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0309・第7エリア・2階




 第7エリア1階を進み、階段から2階へと下りる。すると、2階には雪が積もっていたが、猛吹雪ではなかった。カラッと晴れており陽射しが照り付けている。その割には風が冷たく、雪が解けるようには感じられない。


 そんな環境の中をミク達は歩き出す。何故雪の下を調べないのか? それはこの階層には目印が沢山あるからだ。木々があり、更には起伏もあるので目印には困らない。なので雪の下を調べる必要はないと判断した。



 「2階は晴れてるし目印となるものは多いし、随分と1階とは違うわねえ。こうなると、1階の難易度が猛烈に高い気がするんだけど、あれは試練だと考えた方がいいかな?」


 「最初に難関を持って来て、実力不足を弾く感じでしょうか? 分からなくもありませんが、自分がされると腹立たしいですね」


 「まあ、あれは大変だったから納得が出来ないのは分かるよ。実際、雪の下なんて普通は調べないし、あんなトコに隠している時点で相当に性格が悪い。気付かない奴は、ずっと気付かないだろうし」


 「そうよねえ。何よりあれって唯の棒だから、ミクでも簡単には見つけられないのよ。魔力も気配も生命反応も無いから。逆に言えばスキル持ちでさえ、アレを発見するのはスキルを持たないヤツと変わらない難易度なのよね」


 「確かにそうですわね。スキル云々に関わりの無い能力を求められるという訳ですか。それでもアレに気づけというのは酷だと思います。普通は掘り返したりしませんよ」


 「そうよねえ。いったい誰が見つけると想定してたのかしら? それとも誰も見つけられないだろうと、あんな所に設置したのかしらね」


 「この階層にも何かあるかもしれないけど、見つけられないなら見つけられないでいいよ。面倒臭いから」



 どうやらミクはあまり探す気になれないらしい。強引に突破してしまい、後で辻褄を合わせられる物を探せばいい。そう考えたようである。強引でもなんでも、突破できる肉塊だからこその意見であろう。


 順調に進んで行くと白い狼が現れたが、相変わらず唸るだけであり、すぐにセリオが突撃した。慌てて身構える白い狼だが、急に速度を上げたセリオに撥ね飛ばされ、雪の上に落ちる。


 【身体強化】を使っていなかったので一撃での死亡とはならなかったが、それでもかなりのダメージを受けたらしく、起き上がったもののフラフラしていて足下が怪しい。かなり脳が揺らされたようだ。


 再び一気に突っ込んだセリオは、今度は角を引っ掛けて仰け反り、ミク達の方へと白い狼を投げ飛ばす。すぐさま落下点に入ったミクが、槍を取り出して構える。天を突くように高く掲げられた槍に、狼の首は貫かれた。



 「何かの神話の一幕かしらね? 実際には白い狼を倒しただけなんだけど」


 「ああ、分かります。神話でなければ伝説でしょうか? 英雄が強力な魔物を打ち倒したときのような感じですわね。実際にはミク殿の方が怪物なのですが……」


 「ならアレは怪物に捧げられた生贄かしら? そう考える事も出来るわね。だからなんだっていう話で終わるけれども……いや、どちらかというと串刺し刑?」


 「一気に邪悪になりましたよ? いつの時代の話なのかとも思いますが、昔の独裁的な王が行っていた記録を見た事がありますし、教師から学びましたわ。……相当に酷かったと」


 「まあ、生きたまま串刺しにされるんだから、そりゃ酷いでしょうよ。それでもやる奴は居たんだし、それが原因で叛逆されて引き摺り下ろされたのも居るし」


 「流石にむごたらしいのはいけませんわね。恐怖によって従えようとしたのかもしれませんが、過ぎたる恐怖は叛逆しか生みません。っと、血抜きが終わったようですね。ミク殿が収納されました」


 「そろそろ出発しようか。そこの雑談中の2人」


 「はいはい。出発進行!」



 再び真っ直ぐ歩いて行き、途中で出てきた白い狼と白い狐の混成も倒す。白い狼が前に出てきて、その狼をフォローするように狐が魔法で攻撃してくる。そのコンビネーションは思っているより上手く、非常に厄介であった。……普通なら。



 『どーん!!』



 魔法などものともせず、セリオが狼にぶちかまし、狼は吹っ飛んでいく。そのまま走り抜けたセリオは狐の方にも狙いを定めている。慌てて距離をとろうとするものの遅く、狐も派手に撥ねられた。


 防御力の異常に高い重戦車が突っ込んで来ると思えば、恐ろしいのがよく分かるだろう。情け容赦なく轢いて撥ねていくのだから、敵対した側からしたら堪ったものではない。



 『もう終わりかー。もっと鍛えなきゃ僕とは戦えないよ!』



 流石に能力に差があり過ぎないだろうか? そう思うも、セリオの機嫌が良いので黙っておく2人。撥ね飛ばして身動きのとれなくなった狼と狐をさっさと始末するのだった。


 そうやって進んで行くも、階層の端に辿り着いたミク達は再び戻っていく。目印はあるものの階段を探さなければいけない事に変わりは無く、目印があっても見つかるかは別である。



 「流石に1階と同じわけにもいかないし、ここからは【身体強化】で走っていこうか。そうじゃないと階段を見つけるのに時間が掛かりそうだしさ」


 「そうね。今まではそうやって移動してたんだし、猛吹雪の降ってない2階なら大丈夫でしょ。雪の所為で多少足が埋まるでしょうけど、そこまで邪魔にもならないみたいだし」


 「そうですね。深く足が入る訳でもありませんから、十分に走れると思います。昼食はミク殿にお願いしましょう」



 そう言って走り出すミク達。入り口に戻ったら、次は仮に決めた南方向へ。そのまま走って行き、魔物が出てくるとセリオが楽しそうに撥ね飛ばす。丁度いい運動みたいになっているが、結果は酷いものである。


 そもそもだが、ここの白い狼と白い狐はそこまで弱くない。マッスルベアーよりも耐久力は高いぐらいである。その狼や狐を撥ね飛ばし、一撃で身動きがとれないほどのダメージを与えているのだ。


 第7エリアの魔物だからこそ、この程度で済んでいるのである。アレッサやティアにとっては楽でいいかもしれないが、練習にはなっていない。とはいえ、ここは雪で戦いにくい為、ミクもそこまで練習させたいとは思っていないようだ。


 もちろん雪の環境での戦いは学ぶべきだが、既に猛吹雪の中での経験がある。なので唯の雪状態だけでは、そこまでの練習にはならないのだ。それに基本も終わっていないのに、特殊な環境に慣れても仕方がない。


 南にも階段は無かったので戻り、1階への階段近くで昼食をとる。カマクラを作って中に入り、テーブルと椅子を出しての食事だ。今日は野菜と亀の干し肉のスープと、大麦パンだ。



 「小麦で食べ物を作るのは良いんだけど、コレも食べてしまわないと駄目だからね。だから今日の昼食は大麦パン」


 「まあ、スープの中に砕いて入れれば美味しく食べられるからいいけどね」


 「私もそうしましょう。大麦粥は良いのですが、大麦パンはあまり美味しくないのですよね」


 『そう? 僕は気にしないよ? 草よりは美味しいし』


 「まあ、それはねー。とはいえ、スープと一緒に食べても問題無いんだから、私は砕いて入れちゃうけどね。こんな風に」


 「これだと大して気にならずに食べられますね。それにしても、亀の肉がいい味を出していて美味しいです」


 「野菜の甘味も出ているから、それもあって美味しいのよ。それでも亀の肉が無ければ味気ない物になってたとは思う。そういう意味では亀の肉って凄いわね」


 『美味しいからね。美味しい物は凄いんだよ!』


 「確かにね、不味い物だと気分も悪いし、美味しい物だと笑顔になるもの。そういう意味では凄いわ」



 セリオとアレッサの会話を見守る2人。なんだか子供のふれあいを見守っている親に見えるのは気のせいだろうか?。


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