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0217・初めての酒と睡眠学習




 支払いが終わったミクは、そのままダラダラと食事が来るまで待つ。イリュも適当に注文し、遅れて帰ってきたカルティクとシャルも注文する。その頃には運ばれてきたので、早速食事をするミク達。



 「今日はどこまで行けた? ミク達は王女2人を連れてったんだろ? 1人は碌に戦った事も無いから大変だったろうけど、ミクなら担いで走りそうだからねえ」


 「そんな事してないよ。これからの事を考えると小手先では解決しないからね。キッチリ自分の足で歩かせたし、戦いも自分でさせたよ。それでもワイバーン製の武具だけど」


 「贅沢ねえ……。普通は持つ事も叶わない武具なんだけど、ミクは余ってるからって割とポンポン使うのよ。良い事とは思えないけど、でも余っている素材だから使うのは分かるし……」


 「タダで使える物があるのに、わざわざお金出して買ったりなんてしないよ。そう簡単に壊れないし、壊れたって作り直せばいいしね。足りなきゃ獲ってくればいいだけ。買うよりもちょっと手間が掛かるくらい?」


 「ワイバーンを倒すのに、ちょっとの手間で済むのはミクだけだよ。他の誰もが死闘になるのに、ミクだけは乱獲出来るからねえ。それでも移動したりとか時間は掛かるけど」


 「それでも全力で飛べばそんなに掛からないし、倒しに行く為に走り回る方が面倒かな? だからこそ夜中じゅう頑張っても22頭なんだし」


 「「22頭……」」


 「相変わらず意味不明な数字よねえ。一晩で22頭のワイバーンを倒しましたって、普通は誰も信じないわよ。私達は事実だと理解してるけど、普通は与太話として鼻で笑うでしょ」


 「普通だけじゃなく、ミク以外不可能だから仕方ないんだけどね。誰だって自分で見たものとか、余ほどの信用できる何かが無いと信用しないよ」


 「ミクは結局、何を作ってあげたの? 剣? 槍? まさか斧って事はないわよね?」


 「杖だったよ。剣の練習にも、槍の練習にも、長柄の練習にもなるからって。叩く、突く、払うって意味だろうけどね。でも素人に持たせて練習させるなら丁度いいんじゃないかな」


 「へー……。まあ、ミクは剣があまり好きじゃないからねえ。ダンジョンの中とか限られた場所で、そのうえ何が出てくるか分かってるのに平均的な武器を使うのかってさ」


 「ミクの言い分も最もなのよ。どんな相手か分からないとか、携帯性の良い武器を持つしかないなら分かるけど、準備万端で行ける場所に剣? ってなるわよねえ」


 「準備がしっかり出来るなら、一番魔物を倒しやすい武器か、それとも一番壊れにくい武器を使え。そう言われると返す言葉が本当に無い。まあ、杖も変な気はするけど、素人だから仕方ないか」


 「で、今日1日使ってみて武器は決まった? 色々な使い方が出来るから杖を持ってるんでしょ? なら何となくでも分かったと思うんだけど」


 「いえ……。でも、止めを刺すのに有効な武器は欲しいですね。大型ナイフで首を切ったら血だらけになってしまいまして、流石に汚れたくはないと思いました」


 「それは……どんな武器がいいのかしら? 槍なら離れて刺せるけど、かと言って飛ぶときは飛ぶし……。剣を使ったりしても同様よ?」


 「それでもナイフよりはマシかねえ、それよりも慣れてないからだろうさ。慣れてればどれぐらい切れば離れた方がいいか分かるけど、初めてならどうしようもないんじゃないかい?」


 「でしょうね。ミクが何を考えてるのかにもよるでしょうけど、素人なんだから盾を持たせるべきじゃない? 後は片手用の武器でいいと思うわ。杖を持たせてるって事は、両手用の武器を持たせる気なんでしょうけど」


 「そもそも戦いの基本は回避であって防御じゃないから。盾を持つ事は悪い事じゃないけど、それに頼りきりになるのも危険なんだよ。どうしても頼りにしがちになるから、ある程度の腕になるまでは盾を持たせたくない」


 「まあ、分からないではないね。兵士や騎士なら矢や魔法が飛び交う戦場だから盾を持つけど、探索者は魔物が相手だから立ち回りを覚えるのが先だろう。そうなると盾でどうこうは甘えが出るかもしれない」


 「色々と悩むところだけど、ある程度は決めて練習させてやった方が良いんじゃないかい? 流石に杖じゃまともには戦えないだろう。【身体強化】が使えるなら戦えるだろうけど、まだそれも難しいだろうからさ」


 「そう、ですわ、ね。わたく、しはき……でー」


 「さっきアレッサが何か飲ませてたけど、ミードを飲ませてたのかい。そして驚くほど早く酔っ払ったね。酒の飲み方を知らない感じだったけど、もしかして第三王女ってまだ若い?」


 「テイメリアは2ヶ月ほど前に15歳になったばかりです」


 「いやいやいや、とても15のカラダには見えないけどね? ……ああ、ミクの血肉でか。それなら納得だけど、何であたしだけワイバーンの肉体なんだい? 首から上しか無かったけどさ」


 「首から上しか無かったからだよ。流石に死体は残していかないとマズいでしょ、死んだ事にならないから。でも首から下が全部私の細胞だと、能力的に相当マズい事になる。ハッキリ言うと高すぎる身体能力になるんだよ。後は実験的な事もあってワイバーン製の肉体にしたの」


 「流石に大半がミクの血肉なのはマズいね、あたしでもそれは分かるよ。と、もう駄目みたいだから部屋に連れてってやりな」



 ティアの頭がフラフラとずっと動いており、既に限界なのが分かる。アレッサがチビチビ飲むように言っていたにも関わらず、最初の一口でむせた後は慣れたのかゴクゴク飲んでいた。あれでは酔っ払うのは当然であろう。


 ミクは酔っているアレッサも連れて、イリュから聞いた3人部屋へと行き、服を脱がせて綺麗にしていく。ベッドに寝かせた後は【浄滅】を使い、ティアだけを本体空間に転送した。


 ミクもベッドに寝転がると、朝まで睡眠学習に近い知識の植え付けを行っていく。果たしてティアはどうなるのであろうか?



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 翌朝。日の出と共に起きたアレッサに挨拶し、ミクもベッドから起き上がる。肉からティアを転送し、ベッドに寝かせた後で起こした。



 「う、ん……おはよう、ございます……」


 「はい、おはよう。昨夜はお酒飲んで撃沈したの覚えてる? ………やっぱり覚えてないみたいだね。結構キツいのにガバガバ飲んでたからその所為なんだけど、まあ、言っても分からないか」


 「お酒に慣れてないから仕方ないんだけど、酔っ払うまでのペースを把握しないとね。それが出来る程度には飲む経験をしないと、お酒に振り回される事になるけど」


 「そ、そうですか……。頭が何か変なのですが、何かしました? 何故か知らない筈の事が、頭の中に浮かんでくるのです」


 「昨夜、撃沈した後に本体空間に連れて行って、睡眠学習モドキをさせたからね。寝ている最中に知識を入れたからそうなってるんだと思うよ。戦闘に関する知識と技術は、これから毎日ブチ込んでいくから」


 「はあ……分かりました」



 ティアはイマイチよく分かっていないが了承した。肉塊が心の中で笑っている事も知らずに。


 とはいえ、ミクもサンプルとしてのデータが増えるので喜んでいるだけである。もちろんサンプルは多ければ多いほど良いのだが……。


 そんな事を考えていたからだろうか、アレッサが無言で部屋を出た。そしてそれを追い駆けるミクと走るアレッサ。朝からいったい何をやっているのだろうか?。


 部屋に残されたティアは起き上がると、ゆっくりとした足取りで食堂へと行くのだった。


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