表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
344/1113

0339・フィグレイオとエルフィンについて




 「近衛は少数精鋭だし、そもそも王を守る部隊だ。根本的に役割が違うんだけど、何でその近衛を将軍にするのか分からないね。あたしは元々将軍だった、つまり軍の者であって近衛の奴には詳しくないんだよ」


 「今の王が近しい者を送り込んで、軍を掌握しようとした? その割には軍から反発が無いのが不思議なのよねえ。他の将軍と取り引きしたか、もしくは他の将軍もうとんでた?」


 「まあ、うとまれてるっていうのはあったと思う。良い悪いは別にして、あたしは実績を出してきてるからね。他の将軍達の功績は、あたしに比べれば低い。言い換えれば、それだけ危険な戦いに駆り出されてきたって事なんだけど」


 「とはいえバカは嫉妬するでしょう、自分は安全な所にいる癖にね。それはともかく、その新体制は上手くいきそうなの?」


 「さて、どうかね? オールドム侯爵はそれなりに熟すとは思うけど、内務と宰相じゃ違うからねえ。果たしてオールドム侯爵が嫌われるのを覚悟で、宰相の職務を全う出来るかどうか……」


 「そういえば元の宰相は国の悪い部分を担っていたのでしたか。国には酸いも甘いも、清濁の両方が必要です。王が酸いや濁を担う訳にはいきません。だからこそ対になる方が必要なのですが……」


 「それは宰相じゃなくても良いんじゃないの?」


 「ええ。ですが地位が低すぎると反発が生まれるだけです。ある程度の者達を黙らせる地位というのは必要でして。良くも悪くも宰相という立場は、有象無象を黙らせるには最高の地位なのですよ」


 「まあ、王に次ぐ地位だもんね。そりゃ国の悪を担当しても周りは黙るしかないわよねえ。そのうえ、まともな奴からすれば濁を担当している事ぐらい分かる訳だし」


 「問題は世襲で継いだだけのバカな奴等さ。そいつらはバカなだけに騒ぐんだよ、己がマヌケですとアピールするようにね。ただ、国としてはそれだけで切る訳にも没収する訳にもいかない。それじゃ恐怖政治になっちまう」


 「恐怖は反発や裏切りしか生みませんので簡単に行う訳にもいかず、しかし愚か者は無駄に騒ぐ。頭の痛い問題ですが、我が国もフィグレイオもある程度は減りましたので……」


 「そういう意味では楽になってると思う。ただそれでも、この先どうなるかは分からないね。上手くいけば、国は新たな形になるんだろうさ。ただ、失敗すると粛清の嵐が吹くかねえ。多少だろうけど」



 話の最中だがミクとカルティクは夕食の注文に行き、ミクが中銀貨を1枚払って終わりとした。席に戻って雑談に参加するも、ティアは慌てたように席を立つ。



 「どうしたの、ティア? 何かあった?」


 「ミク殿から頂いたオリジナルの魔道具を、陛下にお渡しするのを忘れるところでした。今からすぐに言ってきます!」



 そう言って<妖精の洞>を出て行ったティア。1人で行かせても大丈夫な程度の実力はしているし、ミクが生命反応を感知しているので、何かあっても助けるのは容易い。なのでそのまま見送った5人。



 「ま、フォグレイオの話は予想とか想像にしかならないから、この辺で置きましょう。それよりイリュディナ、エルフィンの方はどうなったの?」


 「それなんだけど、どうも神聖キルス法国から軍が出発したそうよ。小国家群の辺りからも出発したようだし、続々と軍隊が迫ってるわね。エルフィン側は知っているのか知らないのかは不明」


 「つまり、周りなんて気にせず争ってる可能性があんのかい。今まで国家の舵取りなんてした事ないからだろうけど、マヌケに過ぎないかねえ、エルフィンのお坊っちゃんとお嬢ちゃん達はさ」


 「上に立つ者が不在で争ってるからねえ、誰かが上に立とうと思っても収拾がつかないんじゃない? 国家の危機なら、その危機を人質にとって上に立とうとしてるんでしょ。マヌケなんてそんなものよ」


 「それって普通に国家を人質にとってるわよね? この先それでついてくる者が居ると思ってるのかしら。今は譲って、やっぱり駄目だったから自分が立つとした方が良いと思うけど」


 「それは駄目だね。譲った段階で処刑されちまう可能性が高い。今争ってる王子や王女は、ある意味で死にたくないから争ってるのさ。自分の地位を脅かす者は始末するのが権力者だからねえ」


 「あれは駄目ね。賭かってるのが自分の命なら、絶対に引かないわ。引く訳がない。思っている以上に泥沼だけど、悪い意味で腐ってた国は内部から壊れるのが一番よ。自分達の国がどれだけ阿呆だったか知るでしょう」


 「エルフィンのエルフは異常にプライドが高いからね。圧し折る意味でも丁度いいと思うわ。纏めて叩き潰すべきでしょう、国もバカなプライドも」


 「そもそも自分達が世界で一番だって本気で思ってるのよ。とんでもない田舎者としか思えないわ。世界の広さも知らない田舎者の戯言たわごとよね?」



 シャルとイリュとアレッサが「うんうん」と頷いているが、ミクは適当に聞き流している。何処かの青い星にも、中華とか自称したマヌケな田舎者が居るのは聞いていたからだ。


 そもそも自分達が星の中で一番優れている、あるいは星の中心など、何も知らない田舎者ぐらいしか言わない言葉である。それを言い出したのだから、随分なマヌケとしか言えないだろう。


 それはともかくとして、夕食が運ばれてきたので食べつつ今日の話を始める。



 「今日の引率は上手くいったと思うんだけど、あれでいいのよね? 何か今回だけじゃなく、次も言い出してきそうな気がするから、今日ので良かったのか聞いておきたいの」


 「まあ、良いんじゃないかと思うよ? そこまでどうこうって事もないだろうし、参加者を突破させればいいだけだしね。後はあいつらの事であって、あたし達が言われる事でもないさ」


 「エクスダート鋼の材料を取りに行かせるのはいいんだけど、あの参加者たちはマッスルベアーやスチールディアーに勝てるのかしら? 勝てないなら意味が無いのよねえ」


 「それならランサーブルを狩って金稼ぎってトコじゃないかい? それで良い武器を買ってマッスルベアーかスチールディアーだろう。もしくはミクが渡したアイテムバッグを中心にして、合同チームを組んで狩るか」


 「分配しても小金貨1枚は大きいものね。ミクみたいに干し肉にすればそれなりの値段で売れそうだし」


 「値段が下がっても大銀貨8枚ぐらいでしょ。合同チームを組んでも余裕で儲かるわよ」


 「なら後はアイテムバッグを増やすだけかね? あたしは大型になったから、次に大型が出たらティアか。中型で十分な量が入るから、実際には中型で十分なんだけど」


 「とりあえずミクが行ってみて、再びアイテムバッグが出てくれば良いんだけど……」


 「そこは分からないね。昨夜2つ出しただけだし、ゴブリンキングが出てくるまでに時間が掛かるから」


 「500だからねえ、あたしなら出てくる前に飽きて帰るよ。っていうか、ミクは昨日だけで魔石を1000個も手に入れたのかい?」


 「そうだけど?」


 「………冗談じゃないのは怖ろしいわね。もしギルドに流したら、魔石の価格が暴落するから止めてちょうだい。流石に実力の低い探索者の実入りが悪くなるのはマズいわ」


 「別に流す気はないよ。使い道は色々あるし」



 ミクの言う使い道とは、魔法を使う際の補助だ。魔石の魔力を使って魔法を使う事は出来ないが、補助として使用する事は可能なのだ。実際には頑張っても3割が限度であるものの、それでも魔力の消費量は減らせる。


 実際そうやって魔石を使い、儀式魔法は使われている。とはいえ僅かな補助にしかならず、殆どは己の魔力で使う必要があるのだが……。


 理由? 使う魔力が多すぎて、それを賄える魔石など流通していないからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ