0340・第3エリアの検証
夕食が終わり、雑談も切り上げて部屋に戻ってきたミクとアレッサ。さっさと触手で持ち上げて綺麗にし、服を着せてベッドに寝かせる。狐の毛皮を敷きレティーとセリオを寝かせると、ミクもベッドに寝転ぶ。
後は寝静まるまで瞑想の練習をするのであった。
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部屋の中が寝静まるとミクは起き、ムカデの姿になってダンジョンへ。第3エリアへのショートカット魔法陣の上に乗り、オークの姿になって転移。中へと入ると、すぐにゴブリンを探して強襲する。
触手で貫いたら魔石を肉に埋め、本体空間へと転送してから引き抜く。敵を死亡させると同時に魔石を回収する方法で次々に殺害していく。大きなゴブリンも同じように始末し、5体目も無事に殺害。
ゴブリンキングが出てきたが、攻撃を受け止めてからの噛みつきで終了。首から上が喰われているのは、ある意味で通常のゴブリンより可哀想ではある。
期待していたアイテムバッグは落ちてきたものの、小型のアイテムバッグだった。もしかしたら階層が悪いのかと思い、ミクは2階に行ってゴブリンを倒す事に切り替える。
2階でも同じように魔石を得つつ殺害していき、大きなゴブリン5体を倒し終わるとゴブリンキングが出現。再び一撃で倒すも、落ちてきたのは小型のアイテムバッグだった。
(もしかしたら大型のアイテムバッグが落ちてくるのは初回だけ? まだ答えを出すには早計な気もしないではないけど、その可能性が高そうだなぁ……)
今度は3階に行って戦うも、やはりゴブリンキングを倒しても小型のアイテムバッグしか落ちてこなかった。今日はまだ時間がある為、今度は4階で戦い始める。
もはや意地になっていると言っても良かったが、それでも100体倒したのが良かったのだろう。出てきたのは、なんと大きなコボルトだった。どうやら4階からはコボルトが出現するらしい。
大きなコボルトはミクに対して【風魔法】を使ってきたが、即座に心臓を貫かれ魔石を奪われた。大して強さも変わらないので倒す方法を変える必要も無い。ミクにとってはその程度である。
それからも倒し続け、5体目の大きなコボルトを倒すと、予想通りにコボルトキングっぽいのが出てきた。こちらに向かって吠えるものの、その直後に首から上を食い千切られて死亡。呆気ない最後を迎えた。
そして上から落ちてきたのは大型のアイテムバッグであり、ミクはこれも一度きりではないかと考える。問題は2度目以降に何が落ちてくるかだ。
小型のアイテムバッグなのか、それとも中型のアイテムバッグなのか。そして、下の階で出るのは何なのかも気になる。もしかしたら9階ではオークキングが出るのではないかと、そういう予想もミクはしている。
そしてオークキングであれば中型のアイテムバッグが落ちてきてくれるのではないか。そういう期待も出来るのだ。
そろそろ朝なのでミクは戻るが、今日の検証はなかなか有意義だったと思えるのか上機嫌なようだ。しかし何処のエリアもそうだが、泊まりこみで攻略している者達が居る。
その者達に見つからずに狩り続けるのは、かなり大変な事だ。一応ミクは調べてから狩っているが、下に行けば探索者が寝ている可能性があり、そこでは500体を狩るのは難しい。
どうしたものかと頭を悩ませつつミクは<妖精の洞>の部屋に戻り、ベッドに寝転ぶと瞑想の練習をするのだった。
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翌朝。起きたアレッサに挨拶し、食堂へと移動。注文をして大銅貨を9枚支払うと、席について適当に喋る。今日はどうしようかなどと話していると、シャル達が食堂に入ってきて、イリュだけが真っ直ぐこちらに来る。
相変わらずだなと思っていると、朝も早くからティアとベルがやってきた。何かあったのかと思ったら、おまけでラーディオンもやってきた。本当にどうしたのだろうか?。
「昨日城に帰ったティアはともかくとして、小坊主は何しに来たの? 用があるとは思えないんだけど」
「昨日の第4エリア攻略が上手くいったのは良かったんだが、自分も行かせろという連中が五月蝿くてな。そちらが良いならば頼みたい。おそらくは後1回か2回で終わる。そこまで第5エリアへ行きたい者も多くないのでな」
「ふーん、まあいいけど。そうだ! 昨日も手に入れたから渡しておくよ。それとティア、大型を手に入れたから交換ね」
「昨夜も行っておられたのですか……。小型から急に大型ですが、ありがたく交換させていただきます」
「ちょっと待ってください! 何故こんなに大量のアイテムバッグをお持ちなのですか!? もしかして、手に入れる方法があるのでは!?」
ベルが五月蝿いので方法を教えると、意気消沈してしまった。
「ゴ、ゴブリンキング……ですか? それまでに500体のゴブリンを倒し、更に大きなゴブリンを5体も倒さなければいけないとは。とてもではないですが、無理です」
「多くの人で倒しても大丈夫なのかもしれないけど、倒せなきゃそこにゴブリンキングやコボルトキングが残るしね。その後始末も考えておかないといけないよ?」
「「「「「「「コボルトキング?」」」」」」」
「そう。昨夜4階で戦ってたら、100体のゴブリンを倒した後に出てきたのが、大きなコボルトだったんだよ。で、もしかしたらと思ってたら、案の定4階ではコボルトキングだった」
「それは分かったけど、何で4階に行って戦ったの?」
「最初に大型のアイテムバッグが出た後は、すっと小型のアイテムバッグしか出てないのよ。で、最初だけなら階層を変えてみたら出るかもと思って、下へと下りながらキング種を出していったわけ」
「それで4階まで行った結果、コボルトキングが出てきたと」
「そう。そして大型のアイテムバッグだったんだけど、これも最初の1回だけの可能性がある。それより下に行けばオークキングが出るかもしれないし、そうすると中型が出続けるかも」
「そりゃありがたいが、お前さんしか無理だな。オークキングなんて災厄レベルの魔物だぞ。普通なら簡単に倒したりできんし、そもそも該当のギルドが他のギルドに助力を乞わねばならん」
「それほどの相手なんだけど、ミクが居れば事足りるわね。ゴールダームでは他国のギルドに助力を要請する必要が無いわ。冗談でも何でもなく、あっさり終わるもの」
「まあ、そこは誰も疑わんし、むしろ周りの連中が邪魔にしかならんだろう。見ている奴さえ居なければ、手加減無用になれるんだろうしな」
「それはね。それよりも第5エリアに人を送るのはいつ? もしかして今日?」
「いや、次は明日だが……それがどうかしたか?」
「なら、今日中に第7エリアを攻略しようか? もう9階まで到達してるし、あそこはおそらく2体以上いる<ユキフラシ>を倒せば先に進めるよ」
「大量の雪が降る猛吹雪地帯だったんでしたっけ? ですが、最後の最後にまたそれだとは思いませんでしたが」
「もう第7エリアの攻略すら完了するのかよ。お前さんが来てからどんどん更新されてるが、こりゃ本当にゴールダームのダンジョンが完全に攻略されるかもな」
「されるかもじゃなくて、攻略”する”んだけどね」
「ああ……まあ、何が立ち塞がろうと攻略は可能か。最奥に何が居るのか知らないが、お前さんだけだと確実に帰ってこれるだろうしなぁ」
最強の肉塊が滅びたり死ぬ事はない。そんな事はあり得ないし、そのように作られてはいないのだ。




