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0242・キレそうな6人




 恐ろしき欲の争いは起こる事なく、ミク達は分配を終えて先を急ぐ。適当に持っている食べ物を分けてモグモグしつつ、集落の建物の1つをトイレにして済ませる。【浅穴】の魔法を使い穴を掘っただけだが十分だろう。


 今日は昼に戻れないなと思いつつ、適当に見回りを行う。ミクは生理現象が無いのでトイレの必要性は無い。なので離れて周囲を警戒している。


 適当に食事などを終えると出発。集落の中に階段があるのは発見したが、怪しいので無視し、波打ち際まで行って外周をウロウロする。すると棒が2本立っている所があり、真ん中に立つと海の中に階段が現れた。



 「最後の最後で、もう1度コレとか……やってくれるわね。気を抜いた辺りでやってくるっていうのが、本当にいやらしいやり口だわ」


 「本当にね。何だか凄くネチっこい感じがする、とてもイヤーな感じ。ま、見つかったんだから行きましょうよ」



 ミク達は素直に海の中の階段を下り、そして森の中に出た。



 「………これってさ、もしかして………」


 「次は10階の筈よ。つまり、あれ騙しの階段じゃないの!!」


 「まさか集落の中だけじゃなく、海の方にも用意したって事かい? 本当にやってくれるね。まさかここまで面倒臭い形になってるとは思わなかったよ。流石は世界最高難易度だ、実にいやらしいねえ……!」


 「ここって多分だけど2階でしょ? という事は、まーた9階まで下りるのー……?」


 「仕方ありません、諦めましょう。それにしても、最初の攻略者というのは、こんなに苦労をするものなんですね」


 「いやいや、分かってて言ってるでしょ? こんなの第6エリアだけ。今までに見た事も聞いた事も無いわよ!」



 全員が愚痴を言いながらも、【身体強化】の早歩きで進んで行く。そして階層の中央に行った結果、花畑だけがあった。この時点で2階か3階であり、階段に戻って東へ行くと下への階段があった。


 距離と雰囲気で2階だと断定し、後はひたすら下り階段へと移動していく。予想通りに次も東に階段があり、距離などで2階だったと判明。後は一気に9階まで下りていく。


 ようやくの9階。再び階段を探して歩くも、面倒臭い事が分かる。何故なら森の北西、北東、南西、南東に階段があったからだ。これには6人も渋い顔をしている。



 「見つかった階段は全部で6つ。森の中の北西、北東、南西、南東。そして海のヤツと集落のヤツ。どれが本物なのか、それとも全部偽物か。正解が分からないまでも決めなきゃいけない。……どうする?」


 「こんなに階段があるって、絶対に罠じゃん。心というか、精神を攻撃して諦めさせようとしてるわよね? 何か全部の階段が間違いな気がしてくるのが、物凄く腹立たしい」


 「実際、冗談でもなんでもなく、その可能性があるのよねえ。私達が今まで見つけられなくて失敗した事もあったし……。それを考えると森の中の階段は、ちょっとあからさま過ぎるのよ」


 「となると集落のヤツかい? まあ、今まで騙しの階段だったんだ。最後に正解を持ってくるっていうのは分からなくもない。でもねー、あれだけの魔物の集落に正解の階段を置くかね?」


 「攻略難易度が高すぎって事よね? 確かに私もそう思うわ。いきなり難易度が上がりすぎなのよ。もちろん半分を越えた第6エリアからが本番で、だから上がってるっていうのも、分からなくはないんだけど」


 「それにしたって上がり過ぎっていう感じはするわよね。しかも転移トラップって、嫌になるほど面倒臭いし。こうなったらアレよ、全部を下ればいいじゃない。悩むだけ時間の無駄でしょう?」



 イリュが強引に纏めてしまい、正解するまで階段を下り続ける事に。まずは森の北西の階段からだが、案の定2階に戻される結果であった。その後、北東、南西、南東も2階に戻され、激怒した6人は9階の集落前で休憩している。



 「冗談でも何でもなく、最初に危惧した通りの結果になってるじゃないか。やっぱり最後はここで正解だったとはね。集落を殲滅する難易度が高すぎる気もするけど、それぐらい出来ないと、この先には進めないんだろうさ」


 「本当にそうなら良いんだけどね。何だかこの階段も外れてそうな気がするのが……。どうしても不安が拭えないのよ。何か根本的な間違いをしてるんじゃないかって」


 「カルティク殿の懸念も分かりますが、それでも一度はあの階段を下りてみないと分かりませんよ? 下りなければ正しいか間違いかも分からない以上は……」


 「下りてみるしかないのよねえ。どっちにしても、今日は夕食をガッツリ食べないと厳しいわ。お肉系を食べないと栄養不足になるかもしれないし、カルティクが一番厳しそう」


 「ミクが持ってる物を結構食べてるからそうでもないけど、代わりに早歩きしながらの食事ばかりで、それが大変よ。飲み物を飲んだりもそうだし、運動しながら食事っていうのもね」


 「確かに分かるよ。運動してると痩せるだろうけど、それしながら食べてるんだよね。何の意味も無い事をやってる気になるのは仕方ないさ。ただ、実際にはおかしな痩せ方をしない為に食べてるんだけど」


 「【身体強化】での栄養消費量は思ってるよりも多いから、食べないと仕方ないんだけどね。私の血肉を持ってればそこまででもないんだけど、それは私の血肉の効率が異常に良いだけで、本来の生物はそんなに効率よくないし」


 「まあ、よく分からないけど、そろそろ愚痴を言ってないで進みましょう。アレが10階への階段でも、そうでなくても、進んでみない事には分からないわ」



 イリュの一言で6人は階段を見つめながら立ち上がる。これで最後の階段か、それともまた2階に戻されるのか。6人は慎重に下りていき…………そして森に出た。



 「ちっくしょう!!! やっぱりか!!!」


 「あーあー、本当に嫌になるわね。結局、あの集落はアイテムバッグがあっただけで、それ以外は何も無かったって事。まあアイテムバッグがあっただけマシか……」


 「でも、そうなると何処に正解の階段があったのでしょうか? 私達は9階の全てを回った筈ですが、それでも見落としがあったという事ですわよね?」


 「まあ、あったんだろうねえ。………はぁ、今日はもう帰らないかい? いい加減もう疲れたよ。そろそろ夕方も近いしさ」


 「そうね。そうしましょう。そして明日は朝から攻略よ。こうなったら、必ず明日で終わらせてやるわ!」


 「カルティクの言う通りね! 明日で終わらせないと、もう我慢も限界よ!」


 「じゃあ、帰ろっか」



 もはやミクであっても疲れたらしく、流石に進もうとは言わなかった。それもそうであろう、最強の肉塊とて精神は疲弊するのだ。まあ、疲弊する度に強靭にもなっているのだが……。


 怪物にも弱点と呼べるものがある事には納得するが、同時にその弱点が鍛えられているという怖ろしい現実もある。怪物が苦労する事は良い事なのか、それとも悪い事なのかは分からない。


 そんな怪物を含めた一行は、重い心を引き摺りつつ<妖精の洞>へと戻っていく。傍から見ても分からないように必死に抑えているが、今すぐに喚き散らしたい程には鬱憤も抱えている。


 肉塊に至っては、本体空間で絶叫している程であった。余程2階に戻され続けたのが腹立たしいらしい。おちょくられているのと同じなので、怒りはよく分かる。


 ただ、肉塊が暴れるほど怖ろしい事は無い。それでも分体を暴れさせない程度の分別はあるようで何よりであった。もちろん本体空間は凄いことになっているのだが、それはいいだろう。


 それにしても2階に戻し続けるなど不思議なダンジョンである。何処かから「Z○P」という声が聞こえてきたが、きっと気のせいだ。


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