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0021・探索者ランク4




 朝食も食べ終わり、ミクはギルドへと出発する。ランクアップ試験を受けろと言われたからだ。尚、レティーはミクの背負い鞄に入って大人しくしている。


 ギルドに着いたミクは中に入り、受付嬢にランクアップ試験の事を話す。すると、待っているように言われたので、椅子に座って待つ。周りも話し掛けてこない為、ミクから話しかける事も無い。


 椅子に座る者が増え始めた頃、受付嬢から呼び出しがあった。



 「ランクアップ試験でお待ちの皆さーん。準備が整いましたのでギルド前に出て下さい。ランクアップ試験の方はギルド前に出て下さい!」



 ミクが言われた通り外に出ると、ギルド前には馬車が1台あり、そこに乗り込むように言われた。素直に乗ると他にも数人乗ってきて、何処かへと連れて行かれる。


 町を出て馬車は走り続けるが、ミク達は無言のまま待ち続ける。同じ試験を受けるメンバーなのだろう、男性が2人に女性が1人だった。ミクを含めて4人。いったい何の試験をさせられるのだろうか?。


 そう思ってゆったりと待っていると、馬車はとある地点でストップした。そこは左右に森のある場所であり、ここが試験の場所なのだろう。


 全員が馬車を降りた後、馬車の御者をしていた男が口を開く。これからの事を説明してくれるようだ。



 「いいか、ランクアップ試験の内容を話すからよく聞け。一度しか言わないからな。この左右の森のどちらでも良い、森の中には<ティダンテ草>が生えている。それを10本1束。それとゴブリンの左耳を10個持って町に戻りギルドに届けろ。今日中にだ」


 「なっ!? 今日中にだって!?」


 「ここがどこかも分からないのにかよ!!」


 「そんな事は知らん。調べていれば分かる筈だ。1から10まで用意してもらうのは、お貴族様であって探索者じゃない。ランクアップ試験なのに、何もしてこなかった自分を恨め。駄目ならさっさと町へと歩くんだな」



 そう言って馬車を反転させ、町の方へと戻って行った。ミクは早速森の中へと入り、<ティダンテ草>を採取していく。


 実はこれ<ティダルッタ草>と間違えやすい物であり、意図的に間違えやすい物にしてあるのだろう。何より試験の内容と考えれば納得できるものだ。


 ミクは男2人が近づいてくるので離れながら採取していく。もう1人居た女性は<ティダンテ草>が分かるらしく、逆側の森で採取しているのを気配で確認している。


 ミクが離れているのにも関わらず近づいてくる男2人。ミクは更に離れて距離を空ける。ミクを襲おうとしているのか、それとも<ティダンテ草>を確認しようとしているのか。


 どのみち教えてやる気の無いミクは、男達から離れながら採取していく。10本手に入れたミクは束にして纏め、背負い鞄の中に入れたらレティーに食べないように言っておいた。


 次はゴブリンだが、この森にはそれなりに気配がある。その場所へと素早く近付き、狙い澄ましたウォーハンマーの一撃で頭を潰す。


 その後は左耳をナイフで切り落とし、背負い鞄の中に入れたら次のゴブリンへ。男2人を引きつけながらも順調に倒していくミク。男2人はミクを追いかけながら、何かを相談しているようだ。


 もちろんミクには聞こえているが、敢えて反応はしない。こいつらは殺せないから、相手をするだけ時間の無駄なのだ。なので放置していく気だったりする。


 ゴブリンの耳も次で終わり、そんなタイミングで女性の方を確認すると、どうやらまだ森の中に居るようだった。かなり離れているものの、未だに女性の反応は確認できる。


 そろそろ最後のゴブリンを倒そうかなと思っていると、男2人の所から悲鳴が聞こえてきた。どうやらゴブリンか何かに後ろから襲われたらしい。慌てて応戦している声と悲鳴が聞こえてくる。


 ミクはすぐにそこから離れ、最後のゴブリンを倒すと左耳を入手。一気にその場を離脱する。後ろで男達が戦っているようだが、ミクは気にせず最初の地点まで戻ってきた。


 そして女性の反応を探ると、何やら囲まれている。仕方なく女性の下に急行すると、ゴブリンから襲われているものの、上手く回避しつつ戦っていた。


 それでも多勢に無勢、体力が無くなったらやられてしまうだろう。だからこそミクは介入を決めた。人助けをしておけば試験に合格しやすくなるだろうという考えから動いている。


 仮に関係なかったとしても、カルティクのようにギルドマスターに報告する連中も居るのだ。善人アピールをしておいて損は無い。



 「手助けするっ!」


 「えっ!? あ、お願い。数が多いの!」



 犬獣人の女性だったが、ショートソード2本で戦っている。その戦い方は切ろうとせず、左のショートソードで流し、右のショートソードで突き刺す戦い方だった。


 乱戦時はなるべく隙の無い戦い方のほうが良い為、彼女の戦い方は間違っていない。それも急所を狙わず確実に傷を与える方法をとっており、メインは怪我をさせて撤退に追い込む事だろう。


 そんな中、頭をカチ割って潰すミクが暴れる。ゴブリンの攻撃をカイトシールドで防ぎ、反撃はウォーハンマーで適当に攻撃。胴体に当たっても一撃で倒してしまう威力である為、とりあえず当てれば勝ち状態だ。


 ミクが暴れてくれる御蔭で余裕の出来た女性は、急所を突き刺して倒すと、左耳を切り取って回収している。どうやら試験の事も忘れていないようで何よりだ。


 ものの数分で全滅させたミクは、ゴブリンの左耳を切り落として手に入れつつ、女性に話しかける。



 「そっちはどう? <ティダンテ草>は終わった? <ティダルッタ草>と間違ってる事もあるから気をつけて」


 「大丈夫。薬草摘みが長かったから、色々な薬草の特徴は熟知してるの。だからこれで終わり」


 「だったら早めに戻りましょう。あの男2人、私をずっと追いかけて来てたのよね」


 「そうだったの? 碌な奴等じゃないわね。襲ってくるかもしれないし、さっさとゴールダームに戻りましょう」



 そう言って初期地点まで走って戻ったミクと女性は、馬車が向かった方角に歩き始めた。男2人が何処に居るのか探ると、どうやらまだ森の中に居るらしい。その周りに反応が沢山あるのでゴブリンに囲まれているのだろう。


 ミクは何も言わずに無視し、女性と2人で歩きながら食事をとる。大麦パンと干し肉で済ませると、水筒の水を飲む。女性も似たような物を食べていたので、保存食はこんなものなのだろう。


 途中交代で見張りつつトイレを済ませ、その後も順調に歩き続け、ゴールダームに戻った時には既に夕方が近かった。


 女性と一緒にギルドヘと入り、受付嬢に<ティダンテ草>とゴブリンの左耳を提出してランクアップ試験だと言うと、受付嬢は検分を始める。


 その後、2人が採ってきた物は<ティダンテ草>だと認められたので、晴れてランク4に上がった。次のランクアップ試験はランク8に上がる時にあるそうだ。


 まだまだ先なので、今のミクには関係が無い。しかし、そろそろ真面目に依頼を熟す必要もミクは感じていた。獲物を解体所に持っていくばかりでは、いつまで経っても名が上がらない。


 名が上がればそれだけ狙われるので、愚か者を喰う機会も増えるだろう。全ては喰らう為だが、その事に関して手を抜くつもりなどない。


 そんな事を考えていると、御者をしていた男がやってきた。



 「あの男2人はどうした?」


 「知らない。彼女はともかく、私の方をずっと追いかけてきていた。<ティダンテ草>を採っている感じもしなかったし、途中でゴブリンに襲われてたので逃げた」


 「そうか、ならば戻ってくるまいな。それもまた探索者だ」



 そう言って、男はギルドの奥に引っ込んで行った。


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