって、遊びに来ている訳ではない。それを思い出したのか、さっさと進んで行く面々。寒いという事もあり、余計に長居したくないのだろう。
【身体強化】をしながら6階。昼食での休憩時にミクはメイスとグレートソードをシャルに渡す。そして昼食を食べ終わると、破壊して粉砕した武器を捨てていくのだった。もちろん海に捨てているので邪魔にはなっていない。
そんなミクを見つつ、昼食の終わったシャルはグレートソードを持って確認をしていく。やはり思っているよりも重いみたいだが、それでも軽量化はされている。素材の所為で、されていても尚重いのである。
しかしそれだけの威力が出る武器であり、同時に使用に耐えうるだけの耐久力も有している。その事にニヤニヤが止まらないシャルであった。




