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0152・全員で第6エリアへ




 「よお、朝早くから待ってたけど、今日は随分と遅いんだな? いつもなら既に見たって聞くのに、今日は聞かなかったから、待ってたら来ると思ってたんだが……」


 「実はアタシ達も気になっててね。昨日、ミク達は第6エリアに行ったんだろ? 解体所の親方は第6エリアの獲物を持って来たって言ってたからね」


 「確かに昨日は第6エリアに行ったし、今日もこれから行くんだけど………一緒に行く?」


 「「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」」」



 <竜の牙>と<鮮烈の色>も一緒に行く事になり、随分と大所帯になってしまったが、ミク達は第6エリアのショートカット魔法陣に乗る。


 1階に着いたので、まずは北に行き砂浜へと出た。



 「おいおい、マジで海かよ……。ダンジョンの中だよな? って言いたくなっちまうぜ。ここは内陸のゴールダームだぞ? どう見ても海にしか見えねえし、あれがウィルドンのおやっさんが言ってたマーマンか」


 「あれが海、ねえ……。アタシは初めて見るけど、何か生臭いにおいがする。これが海って言われても、何だか微妙な感じだよ」


 「あんな二足歩行の魚が居るくらいだし、生臭いのは仕方ないんじゃない? 骨かな? あの三叉槍。随分変わってるけど、ここは第6エリアだから油断はしないようにしなきゃ」


 「だな。ああいう汚い武器で傷を負うと、そこから病気になってしまう。オレ達のような探索者に多い死亡原因だ。余計な傷は負わないに限る」


 「新しいエリアだからか、ジュードがお調子者のフリをしないわね? 思ってるより緊張してるのかしら?」


 「しかたない。あたらしいところ、わからない。うかつなこうどうをすると、しぬ。じゅーどもまじめにもどる」


 「ああ、真面目に戻る人だったんですか。お調子者の姿は偽物で、周りを冷静に観察してるんですね、分かります」


 「いやいや、分かってくれなくていいからね? エリュスターもバッズも何を言ってるんだよ、オレに変なイメージ付けないでくれよー」


 「もうバレてるし、ここ最近ミクと関わって驚く事も多かったから、かなり素が出てたわよ? もしかして気付いてなかった?」


 「………」



 どうやらジュード本人は化けの皮が剥がれている事に気がついていなかったらしい。口をパクパクして何かを言おうとしていたが、最後にガックリと項垂れた。どうやら本気で凹んでいるようだ。



 「そんな下らない話はいい。それよりも、ここの魔物と戦って実力を把握しておかないとな。何処かの誰かさんみたいに余裕で戦える訳じゃないんだ。油断してると死ぬダンジョン内である以上、気合い入れろお前ら!!」


 「「「「おお!!」」」」



 まずは<竜の牙>がマーマンと戦うようだ。いつも通りにバッズが最前線で盾を構え、魔物に近寄っていく。マーマンはバッズの後ろで構えるガルツォとオルディアーラに警戒しつつ、攻撃を繰り出してきた。


 しかしその三叉槍はバッズの盾に容易く弾かれ、右脇腹にオルディアーラの槍が刺さった後、ガルツォのグレートソードで袈裟に切り捨てられる。あっと言う間に戦闘は終わり、あっけなさに言葉が出ない<竜の牙>。



 「何かさ……コイツ弱くない? マーマンがどんな者かは知らなかったけどさ、幾らなんでもコレは無い! コレならマッスルベアーやスチールディアーの方がよっぽど強いじゃん!」


 「これは流石にワイバーン製の武器ってだけじゃないね。幾らなんでも弱過ぎる。第6エリア一番のザコなら分からないでもないから、まだ決められないけど……」


 「もしかしたら、第5エリアの方が大変で難しいかもしれない。そう思ってしまうのも仕方ないわよ。アイアンアントだって、もうちょっと強いし厄介だもの」



 第6エリアをどう評価していいか悩む<竜の牙>。もう1体いたマーマンを誘き寄せ、今度は<鮮烈の色>が戦う。とはいえ、セティアンが防いでファニスの一撃で終了。何の苦労も無かった。



 「ここまで簡単に切ったり刺したり出来るって事は、金属製の武器でも問題ないわよね? となると、本当に唯のザコでしかない。これを評価しろって言われても無理だよ」


 「とりあえず他の魔物と戦ってみないと判別は付かないね。蟹の魔物と亀の魔物とも戦ってみようよ」



 一応は戦ってみてから。両チームはそう考え戦うものの、ビッグクラブとブルータートルに大苦戦をする。


 ビッグクラブの爪の振り回しでバッズが倒され、あわや脳天に一撃をもらう寸前でミクが介入。カイトシールドで防いだので助かった。


 ブルータートルの噛みつきは異常に速く、あわやセティアンの足が食い千切られるところであった。こちらも助けたのはミクであり、伸ばしてきた首を鷲掴みにして引っこ抜いている。



 「あの速度で伸びてくる首を、どうして鷲掴みに出来るのか理解に苦しむけど、ありがとう。冗談抜きでマーマンが弱いだけだったわね。まさかビッグクラブとブルータートルが、こんなに強いなんて……」


 「流石にちょっとシャレになってないね。ビッグクラブのパワーは耐えられるみたいだけど、バッズが攻撃に移れないほど速い。まずは2本の腕のどっちかを潰さないと」


 「そうだな。まずは腕狙いで戦ってみるか。しっかし魔物のパワーが凄い事になってるな。今までなら倒される事は無かったんだが、アレだけ大きいとなあ……」


 「そう。おおきい、つよい。あいつのパワーは、いままででいちばん。マッスルベアーよりもつよい」


 「そこまでですか……。大きい癖に素早いんですよ、その所為でなかなか上手く攻撃を合わせられません。とにかく慣れる事が先でしょう」



 そのエリュスターの一言を皮切りに、<竜の牙>と<鮮烈の色>は自分達で戦闘をしていく事にした。とにかくエリア内の魔物に慣れないと、戦闘も上手くいかない。


 探索者の戦いというのは、何度も同じ相手と戦いコツを掴むというものだ。コツさえ掴めれば楽なのだが、それまでは苦労を重ねる事になる。


 第5エリアのマッスルベアーやスチールディアーもそうである。<竜の牙>の面々も余裕を持って勝てるパターンを作りだし、それで勝利し続けてきた。探索者の戦いとはそういうものなのだ。


 <鮮烈の色>は第5エリアのパターン作りが出来ているのかは分からない。ただ結局のところ、新規エリアでは自分達のパターンを作っていくしかないのだ。


 それを諦めるという事は攻略を諦めるという事であり、つまりは他の有象無象と変わらないという事になる。当然2チーム共にそんなつもりは無く、ミクが最前線といえども喰らいつくという意思は捨てていない。


 そういう意味では間違いなく、2チーム共に攻略者といえる立場であろう。他の者達の指針となる、重要な立場だ。



 ◆◆◆



 一方、重要な立場でも何でもなく、更には他の探索者が誰も真似できない怪物チームは移動している。階層の中央へと向かうべく森の中を歩いているのだが、上からの奇襲に辟易としていた。



 「【気配察知】で分かるからいいけど、本当にこの巨体は勘弁してほしいわね」


 「あたしもさ。【精神感知】で分かるからいいけど、それとこれとは意味が違うよ。こんな巨体が降ってきたら、避けられない事もある。その可能性を考えるとゾッとするねえ」


 「だからシャレになってないって言ったじゃん。首を圧し折られるんだよ? 見たら分かるでしょ?」


 「ああ、本当に分かるよ。冗談でもシャレにならないさ、これは。第6エリアは砂浜より森の方がたいへ、ふん!!」


 「ギョビィ!!?!?」



 足を上げて爪をかわすと、思いっきり地面に剣を突き刺したシャル。油断していなかったから助かったものの、これが第6エリアかと戦慄するのだった。


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