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0238・第6エリア・7階まで




 外周の波打ち際をゆっくり歩いていると、魔物が襲ってくるものの、怒りに塗れている2人が八つ当たりの如く殺害していく。むしろ他の4人は、それを見る事によって冷静になれていた。


 そのまま回っていると、波打ち際に2本の棒が立っている場所を発見。高さが30センチぐらいなので、遠くからだと見逃がしていたのだろう。その棒の間にアレッサが立つと海が割れていき、その先に階段が見えた。



 「こんなのアリ!? 幾らなんでもメチャクチャでしょうが!! この棒に気がつかなきゃ、永久にこの階を彷徨さまよってるわよ! 水ダンジョンで経験があったから分かったけど、そうじゃなきゃ分からなかったわ!」


 「これは厳しいね。流石に怒りも無くなるくらい厄介な造りになってる。まさか階段が海の中で見えない、なんて事を平気でやってくるなんて……予想外もいいところさ。これは流石に悪意を感じるんだけど?」


 「言いたい事は分かるけど、その階層を虱潰しらみつぶしに探せば見つかるという事でしょうね。むしろそこまで探せと言われてる感じかしら? 世界最高難易度のダンジョンは伊達じゃないわね」


 「それはそうですけれど、我が国のダンジョンがここまで悪辣あくらつだとは思いもしませんでしたわ。陛下に御報告した方が良いでしょうか?」


 「止めた方がいいわよ。あまりダンジョンの事に関わると面倒な事になるだろうし、別に王様がダンジョンを決めてる訳でもないもの。あくまでも、ここにダンジョンがある事を発見した人の一族だからね」


 「そういう意味では珍しいわよね。神聖インバム王国みたいに、建国王は神の祝福を受けているとかいう嘘っぱちが多い中、ゴールダームの建国王は元平民だって分かってるし。むしろそっちの方が良いわよ」


 「そうですか?」


 「だって何処の国も殆どが嘘よ? そもそも神様が国とか作れって言う筈ないじゃない。むしろ国を潰せっていう側よね、神様って」


 「国を潰せと言うより、腐った汚物どもを滅ぼした結果、国が崩壊しても構わないって立場だね。それよりも汚物どもを始末しろ、これが先だよ」



 険の取れたシャルやイリュとも話しながら、海の中の階段を下りていく6人。階段の先は再び森の中だったが、次の階層か不明な為、まずは森の中央に向かって進むのだった。


 この階の中央も開けており、そこには青い毛の犬の顔を持ち、緑の皮膚のゴブリンみたいな体を持った者が居た。間違いなくコボルトだが、後ろの方に大きなコボルトが見える。そこも含めて赤いゴブリンの集落と変わらなかった。



 「ここはコボルトの集落みたいだけど、4階のゴブリンの集落と変わらないね。大きなコボルトも然して強そうじゃないし、ゴブリンと同じく殲滅しようか」


 「そうね。階段があったら迂闊うかつに下りないように、それだけは注意して。じゃあ、始めましょう」



 その言葉を皮切りに一気に飛び出す面々。いきなりで面食らったのか慌てているので、その隙に一気に押し込んでいく。コボルトとて、所詮はゴブリンと大差ない身体能力しか持っていない。


 結局、苦戦する事もなくあっさり殲滅した。鼻が良いので位置を見破られるくらいであり、それさえなければそこまで強い魔物でもないのだ。


 これは普通の探索者でも同じである。コボルトはゴブリンと違って、そこまで卑劣な事はやってこない。


 全て殲滅したミク達は家捜しするものの、碌な物は見つからず、諦めて海の方へと出る。そのまま波打ち際まで出て回って行くも、この階には突き出た棒は見つからなかった。


 今度は森に戻ってローラー作戦で探すと、森の外周近くの西側に階段を見つけた。これが正解の階段かは分からないものの、正解であれば7階だ。


 下りて森の中なのを確認し、再び森の中央を調べに行く。するとコボルトの集落があり、赤い猪を飼っていた。ゴブリンの時と同じく、この階も騎兵らしい。


 再び踏み込んだミク達は、赤い猪に乗って突撃してくるコボルト達を迎え撃つ。ミクは相変わらずシールドバッシュで叩き潰し、アレッサはウォーアックスで両方潰す。


 ティアは薙刀で猪を切り捨て、シャルは短剣を投げて落としつつ、猪を切り殺す。イリュは魔法を連打してコボルトを殺害し、カルティクはコボルトの乗っていない猪を始末していく。


 このパターンが一番安定しているのだろう。簡単に終わらせたミク達は、再び集落内の建物に階段を発見した。顔を見合わせた6人は、この階段を下って、森の中に着いたら上がる。


 その後に西に行くと魔法陣を発見、脱出していく。どうやら色々な意味で疲れたので帰る事にしたようだ。


 集落を殲滅する事と普通に帰る事。どちらの労力の方が大きいのかは分からないが、ミク達にとっては殲滅の方が簡単なようである。


 地上に戻ったミク達は、夕方にはまだ早いものの、真っ直ぐ<妖精の洞>に戻る。流石に上の階に戻されたダメージが大きかったのか、精神が疲れていた。ミクも体力的な疲弊は無くとも、精神的な疲弊はある。


 宿の部屋に戻ったアレッサとティアは、すぐにベッドに寝転ぼうとしたものの、ミクに持ち上げられて綺麗にされた。その後に2人をベッドに寝かせ【浄滅】を使ったミクは、自身もベッドに寝て瞑想を始める。


 流石に眠る事は無いが、出来得る限り精神を休めたかった。



 ◆◆◆



 夕日が出てきた事を確認したミクは、寝ている2人を起こして食堂へ。シャルとイリュとカルティクも居たので、全部で大銅貨18枚を支払い席に座る。


 3人も寝ていたのか、それとも起きていたのかは知らないが、顔色がマシになっているので回復したのだろう。誰ともなく会話を始めた。



 「それにしても厄介だったわね」


 「アレはちょっと反則だと思うよ? 階段を下りたら2階に上がってるとか意味不明だしさ。よくもあんな物を思いつくよ」


 「冗談でも何でもなく、本当に戻されましたからね。場合によっては攻略の意思をし折られます。唯でさえ距離が長くて大変なのに、その歩いた距離を嘲笑あざわらうかの如く戻されるのですから」


 「ミクが地図を描いてくれていて、本当に何よりだよ。それにしたって急激に難易度が上がってるけどさ。第5エリアを過ぎてからが本番って事なのかな?」


 「半分までは小手調べって事? 何か神どもみたいなやり口だね。唯でさえ大変だったのに、それが小手調べでここからが大変だと言われた時の怒り。未だに忘れないよ」


 「それは知らないし聞きたくもないけれど、10階のボスに到達するまでに相当の苦労をしそうね。今日は途中のアレで心にダメージを負ってからが厳しかったわ。本当に厳しかったのよ」


 「凹んでる時って余計に疲れるんだよね。何かするのにも疲れるし、いつもよりも時間が掛かる。あのまま進んでても良い事は無かったし、あの階段で戻ってきて正解さ」


 「ですね。急激に疲れてきましたし、やる気が出ないって大変なんだと思いました。また進めばいいと言えばそうなのですが、距離以上のダメージがありましたわ」


 「徒労感っていうの? あれが如実に色んなものを奪っていくのよ。本当に冗談でも何でもなく、私達だから良かったものの、普通の探索者じゃ集中が切れて死んでるわね」


 「仮に攻略するにしても、あと何回かは掛かるだろうし、ミクが攻略してからにしようかねえ……」


 「私は明日も行くわ。でないと多分、やる気を失うだろうから。今の内に攻略しておかないと、後じゃ行く気にもならなさそうだもの」


 「一度嫌だと思うと、そこに足を運ぼうとしなくなるからね。今の内の方がマシかな? どうせ、わたし達は有無を言わせずに連れて行かれるだろうけど」


 「ですわね」



 ミクが「うんうん」と頷くと、溜息を吐くアレッサとティア。それでも離れようとはしないのだから、お互い様であろう。


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