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0231・ハチミツの価値




 2階へと下り、まずは海の方へと出る。その理由は詰め替え作業が終わっていないからだ。それが終わるまでは適当に2人に狩りをしてもらいつつ、ミクは高速で詰め替え作業を行っていく。


 もちろん並行して樽作りも行っており、その所為で作業量が多く大忙しなのだ。乾燥の魔剣というか棒も使っており、罅割ひびわれなどさせる事も無く、順調に樽作りは進んでいる。


 それでも簡単には終わらず、ミクは右手を肉塊に変えて蜂の巣の残骸を捨てている。ロイヤルゼリーなども手に入れているが、そんな物に構っている暇などない。


 2人が適当に狩りをして遊んでいると、突然ミクは立ち上がり、作業の終了を宣言した。



 「やっと終わったよ。本当に長かったけど、相変わらずハチミツの量が多すぎるんだよねー。大樽で換算すると11個分だよ? 一つの蜂の巣にどれだけハチミツがあるんだって言いたくなる。おまけに粘度が高いから入れるの大変だし」


 「そういえば……どうやってハチミツを樽の中に詰めてるの? そう簡単に出てこないわよね?」


 「目の細かい布を使って、ブンブン振り回してる。遠心力を使えば、細かい目からハチミツだけ出て、残骸だけが布の中に残るって形。それで残った残骸は捨ててるんだよ。元々の大きさ知ってるでしょ、あれを振り回すの」


 「「アレを……」」



 どんな重労働なのか分かったのだろう。2人は何とも言えない顔になり、「御苦労様」とミクに言った。あの蜂の巣の中身を取り出すのが、どれほど大変かを理解したらしい。


 3人は海辺を離れ森に入っていくも、ミクは触手で木を引っこ抜き、それを本体空間に送っては樽を作って行く。余裕を持って12個作り終えたら、階層の中央へと行き、再び蜂の大群を貪り喰う。


 黒いモヤのような大群がみるみる内に減っていき、いつの間にか羽音が一切しなくなる。相変わらずの戦闘とも呼べない戦闘を終わらせた後、今度は蜂の巣を一気に食い荒らして終わらせた。午前とは大違いである。



 「あんなにも、あっさりと蜂の巣が無くなるなんて……私達の苦労はいったいなんだったのでしょう?」


 「何でも出来る怪物を見たって意味は無いよ。わたし達がする場合は、ああやって人力でどうにかするしかないって事。そう覚えておけばいいよ、どうせやる事なんてもう無いだろうし」


 「そうですね。ハチミツを搾る作業も私達にせよと言われたら、流石に倒れてしまいます。ミク殿ですら大変そうなのですから」


 「ミクが大変だって言うのは、ちょっと怖いよね。わたし達だと、どれだけ大変なのか見当もつかないし、大変すぎて狂うのも嫌だしさ」


 「本当に……」



 ミクは既に美女の姿に戻り、服を着ている最中である。やはり無表情であり、全力で作業を行っているらしい。それでもハチミツを搾る作業と、詰める作業で済んでいるだけマシであろう。先ほどは樽の作成まで含まれていたのだ。


 適当に歩きつつ進んでいき、3階へと下りたミク達はまたもや海辺へ。先ほどよりは短い時間で終わり、再び樽を作成して階層の中心へ。蜂を駆除して蜂の巣を手に入れたら、地上へと戻る。


 既に半分ほどのハチミツは神々に持っていかれたミク。どうして蜂の巣からハチミツを取らないのか? どうして詰め替え作業が終わった物を持っていくのか? 腹立たしさを抱えつつも、黙々と作業を行うのであった。



 ◆◆◆



 地上へと戻ってきたミク達は、そのまま真っ直ぐ<妖精の洞>へと戻る。宿の部屋へと行き、ベルを起こして王城へ。既にアイテムバッグの中へとハチミツの樽は移し替えている。


 眠そうなベルに構わず進み、王城へと着いたら王の執務室へ。そこでハチミツの入った樽を出し、ミクが先に試飲。ハチミツを舐め、ハチミツ水にして飲んだが問題なし。次に部屋の中に居た騎士が舐める。



 「ブフォッ!?」


 「な!? どうした、大丈夫か!?」


 「だ、大丈ぶぇふ!! ゴッフ! ゴホ!!」


 「キサマ! 陛下に対し、このような物を持「お黙りなさい!!」ち込むと、は……」


 「このハチミツは普通のハチミツと比べても、異様な程に甘いのです。ミク殿とイリュディナ殿ならば問題ないのですが、他の者ではむせる程に甘い。そういうハチミツなのです。知らないのですから黙っていなさい」


 「………申し訳ありませぬ」


 「ゴホッ! ……ふー、申し訳ございません。まさか、これ程までに甘いハチミツがあるとは……」


 「いや、構わぬが……そんなに甘いのか?」


 「はい。毒などは一切ございませんが、甘さにお気をつけ下さい」


 「うむ。では一口……ぶぅぇぁ! ゴッホ! ゲホ! ゴホッ!」


 「ああ……やはり甘すぎるのですよね。ある意味で凄いハチミツと言えるのですが、直接口に入れるという方法は止めた方が良いのかもしれません」


 「ゴホッ! ……そうだな、直接舐めたりするのは止めた方がよい。それにしても、口から花の香りが漂ってくる事といい、凄まじい甘さといい……値が付けにくいが、どうしたものか?」


 「1つの巨大な蜂の巣から、大樽11個分のハチミツが採れるそうですが、あの蜂の大群を倒さねばならぬ事を考えると……。1樽で中金貨は最低必要かと」


 「何と、それ程か……」


 「1万匹を超える蜂の大群を相手に戦わなきゃいけないし、そいつらとんでもなく強い毒を持ってるから、危険極まりないの。それらを撥ね退けてゲットする事を考えると仕方ないと思う。それに復活にも時間が掛かるし」


 「復活に?」


 「そう。次の日に行っても蜂の巣は復活してなかった。その後はジャンダルコに行く仕事があったから、何日で復活するかは分からないんだけど、帰ってきたら復活してたね。だから7日ぐらい?」


 「ふーむ、どうなるかは分からぬし、とりあえず中金貨2枚で2樽買おうか。問題はミードにした場合にどうなるかだな」


 「相当キツい酒になるのと、それでも甘さは残ったお酒になるよ。現に私が作ったけど、解体所の親方ドワーフは大喜びしてたね。飲んで「美味しい!美味しい!」って言ってたから、売れるんじゃない?」


 「ほう……しかし、ミード作りの場合は同量の水と聞く。あまり多くは作れぬな」


 「ドワーフは酒作りも得意なんだから、1樽あげるから送ってみたら? 向こうで勝手に酒を作って勝手に飲むと思う。それで欲しければ言ってくるんじゃないかな?」


 「成る程。しかし中金貨の物をタダでか? そなたが良いと言うなら受け取るが……」


 「ドワーフが騒いでくれた方が高値になりそうだからね。ここでタダで渡しても、後々得をするなら問題ないよ。駄目ならハチミツを採りに行かないだけだし」


 「あれは何度もやりたい事ではありません。蜂の巣が巨大すぎて、解体して回収するのに長く掛かりました。中腰になったり立ったりの繰り返しで、終わった後は疲れきってしまった程です」


 「そこまでか……。その後に蜂の巣からハチミツを取り出したりするのであろう? 相当の労力が必要なのだな。高値になるのも已む無しというところか」


 「はい。私もあれを見て、どうにもならない事を悟りました。本気で採りに行くのであれば、国の魔法士団が必要です。それも恐らくは全員を動員せねばなりません。蜂は鎧の隙間を突き刺してくる事もありあすので、死亡者も続出するかと」


 「それは駄目だな、採ってこれる者に任せるしかない。………大丈夫だろうか?」


 「復活していれば採ってくるけど、代わりに樽の作成とか詰め替え作業とか、全部そっちでやってほしい。やってくれるなら価格は下げても構わないよ。ハチミツを搾る作業と詰め替えが物凄く厄介で、相当の手間が掛かるの」


 「成る程。分かった、今度は蜂の巣で持って来てくれ。臨時の仕事として、探索者ギルドに依頼すればよかろう。低ランクの者の仕事になる」



 そう決まった後、部屋に来た宰相が中金貨2枚を持って来たので受け取り、ミク達は挨拶をして王城を出ていく。ちなみにベルとはここでお別れだ。


 蜂の巣の確認は終わったのだから、依頼は終了である。


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