0239・第6エリア・8階
夕食後は部屋へと戻り、さっさとベッドに寝転がる2人。その2人を持ち上げて綺麗にし、ベッドに寝かせるとミクも寝転がる。後は瞑想の練習をしていくのであった。
……2人が寝た後、肉で包んで本体空間へ転送。睡眠学習で知識と感覚を与えていく。そのまま朝まで過ごすミク。刷り込みは大変なようだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
翌朝。日の出と共に2人をベッドへと転送し、起きるまでゆっくりと待つ。2人が起きたら挨拶し、準備を整えたら食堂へ。朝食を注文して大銅貨9枚を支払ったら席に座り、待っていると3人も起きてきた。
大銅貨を追加で3枚払うと、適当に雑談を始める6人。昨日の疲れは随分とマシになったようだ。
朝食後。6人でダンジョンまで歩いていき、第6エリアへのショートカット魔法陣に乗る。周りの者達も慣れてきたのか、ミク達が第6エリアへ行くのに騒がなくなってきた。
第6エリアに転移した一行は、一気に昨日と同じ7階まで進む。そろそろミク達の速度に慣れさせる為、【身体強化】をしつつの早歩きで進んで行く。カルティクも素直についてこれているので、やはり優秀だと改めて分かる。
身体能力は変わっていないと言いつつ、ミク達の速度についてこれるのだから十分であろう。
「いや、結構大変なんだけど? 貴女達みたいに当たり前に出来るとか思われても困るのよ。この程度なら何とかついて行けるけど、お腹の空きが結構厳しいわね。多少の食べ物は買っておいた方が良いかしら?」
「保存食は美味しくないうえに栄養が偏ってる物が多いから、あんまりお薦め出来ないけどね。ミクが持ってるみたいに大麦のパンならまだマシなんだろうけど、あれも多少のハチミツを薄めて塗らないと美味しくないのよねー」
「それでも薄めたハチミツを塗ると、かなり違いますよ? あれならパサパサな事を無視すれば食べられます。流石に小麦と同じとは参りませんが、十分に食事としてアリだと私は思いますけどね?」
「まあ食べられればさえ小麦のパンよりは体に良いんだし、後は野菜と肉が挟んであれば大丈夫かな? そういった新鮮な食べ物は毎日買うしかないんだろうけど」
「そうねえ。流石に2~3日は保つだろうけど、そこが限度かしら? それ以上だと腐る恐れがあるし、アイテムバッグの中に入れていても保たないわ。他に方法があればいいけど」
「食品かー……。凍らせる事が出来るなら長く保つんだけど、私は氷系の魔法は知らないから無理だね。それさえ分かれば食べ物を凍らせたりして保存するんだけど……」
「【凍結】や【氷結】の事? ……魔法陣はこうよ。コレ系の魔法って魔力消費が激しいから、あんまり使わないのよね。まさか、食べ物を保存するのに役に立つとは思わなかったけど」
「その魔法だけじゃ溶けるから無理だよ。凍らせた後、すぐにアイテムバッグに入れれば大丈夫。アイテムバッグ内は温度変化が無いから、凍った物は凍ったままになる。だから保存が利くんだよ」
「へえ、つまり凍ったままだと食べ物は長く保存出来るって訳か。もちろん限度はあるんだろうけど、やってみる価値はあるかねえ。上手くいけばツマミとか長く保つかもしれないしさ」
『魚! 海の魚を凍らせるの! そうすればいつでも美味しいのが食べられる!!』
「あ、それ無理。凍らせると保存出来るかわりに味が落ちるから、あんなに美味しいのは新鮮な物だけだよ。特に魚は新鮮かどうかで大きく変わるから、余計に無理だね」
『むー……!!』
『何でも上手くいく方法なんて無いという事ですよ。諦めましょう』
「とはいえ味なんて二の次って場合には有効な手段よね。アイテムバッグを自分で持つ者にしか使えないけれども。でも、遠くの村や町に売りに行く事は出来るかしら? そうすれば、もうちょっと色々な野菜も出回るとは思うんだけど……」
「野菜の種類が少ないものねー。この時季は葉物野菜が出回るけれど、寒い時季になると少なくなるし。それでもダンジョン内の野菜だったり雑草が出回るだけマシなんだけど」
「雑草って言ったところで食べられる物だから気にしなくてもいいし、食べないと体調を崩すのよね。あの時季になると探索者も大変だけど、仕方ないわ」
「毎日毎日、根こそぎ採り尽くすかの如く採りに行くものねぇ。それでも食べられる野菜が少ないんだけど……。本当、食べる物が無いと生きられないんだと分かるわ。あの時季は大麦粥もよく出るし」
「昔からの経験とかそういうので、大麦が体に良いって知ってるんだろうね。だから大麦粥を食べるんだと思うよ。もしくは体が欲しているか」
「体が欲している……ですか?」
「そう。体が今必要な物は、何故か美味しく感じるように出来ている……らしい。神どもが言うには、人間種にはそういう機能があるんだってさ。中には必要だからか、土を美味しいと思って喰う奴も居るんだって」
「「「「「土………」」」」」
「本人は美味しく感じるからか、どうにもならないらしいよ。だから変な物を美味しいと思ったら、何がしかの栄養が足りてないって考えた方が良いね。そうじゃないと、唯の奇行を行う変人にしか見えないだろうし」
「あー、それはありそう。何かおかしな奴っているけど、妙な物を食べてる奴の中には、単に栄養が足りてない場合があるのかぁ。知識が無いと、確かに変人にしか見えないね」
「土を食べるんじゃねえ……っと、ようやく着いたか。7階だからかそれなりに時間が掛かったけど、今日はここから開始だね。中央のコボルトは居ない筈だから森の中は探さず、まずは海の方を探そう」
「昨日は面倒になって、コボルトの集落の階段から帰ったのよね。今日は帰る必要が無いから、何処かにある階段を探さないといけないんだけど……次はどんな風に隠されているのかしら?」
「いい加減にしてほしいと、そう思うような隠し方がしてありましたしね。あれと似たようなものだと、骨が折れそうです」
「流石にもう無いと思いたいけど、怖いのよねえ。何処かで再び足を掬おうとしてる気がしてきてさ」
波打ち際まで行き、そこから外周を回っていく。【身体強化】をしつつの早歩きで進むも、海の傍には何も無かった。流石に同じ方法を何度も使ったりはしないらしい。
今度は森の外周から調べていき、徐々に範囲を狭めていく。その結果、南東の方角に階段を発見。これを下りて8階へ。
ようやく8階かと思い、安堵の息を吐きつつも森の中央へと移動。すると、今度は黄色のオークが大量に居た。どうやらオークの集落らしく、大型のオークも見える。流石に今までとは違うので緊張する面々。
「ここからはオークの集落だとはね。流石にゴブリンやコボルトと同じとは行かないよ。オークは実力が全く違うし、噛みつきも強力なら脂肪も分厚い。それが少なくとも100は居る」
「それでも倒しておかないと分からないわ。もしかしたら集落の階段が正しい可能性だって無い訳じゃないもの。私、その方法で足を掬ってくると思うのよね」
「それをしてくるにしても、多分だけど9階じゃない? 流石に8階では無いと思う……ていうか、思いたい」
「「「「「ブルルルォーーッ!!!」」」」」
「おっと、話をしてる間に気付かれたみたいだね。じゃあ私は前に出るから、お先」
気楽な感じで前に出て行くミク。相変わらずだが、それでも鉄壁の防御と敵を引き付ける役は熟してくれる。その事に安心感を持ちつつ、各々はそれぞれの役目を果たしていく。
多数との戦闘において大事なのは、位置取りと相手の戦闘力を奪う事にある。それを行っていくのであった。




