0333・複製と魔石集め
夕食を終えて部屋に戻ると、ミクはすぐに2人を綺麗にする。その後はベッドに寝かせ、ミクは狐の毛皮を敷くとベッドに寝転がる。
「今日はなんだか早いわね? 何かあったの?」
「何かじゃなくて、魔道具を複製するから早めに寝転がろうと思っただけだよ。今から本体空間に送って色々調べないといけないからね」
「ああ、そういえばそうだったわね。それじゃミードを出しておいてくれない? あと、何か適当な肴も」
「樽と……ワイバーンの干し肉にチーズモドキ、後は海老の干し身と蟹の干し身ね。じゃ、私は複製に取り掛かるから」
「ういうい。こっちは適当に飲んでるね」
『僕も飲む! だから食べる!!』
「別に無理に飲まなくてもいいんですよ? 食べたいだけなら食べても構いませんし」
『じゃあ食べる!』
2人と1頭が椅子とテーブルの上に座り、お酒を飲みながらツマミを食べる。セリオも何だかんだと言ってミードを入れてもらい、それを舐めながら色々食べていくのだった。
『ワイバーンの干し肉が美味しい! 何だろう……肉が美味しい? 感じがする。亀の肉はジワーっと美味しい味が出てくるけど、ワイバーンの肉は肉が美味しい』
「………ああ、分かる。何ていうか、赤身の部分が美味しいのがワイバーンの肉ね。亀の肉は出てないけど、アレは確かに美味しい味がジワーっと出てくる感じなのよ。でも肉そのものの味じゃない感じ」
「………何となく分かります。ワイバーンのお肉は思っている以上に、肉そのものが美味しいですね。これはお肉を食べてる気になる干し肉で、亀のお肉は噛むとスープが出てくる感じでしょうか?」
「そうそう、そんな感じ。こうして比べてみると、色々とお肉の味って違うものね。美味しい味が出てくる肉もあれば、噛んでるお肉そのものが美味しい場合もある。本当に不思議」
『こっちの海老の身も美味しいけど、前に食べた蟹の方は匂いが凄いね。この匂いが美味しいよ』
「匂い? ………あ、本当だ。何か美味しい感じの匂いというか風味がする。っていうか、この蟹の身って普通に美味しいんだけど、これ何処の蟹かしら? 蟹の魔物に美味しいのって居たっけ?」
「確か前に何かミク殿が仰っていたような……? 何でしたっけ?」
「ミクー。この蟹って何処で出てきた蟹なの? 蟹の出てくるエリアって多くなかったわよねー」
「それは第6エリアで出てきた蟹だよ。ただし普通に出てくるヤツじゃなく、何度も海老を倒してると出てくる巨大蟹。そいつの身を乾燥させたのが食べてるソレで、前にも食べたでしょ?」
「へー……そうだっけ? ま、美味しければ何でもいいか」
聞いてきた割にはスルーしたが、ミクは助かったと思っている。あの蟹を出すのは面倒で、なかなか骨の折れる作業なのだ。その甲斐があると思える程に美味しいのだが、他の人の為にするのは面倒なのである。
いちいち面倒臭い事をしたくなかったので良かったと安堵しつつ、ミクは魔道具の骨子を調べて複製の足掛かりにしていく。全てが明らかになれば、後は複製を作るだけとなる。
◆◆◆
2人と1頭が泥酔して寝てしまった後、ミクは触手でそれぞれをベッドに寝かせつつ、複製を作っていく。既に解析は終わっており、後は作成するだけだ。同じ物を作るならそこまで素材も必要としない為、さっさと作って終わらせる。
ミク達の分と、シャル、イリュ、カルティクの分だ。いちいち言われると面倒なので先に作っておいたのだが、間違いなく知れば言ってくるだろう。それは横に置いておくとして、ミクはムカデの姿になって窓から外へと出た。
そしてダンジョン前まで移動し、オークの姿になって第3エリアへと転移。第3エリアへと到着すると、困惑するゴブリン達を手当たり次第に始末していく。目的は心臓付近にある魔石だ。
触手を突き刺し、体の中にある魔石を引きずり出す。それだけで死亡していくので、次々にゲットしていく。相変わらず濁った汚い魔石だが、気にせず入手していき本体空間へ。
それを繰り返してゴブリンを虐殺していると、大きなゴブリンが現れた。コイツが前にカルティクが言っていたゴブリンだろう。ソイツはミクに対して吠えてから、一気に跳びかかるように殴りつけてきた。
ミクは抵抗せずに受けた瞬間、胸に触手を突き刺して魔石を抜き取る。大きなゴブリンの攻撃はミクに何の痛痒も与える事は無く、ミクの攻撃は大きなゴブリンを一撃で絶命させた。
大きかろうと高がゴブリンと最強の肉塊では、あまりにも差があり過ぎたらしい。あっさりと始末したミクは死体を放置し、更に多くのゴブリンを虐殺していく。
1階層が20キロ四方なので、ウロウロしていればゴブリンが復活しているのだ。なので生命力を感知しつつ、移動しては魔石を抜き出す事を繰り返す。
本体空間では一定量が溜まる毎に【浄滅】で綺麗にしているので、汚い魔石を残す気は無い。たとえ温度調整の魔道具といえど、ゴブリンの魔石をそのまま使うと何があるか分からず危険だ。
なので本体空間で綺麗にしているのだが、大きいゴブリンがまたもや出てきたらしい。結局一撃で倒されるのは変わらないのだから、無理して出てくる必要はないと思うが……。
そう思いながらもゴブリンを倒し続けていると、遂に怒ったのかボスのようなゴブリンが現れた。大きさは3メートルを超えており筋骨隆々、おそらくゴブリンキングとやらだと思われる。
そいつはいきなりミクに近付くと素早く殴りつけてきた。あえて回避しなかったものの、その一撃で多少飛ばされるミク。驚きではあるものの、仮称ゴブリンキングは間違いなく【身体強化】を使っている。
なのでミクを飛ばせるだけのパワーが出せたのだろう。とはいえ、その程度と言えば終わる話でもある。ミクは起き上がると、再び殴りかかってきた仮称ゴブリンキングの体を触手で受け止め、それと同時に頭を喰らう。
その一撃で仮称ゴブリンキングは死亡し、何故か上からバッグが降ってきた。それが汚れないように触手でキャッチすると、それは大型のアイテムバッグであり、ミクは困惑する。
(これってどういう事だろう? この仮称ゴブリンキングを倒したから手に入ったのか、もしくは何処かから飛んできた……。いや、飛んでくるのはあり得ないか。だったら仮称ゴブリンキングを倒した褒美か何か?)
気になったミクは再びゴブリンを倒し続ける。そして長く掛かったものの、再び仮称ゴブリンキングが出てきたので倒す。すると、またもや上から降ってきたものの、今度は小型のアイテムバッグだった。
これってアイテムバッグを大量に手にれるチャンスでは?。
そう思ったものの、もういい時間なので帰る事にしたミク。あの仮称ゴブリンキングの特徴を思い出すも、体が大きい事と【身体強化】をする事ぐらいしか特徴がなかったと思い出す。
説明するのが難しいが、体の大きさと【身体強化】で判明するといいなと思いつつ、ミクは<妖精の洞>へと戻って行く。既に本体空間では全ての魔石を綺麗にしており、部屋に戻ったミクは試運転を始める事にした。
色は付けていないので骨の色のままだが、白い球体の魔道具を取り出して、蓋を開けたらそこに魔石を入れる。ちなみに両方の魔道具には、台座の部分に<暖かい>と<冷たい>と書いてあるので間違わないだろう。
何処かの青い星では微妙に字が違うものの「自販機か!」とツッコまれるだろうが、この星には自販機なるものは存在しないので、そのツッコミは入らない。




