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0029・昨夜の説明




 地下道を崩した翌日。朝日が出た時間に目を開けたミクは、出発の準備を整える。その最中に入り口のドアがノックされ、イリュとカルティクの声が聞こえたので、鍵を開けて入室を許可する。



 「ごめんね、朝早くから。といっても寝る必要は無いんでしょうけども。それはともかくとして、朝からというより昨日の夜から騒ぎになってるんだけど?」


 「空堀が何故か地下へと崩落したんですって。知ってるわよね? イリュディナが<風見鶏>の本拠地を教えたらしいし、あいつらが地下道か何かを使ってるって情報を渡したのは私だし」


 「まあ、そうなんだけど……そもそもカルティクの立ち位置ってどっち? ギルド側? それともイリュの側?」


 「私は元々イリュディナの側よ。ギルドの探索者になる前からイリュディナとは一緒だもの。私がギルドの裏調査員をしてるのは、腐った奴等を見つけ出すのと、その繋がりを見つける為よ」


 「こう見えてもカルティクはデュアルなの。【気配察知】と【気配隠蔽】の2つのスキルを持っているからね、非常に優秀だし、だかこそ探索者ギルドに潜りこんでもらってる」


 「そう言うイリュディナはトリプルよ。【魔力錬成】と【魔力隠蔽】、それと【念送】というスキル。【念送】は【念話】と違って一方通行みたいに送る事しか出来ないんだけど」


 「ふーん………ん? それをレティーに使ってみてくれない?」


 「えっ? ブラッドスライムに? ……まあ、今はミクの肉と血を食べて変わってるらしいけど、それをして意味あるのかしら。とりあえず、やれと言われたからするけども」



 そう言って渋々という感じで何度か【念送】を使うと、突然返事がありイリュはビックリした。まさかレティー、つまりブラッドスライムから返事があるとは思わなかったからだ。



 「うぇっ!? ブラッドスライムから返事があったんだけど! もしかしてこのブラッドスライムは自我があるの!?」


 『どうなの、レティー? 【念送】とやらは使えるようになった?』


 『………はい。おそらくこの部屋の中に居る2人にも私の言葉は伝わっている筈です』


 「!!!」


 「ね? 驚くよね! 本当にミクに関わると何でもありに変わっちゃうみたいなのよ。1000年以上生きてきたけど、想像も出来ない事って世の中にあるのねぇー」


 「いや、これは……。そもそもミク自体が想像の埒外な存在だし。………あっ! そうじゃない。地下道の話をしに来たのよ」


 「そこで大事になるのがレティーの存在。レティーは人間種の脳を吸収すれば、全てではないとはいえ記憶や知識を手に入れられる。昨夜もその事を説明したし、色々な奴の記憶を奪ってきた」


 『まずはカムラ帝国の暗部の連中でしょうか? 彼の者達は新型の毒の実験をしており、その実験をゴールダームのスラムでもやっていました。主が昨夜、大量にスラムの住民を喰らった理由です』


 「「!!!」」


 『勘違いしないように。主が喰らったのは、既に壊れた住民だけです。カムラ帝国の暗部の連中は、新型の毒の実験をしていましたが、それは自白剤の成分も含むものでした。そして本国での実験で、麻薬成分に耐性のある者が居たそうです』


 「そいつは毒の方で死んだらしいんだけど、麻薬成分が効かない可能性があるという理由で、耐性を持つ奴を探していたみたい。かなりのスラムの住民が、その麻薬を使われて壊れていた」


 「本っ当に碌な事をしない連中だ! 訳の分からない薬を他国の者で実験するとは。狂っているとしか思えない!」


 「投与されたスラムの住民は、ヘラヘラと笑いながら下から漏らし続ける者に成り果ててたね。どうも自白成分も上手く使えてなかったみたいだよ。耐性を持つかどうかより、量が多かったんじゃないかな?」


 『実験をしていた連中はそこまで理解していなかったようですし、どちらかというと開発者というより使う側。実行部隊の者という感じですね。だからこそ大雑把なのでしょう』


 「その後は<風見鶏>の所を強襲、さっさと連中を本体空間に転送したよ。もちろんレティーに脳を吸収させて調べた」


 『正直に言って調べる価値は薄かったですね。<風見鶏>には後ろ盾がありません。だからこそ連中は金の為に何でもやっていたようです。お金を貯めたら他国に逃亡する予定でした。連中は元探索者だったようですし』


 「成る程、他国に行って探索者のフリをするという事か。ゴールダームで探索者をやっていたと言えば大きな顔はできるからな」


 「そうなの?」


 「ああ。ゴールダームのダンジョンは危険度が高い事で有名だよ、第3エリアでさえアレだから。そもそも森の環境でゴブリンが出る、しかもそれが第3エリアというのは早すぎる。普通は見晴らしの良い所でゴブリンが出るのが先だ」


 「ゴールダームの平原は普通にランサーブルが出るもんね、アレだってあり得ない事よ。他国のダンジョンなら最終階層に近い所の魔物が第4エリアだもん。難易度が違いすぎる。それに他国のダンジョンにはショートカット魔法陣が少ない」


 「ふーん」


 「ミクには分からないだろうが、1度のダンジョンアタックで20階を突破するのは難しい。場合によっては30階を突破しなければならない場合もある。幾らダンジョンの1階層が狭いと言ってもな、その距離は大変だ」


 「それだけじゃない。眠りは浅いし疲れが溜まり、注意力が散漫になる。だから一気に突破するのは難しいの。昔カルティクと2人でやって、2度とやらないって誓ったくらいよ」


 「アレは本当にキツかった。ミクなら何の問題も無いのだろうが、普通の者だと体がボロボロになる。1度やったら3日は休まないと駄目だ。体調が戻らない」


 「話が横に逸れたから戻すけど、<風見鶏>を転送した後は地下道を確認。暖炉の先にあったから調べて、ゴールダームの西の森に出口があった。多分そこから麻薬を入れたり、違法な奴隷を外に出したりしてたんだと思う」


 「秘密の地下通路ね。崩落してる以上あったのは確定なんだけど、何で潰したの?」


 「そうすれば騒ぎになると思ったから。そして外から中へ入れられていると分かれば、中から外に無断で出されてる事も想像がつく。なら対処はするでしょう? 当然調べられる奴等も出てくるだろうし」


 「貴族連中まで届くかは難しいけど、スラムの正常化はされるかもね。まあ、私達の娼館は真っ当な経営しかしてないから大丈夫だけど」


 「スラムにあるだけで、元々経営はちゃんとしてるし税も払ってるからね。あそこは女性達を助ける為の場所だから」


 「それでも助けられない子は多いけどね。でも救えているだけマシだと思うべきよ。かつては本当に酷かったから」


 「昔の事は知らないけど、昨日あった事はこれで全部だね。そろそろ朝食を食べてダンジョンに行かないといけないんだけど、名前を上げてバカを誘き寄せた方がいいかな?」


 「名前が売れてくれば、良い意味でも悪い意味でも関わってくるわ。ただ、ミクならどうにでも出来るでしょうから、名を上げた方がいいかもね。お薦めは盗賊退治と、不良探索者の捕縛かな?」


 「そういえばゴールダームに続く道には盗賊が多いんだっけ?」


 「各国からは盗賊も来てるからね。他国から盗賊の事で文句を言われてるらしいけど、他国に盗賊の文句を言い返してるみたい。お前達の国の盗賊だろって」


 「まあ、それが事実だからね。そろそろ私も朝食を食べてギルドに行かないと。今日も監視の仕事だけど」


 「私は朝食後にカルティクが言ってた通り、ギルドに行ってみるよ、盗賊退治が割の良い仕事なら、盗賊退治を請けようと思う」


 「ミクなら盗賊を喰えるし都合が良いんじゃない?」



 それを聞いて、一気にやる気になるミクだった。どうも盗賊を捕縛する事を考えていたらしく、喰い殺していいという発想にならなかったようだ。


 不思議な事もあるものである。


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