0327・久しぶりのワイバーンと干し肉
夕食を食べた後、部屋に戻ってゆっくりとする3人。セリオは食事の際に起き、すぐに食べ始めていた。寝起きで食べるのは良い事ではないものの、ミクの血肉を得ている為そこまで問題にもならない。
そのセリオは現在コロコロと転がって遊んでいる。レティーにぶつかる寸前で止まったり、あるいは押し合ったりもしているが、レティーはミクと同じく横にズラしたりしている。それが面白いのか更に押すセリオ。
それを見ながらミードを飲んでいるアレッサとティア。別に構わないのだが、干し肉とチーズモドキを肴に飲んでいるのは色々アレである。……おっさんかな?。
「なんだか妙にセリオが暴れてるわね。楽しいんでしょうけど、コロンと転がったりしてるのに諦めないし。何かの遊びみたいだけど、勝ち負けとか無い感じかしら?」
「単に押しているだけでは? 横に転がっているのはレティーが力を横に流しているからでしょうし、単に押しているだけでは駄目だと教えているのではないでしょうか」
「ああ、魔物の中には<ユキフラシ>みたいに、セリオを受け止められるのも居るからね。突撃だけで勝てればいいけど、それは難しいと言わざるを得ないわ。でも、その練習?」
「体を楽しく動かせれば何でも良いんだよ。重要なのは体を動かす事であって、別に何か意味が無いといけない訳じゃないからね。2人もそうだけど、能力自体は上がってる。でもそれ以上に鍛えられるから」
「セリオのやってる事は体を鍛えることでもある訳ね。それなら分からなくもないか。実際には突撃する際に必要なものでもあるし、走り回ったほうがいいとは思うけど……」
「それは本体空間でやったから、またしたければ言うんじゃない?」
『走りたいから、本体空間に連れてって!』
「走りたかったの? まあ、それなら好きなだけ走るといいよ」
そう言ってミクはセリオを肉で覆い、本体空間へと連れて行った。その後はアレッサとティアは飲みつつ雑談し、レティーは殆どの意識を手放し、ミクはベッドに寝転がって瞑想の練習を始める。
ある程度を飲むと流石に耐えられなくなったのか、アレッサとティアはベッドに寝転がり寝始めた。ミクは2人を触手で持ち上げて服を脱がせて綺麗にし、【浄滅】を使った後に服を着せる。
再びベッドに寝かせたら、後は眠るまで待つのだった。
◆◆◆
2人が眠った後、ミクはベッドにセリオを寝かせると、ムカデの姿になって窓から屋根に上り、ピーバードになってフィグレイオへと飛んでいく。
王都近郊のダンジョンにやってきたら第4エリア、つまり頂点の魔法陣にオークの姿で乗る。
フィグレイオのショートカット魔法陣は、中央の最初の魔法陣の周りに三角に配置されているのだが、右下が第2エリア、左下が第3エリア、そして上が第4エリアである。つまりワイバーンは第4エリアとなる。
その第4エリアに入り、一気に走って行ってボス戦。素早く接近すると、触手で首を切り落として倒す。その後、肉塊で覆って回収。本体空間で解体し、腸の中の糞などは捨てて行く。
本体はすぐに解体した物を分けて保管し、肉は干し肉へと変えていく。腸は脂などを抜くのだが、前に作った腸から脂を抜いた物、つまりかす肉と比べてどう違うかもチェックしていく。
分体は脱出すると即座に転移し、再び第4エリアに進入。すぐに走って最奥まで行き、再びワイバーン戦を始める。すぐに倒すと再び解体して不必要な物を捨てて脱出。再び進入していく。
途中からは肉や腸は必要無くなったので捨て、武器などに使える物だけ残して攻略する。15頭倒した時点で止め、さっさと帰る事にしたミク。
透明トカゲの能力も使っているので見られる事も無く、ピーバードの姿になったら飛んでいく。今回はドラゴンは見えなかったが、そのままゴールダームにまで戻った。
<妖精の洞>の屋根に降り立つとムカデの姿に変わり、窓から部屋の中へと戻る。全員が寝ていたのでミクもベッドに戻り、そのまま瞑想の練習を始めるのだった。
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翌朝。日の出と共にアレッサとティアが起き、そのすぐ後にセリオも起きた。日の出は早くなっているが、それでも昨日は沢山寝たので起きるのも早かったらしい。朝の挨拶をした後で【浄滅】を使い、部屋と全員を綺麗にしておく。
少々早いので雑談をし、時間を潰してから食堂へ。注文をしたら大銅貨12枚を支払い、席に座って料理を待つ。コロコロしているセリオに干し肉を出すと、喜んで食べ始めたものの何故か止まった。
『このお肉美味しいけど、初めて食べた! これなに!?』
「これは昨日の夜に狩ってきたワイバーンの干し肉。こっちも食べてみる? 味付けしてないと美味しくないだろうけど」
そう言ってアイテムバッグから麻袋を取り出したミクは、中に入っていたかす肉をセリオに食べさせる。脂の味が美味しかったのか、こちらもセリオは喜んで食べて「美味しい」を連呼した。
「確かにセリオの言う通りに美味しい味はするけど、わたしはちょっと脂が多いかな? しつこい感じがする」
「分かります。ちょっと脂が多くてクドい感じですね。ミク殿が言われる通り、煮込めば良い感じの食材だとは思いますけど、これ単体だと……」
そんな話をしていたら店員が料理を運んできてくれたのだが、ミクが持っているかす肉が気になったのか聞いてきた。なので教えると驚いている。そこまで驚く事かと思ったのだが、驚いたのは獣脂の事だった。
「獣を解体した際の脂は解体所の取り分なんです。それを解体所が灯り用の脂として売っているのですが、食べ物から手に入るとなれば脂代が浮きます。それに食べられるのなら、腸だろうが何だろうが食べますよ」
との事で、腸だという事は特に気にならないらしい。一番は食べられる物が増えるという事だそうだ。肝臓も心臓も食べられる事を言うと更に驚いたが、どちらも新鮮でないと食べられない事も言っておいた。
それと、途中から会話に参加していたアレッサとティアが、饅頭とブーリーの事も言っていたので、それも合わせて教えておく。もしかしたら食堂で出るようになるかもしれない。
この星では既に発酵させる事は知られており、パンも発酵させて作られている。二次発酵までしているかは不明だが、少なくとも発酵させた生地が売っているくらいなのだから、発酵の知識ぐらいはある筈だ。
他にもチャパティやフラットブレッドなどの種無しパンの事も言っておいたので、それらの物も食堂に出てくるだろう。ちなみにこの辺りではライ麦が無いらしいので、ライ麦パンは無いらしい。
既にシャル達も食事を終えて何処かへ行ってしまった。それぐらいに伝えるのに時間が掛かってしまったが、終わったので部屋に戻って着替える。防寒具を着て準備が出来たら出発。
いつも通り第7エリアへのショートカット魔法陣に乗り、中へと転移した。1階は未だに変わっておらず、猛吹雪は無く晴れたままだった。何故か<ユキフラシ>を倒しても夜のままだが、しかし晴れているので移動はしやすい。
壁も出たままなので歩いていき、池の近くにある階段から2階へと下りる。2階は南西へと進んで階段を下り、3階は壁が出ているので東北東へと進む。未だに階段は発見していないが、おそらく近くにあるだろう。
そう思って探していると発見。全員を集めて階段を下り、ついに4階へと辿り着いた。2階と同じく晴れた雪の地形を進んで行くも、おそらく北東の方だと当たりを付けて移動を開始していく。
初めての階層なので警戒しながら。




