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0322・若年部門・終了




 「準決勝第一試合………始め!!」



 先程とは違い、お互いに動かない。オドーの武器は盾と剣だ。剣は短めの物なのだが、盾が厄介と言えるだろう。迂闊に攻撃すると流され、その隙に懐に入られてしまう。個人戦で使われる槍は2メートルの物と2メートル50センチの物がある。


 <槍のグルム>が使っているのは2メートル50センチの物だが、それでも流して【身体強化】を使われると、一気に入り込まれてしまう。これで自分の武器を使うのであれば、盾を破壊する事も出来るかもしれないが、試合では無理である。


 なので<槍のグルム>も慎重に動く必要があった。オドーも同様で、迂闊な事をすれば簡単に負ける事は分かっていた。なので膠着状態になってしまい、お互いに動けない。


 それでも先に動いたのは<槍のグルム>だった。槍の範囲ギリギリまで近づくと、小手調べのように真っ直ぐに突く。それも顔を目掛けてである。慌ててオドーは盾で防ぐも、<槍のグルム>はすぐに槍を引く。


 構え直したものの、顔面に槍がきた事で焦ったのか、その場で立ち止まってしまう。それを見逃さず、今度は胴に向けて突きを出す<槍のグルム>。それを剣で弾くと、一気に【身体強化】で近付くオドー。


 しかし<槍のグルム>は腕を引き、槍の柄を斜めにして【身体強化】を使い前に出た。オドーは相手が下がると思っていたのか驚き、盾を構えてしまう。その盾の上から槍の柄で押し、オドーを倒す。


 素早くバックステップで離れると、オドーが慌てて立ち上がった時には、槍の間合いよりも離れていた。せっかくのチャンスが潰れた事により舌打ちするオドー。しかし<槍のグルム>は余裕の態度を崩さない。


 再び槍を突き出すと、またも剣で弾こうとしたオドー。しかし槍は途中で止まり、引き戻された後、今度は足下を薙ぐ。それはオドーの足に直撃して転び、気付けばオドーの首に槍が突きつけられていた。



 「勝負あり!! この試合の勝者はグルム!!」



 再び拍手と歓声が湧き、<槍のグルム>は周囲の観客に手を振る。オドーは負けてガックリしているものの、最後には笑顔で握手をして退場していく。そんな2人に観客からもう1度拍手が送られる。


 次の試合はどうなるのか、そう思っているミクの膝でセリオは寝始めた。おそらくお腹が膨れたからだろうが、結構色々な物を食べたりしていた。大麦パンなども食べていたので、1回の食事量ぐらいであろう。


 十分に食べたから眠たくなったのだろうが、何故かアレッサがセリオを抱いて自分の膝に持っていく。セリオは少し目を開けたものの、アレッサと知るや再び目を閉じた。随分と豪胆である。


 野生ならば誰かが近付いただけで起きるのであろうが、知恵がついたからか強くなった御蔭か。どちらにしても理性で冷静に考えられるようである。



 「第二試合はガルツォ対オルディアーラ! 両者は試合会場に出て来るように!!」



 まさかのガルツォ達だが、有利なのはオルディアーラであろう。ガルツォはロングソードだが、オルディアーラは<槍のグルム>と同じ槍だ。ロングソードも長いとはいえ、槍の長さに勝てる訳ではない。


 2人ともが出てきたが、どちらにも緊張は見えない。おそらく仲間内で手合わせなどもした事があるのだろう。お互いに相手の手を知っていれば、後は相手の読みを上回るだけだ。



 「準決勝第二試合………始め!!」



 ガルツォは下段に構えオルディアーラへと接近していき、それを構えて迎え撃つオルディアーラ。槍の範囲に入った瞬間突き出したが、ガルツォは下段に構えていた剣で弾き上げると同時に【身体強化】。


 一気に接近していき、上段から振り下ろす。しかしそれを半回転する事で回避したオルディアーラは、放していた左手でガルツォの顎を殴る。一応武器を持っていても、素手を使うのはルール上は問題ない。


 そしてその一撃で気を失ったガルツォと、まさかの展開に言葉も出ないオルディアーラ。どうやら、あの後の反撃手段は無かったらしく、距離をとる為に殴って怯ませるつもりだったらしい。


 それなら結果に驚くのも分からなくもない。顎へのパンチは角度と力の具合では、弱いパンチでも気絶する事がある。今回は偶然にも上手くいってしまったのだろう。そう思う事にした。


 気がついたガルツォは負けた事を知らされ愕然とするも、負けは負けなので大人しく握手をしてから会場から出ていく。



 「まさか、あのような結果になるとはな。試合というのは分からぬものよ」


 「ええ。小さな力であっても、最後まで諦めぬ事が肝要という事でございましょう」



 王と王太子も先ほどの試合は驚きだったらしい。確かに妙な偶然が重なると、ああいう結果が生まれる事もあるのだろうが、珍しい事だとは言える。



 「続いて若年部門の団体戦の決勝を行う! 両チームは試合会場に出てくるように!!」



 おっと、若年部門は既に決勝を残すのみだったらしい。若年部門というだけあって若い者達が現れたが、そこまで強そうには見えない。やはり経験など色々と足りていないからだろう。若さと元気しか見てとるのは無理だ。



 「若年部門、団体戦決勝………始め!!」



 若者達は元気良く前に出て戦うが、そこまでの駆け引きは感じず、力尽くで相手を倒そうというのがハッキリと分かる。槍の叩き合いもしているが、牽制などはなく叩きつけるのみだ。


 力と力がぶつかるので観客は喜ぶが、戦闘として見た場合は酷いと言わざるを得ない。ここから成長していくのだろうが、せめて若年部門でもしっかり技術を磨いてほしいものだ。



 「試合終了!! 勝者は赤兜チーム!!」


 「「「「「「「「「「おぉぉぉぉっ!!!」」」」」」」」」」



 観客が喜んでいるのはいいが、そこまで楽しい試合でもなかった。早々に見る気を無くしたミクは、<槍のグルム>の監視や周囲の者達の監視をしていた。と言っても何を喋っているかなどだ。


 それぐらいしか、やる事がなかったとも言えるが。



 「続いて若年部門、個人の決勝戦を行う。両者は試合会場へ出てくるように!!」



 若い2人が出てきたが、片方は剣と盾、片方は槍らしい。個人戦だから2メートル50センチの槍を持っているようだが、そこまで強そうには見えない。



 「若年部門、個人戦決勝………始め!!」



 剣と盾の方は突撃するが、すぐに槍の青年から突きが飛ぶ。しかし冷静に盾で流し、更に踏み込もうとするとバックステップで逃げる。しかし剣と盾の方は更に追い駆け、相手の懐に入った。


 そのまま剣と盾は【身体強化】らしきものを使用して突撃し、シールドバッシュで相手を倒すと、その首筋に剣を突き付ける。



 「それまで!! 勝者リチルジア!!」


 「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」



 名前が呼ばれた剣と盾の女性は全身で喜びを表現しているが、負けた槍の青年は悔しそうだ。まあ、槍の良さを出す前に完封された形なので仕方ない。あれが2メートルの槍なら対処できたのだろう。


 だが50センチが命取りになった形だ。槍も長ければいいという物でもない。上手く使える長さ、更には相手よりも多少リーチの差があれば良いのだ。それだけで有利に戦える。もちろん短すぎても意味は無いが。


 これで若年部門には決着が着いた。しかし、無差別の団体戦は疲れがとれているのだろうか? あの様子を見ていたが、人間種では回復していないだろう。一方が相当不利だな、と予想するミクであった。


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