表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
316/1113

0311・妙な女 その2




 夕食を終えて部屋に戻ったミク達は、適当に雑談をしながら過ごしている。眠るには少し早いのか、体などを綺麗にした後でダラダラしているのだ。レティーは既に微動だにしないが、セリオはコロコロと遊んでいる。


 アレッサはベッドで寝転がりつつ適当に話し、ティアはベッドに座って話している。ミクは興味無しとして、既に瞑想の練習を始めていた。そんな部屋にイリュがやって来た。



 「ミク、そろそろミードが無くなるんだけど、新しく作ってくれない? ちゃんとお金は払うから」


 「別に良いけど、払うならなるべく大銅貨を多めにして払ってくれる? 最近使う事が多くて、大銅貨だけなくなりかけてたんだよね。小銅貨とか中銅貨とかは余ってるのにさ」


 「あー、あるある。まあ、分かったわ、前回と同じ樽でお願いね」


 「了解、了解」



 イリュはミク達の部屋を後にしたが、ミードを再び求めてくるとは思ってなかったミク。そしてミードの話が出たので飲みたがるアレッサ。仕方なくコップに一杯分だけ入れてアレッサとティアに渡す。


 そう、何故かティアも欲しがったので、ついでに渡しておいたのだが、酒に嵌まると碌な事にならないと思うが……。



 「別に嵌まっている訳ではありませんわ。眠る為にでもなく、たまに飲んでみようかと思うくらいです。アレッサ殿のように飲むのが当たり前ではありませんよ?」


 「私だって当たり前じゃないっての。ここ最近は飲んでなくて、今日たまたまでしょうに。勝手に酒飲みに入れないでくれる?」



 アレッサが文句を言っているが、確かに言う通りではある。最近は飲んでいないし、今日はイリュが言いに来たから思い出したように飲んでいるだけだ。これでは酒飲みとは言えないが、むしろ良い事ではある。


 アレッサもティアもチーズモドキを食べつつ飲み、終わったら適当に寝転がる。アルコール度数が高いからか、既に良い感じで酔っているみたいであり、既に眠る寸前にまでなっているようだ。


 ならば素直に寝ればいいと思うが、何故か2人とも微妙に起きている。何故かは分からないが、ミクは瞑想の練習を再開した。



 ◆◆◆



 夜。ミクはムカデの姿になって窓から外へ出る。まず最初に行くのは妙な女の泊まっている宿だ。今も微妙に生命反応が動いているので、おそらく起きているのだろう。今の内に探れるなら探っておきたい。


 ミクは<妖精の洞>を出発すると、大通りの大きな宿へと向かう。それなりに高いが部屋が広い豪華な宿に泊まっているらしい。まあ、豪華といっても貴族が泊まるような宿ではないが。


 そんな宿の外壁を登り、妙な女の泊まっている部屋の窓に近付く。押して開き、つっかえ棒を使って固定するタイプの古い窓が主流である以上、音は漏れるしミクの聴覚には丸聞こえである。


 わざわざ部屋の中に侵入する必要も無いのだが、どうやら誰かと話しているようだ。声はそんなに大きくない事から、あまり聞かれたくない話題である事が分かる。



 「さて、そろそろ本題に移ろうか。あまり時間を掛けても仕方ないし、酔って頭に入らないなんて事になったらマヌケもいいところだからね。で、情報は掴めたのか?」


 「ええ、簡単に分かりました。あの3人組は割と有名らしく、適当に聞いても教えてくれましたよ。リーダーの名前はミク、ランクは11。スキルは何も持っていないようですね」


 「なんだ下らない。所詮はよくあるし、うん? あいつら第7エリアってところに行ってたんだろ? 何でスキル持ちじゃなく、スキル無しの連中がそこまで行けるんだ?」


 「さあ? 話を戻しますと、次に少女の見た目の者がアレッサ、これもランクは11。聞いたところ、【悪意感知】【罪業看破】【真偽判定】というトリプルでした。犯罪者の天敵と呼ばれてるそうです」


 「………エゲつないねぇ、特に【罪業看破】を持つとは思わなかった。アレを持つのは大抵クズに殺されるっていうのに、まさか生きてアピールしてる奴が居るとは……。驚くしかないね、こりゃ」


 「最後の1人はイマイチよく分かってません。何故か他2人と違い、口が重いんです。名前はティアでランクは7。スキルは【舞踊】【所作】【色気】だという事ですが、それ以外は碌に……」


 「そこまで分かれば十分だろう。他に何か必要な情報でもあるのか?」


 「いえ、出身がどうとかと聞くと、何故か濁されるんです。他の2人はハッキリ分からないと言うのですが……」


 「ふーん。まあ、戦闘用のスキルが無い奴等のチームが、何で第7エリアなんていう所に行ってるかは分かったかい? おそらく強い奴に連れてってもらったか、寄生したんだろうけどさ」


 「それが……あの3人組の他には、後3人しか第7エリアに行けていないようです。これはギルドで聞いてきましたので間違いないかと。依頼をするフリをして聞きましたので……」


 「で、そいつらは?」


 「1人はシャルティアというそうで、ランクは9。そしてもう2人が……」


 「2人が? 情報はさっさと言え」


 「<鮮血の女王>と<影刃>です。そして先の3人組は<鮮血の女王>の宿に泊まっています」


 「………という事は<鮮血の女王>が連れて行ったって事かい? それにしては、その後に3人で入っているのは不自然だね。ま、闘技大会に出てないならどうでもいいか。ちょいと<鮮血の女王>とはヤりたかったんだけど」


 「止めて下さい。<鮮血の女王>に手を出したとなれば、本国に何をされるか分かりません。アレは無視しておくに限る」


 「言われなくても分かってるさ、んな事は。とはいえレーグスも好き勝手してるみたいなんだから、アタシだって好き勝手してもいいとは思わないか? <鮮血の女王>じゃなきゃ良いんだろう?」


 「だから止めて下さい。幾ら貴女が4神将の1人でも、本国からの命令を無視しての独断は許されません。我々だって怒られるんですから、勝手な事はしないように」


 「チッ! アタシは別にグランセンドに忠誠を誓った訳じゃないんだけどね? 金を大量にくれるから従ってるだけさ。そこを勘違いするなよ。お前達は忠義だろうが、アタシは金だ」


 「分かってますよ。だから命令を守らないと金が貰えないって言ってるでしょう。それより酔いすぎですよ、そろそろ失礼しますから、早く寝てください。明日も試合なんですから」


 「ハッ! 【槍神の一撃】を持つアタシに勝てる奴なんて殆どいないっての。あのジジイとクソ女以外は可能性も無いさ。この<槍のグルム>様を舐めるんじゃないってんだ」


 「それなら良いんですけどね。まっ、私はこれで失礼しますよ」



 男はそう言ってさっさと部屋を出たらしく、ドアが「バタン」と閉まる音がした。少しの間、何も語る事は無かったので立ち去ろうと思ったが、不意に声を出す。



 「グランセンドはアタシを御せるとでも思ってんのかねえ、おめでたい奴等だ。アタシはいつだってアルハリの女だ。戦い、勝利する事を神に捧ぐ。それがアルハリの女の生き方さ、それを舐めてもらっちゃ困る」



 その後はベッドに寝転がる音がしたので、ミクはそっと離れた。アルハリというのが分からないが、おそらくグランセンドに支配されてしまった国の1つなのだろう。


 それはいいのだが、まさか神のスキル持ちだとは思わなかったミク。早速現れた神のスキル持ちと、どうすれば戦えるかを検討する。


 簡単ではないものの、向こうもこちらを調べさせているのだ。可能性として無い訳ではない。


 さて、どうしたものかと悩みながら、ダンジョンへと向かうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ