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0146・妖精の洞で昼食




 ギルドを出た2人は<妖精の洞>へと戻る。後ろから何人かがついてくるが、スラム近くまでくると大半がついてこない。そして残りも<妖精の洞>に入るのを見るや、脱兎の如く逃げ出した。


 相変わらずだが、その程度なら後ろをついてくるなと言いたいアレッサであった。ミクは慣れているのでガン無視しているし、アレッサもそこまで気にしていないのだが……どこか納得できない部分があるらしい。


 食堂に入ったミクは大銅貨6枚を出して注文すると、イリュを呼んでワイバーン装備を渡す。別に忘れていた訳ではなく、朝に会えなかったので渡すタイミングが無かっただけである。



 「おお! やっと私の装備が来たわね! これでダンジョンを突破していって、襲ってきた奴等を返り討ちね。うふふふふふ……」


 「一応だけど、安全の為にカルティクかシャルと一緒に行ってよ? <魔導強絶機>みたいなのを使われたら気絶するんだしさ。いや、カルティクだと同じように気絶するから、シャルの方が良いね」


 「サラっとあたしを巻き込むのは止めてほしいんだけどねえ。それはともかく、2人は第6エリアに行ったんだろう? どうだったんだい?」


 「あっ! 忘れてた!!」



 ミクはアイテムバッグから魚を取り出して、すぐに厨房に預けに行った。夕食に魚を使った料理を出してくれと言い、戻ったミクは残していた1匹を捌いて刺身にする。そのタイミングでカルティクも帰ってきたので、全員で試食を始めた。



 「「「美味しい!!」」」


 「ね! 美味しいのよ、この魚。初めて食べた時にもビックリしたけど、脂が多めだからか美味しいうえに、肉と違って軽いの。だから凄く食べやすいんだよ。魚の臭さも何故か無いし」


 「海の魚は美味しいって聞くけど、これは確かに美味しいわねえ。これ一つで第6エリアに行く価値があるって思えるわ。冗談でもなんでも無く」


 「確かに美味しいねえ。生でこれだけ美味しいって事は、料理したらどれだけ美味しくなるのか……。いや、ここまでだと逆に難しいのかもしれない」


 「それはあるかも。ウチの厨房も大変ねえ、ミクに預けられたみたいだし。……でも、これだけの魚なら焼いただけでも美味しい気がす、いえ、後はソースかな? どんな味のソースにするかで変わってくるわね」


 「柑橘系? は、ありきたりか……。焼いた時に出た脂に色々混ぜるとか? これ物が良いだけに、思っている以上の難題になりそう」


 「だからウチの厨房も大変って言ったのよ。ソース一つとっても、あえてサブに回すのか、それともメインの魚に負けない強さのソースにするのか。思っている以上に悩むと思うわよ?」


 「実際に料理する側は大変さ。アレコレと考えなきゃいけない事は多いし、相手は怪物だしで、頭を抱えてるかもね。ミクは特に気にしないだろうけど」


 「気にしないねー。私にとって最も美味しいのは、人間種の踊り食いだから、それ以下の物しか出てこないって分かりきってる。だからそこまで気にしないよ」


 「「「「………」」」」



 4人とも「そういえば、そうだった!」と思い出したが、踊り食いに対しては言える事が何も無いうえ、何も言いたくないのでスルーした。踊り食いにコメントしろと言われても困るだろうから、当然ではあろうが。



 「それより第6エリアの魔物だよ。魚で忘れてたけど、どんなのが出てくるんだい?」


 「解体所ではマーマンにビッグクラブ、それとブルータートルって言われたよ。魚みたいな人間種? 人間種みたいな魚? そんなのがマーマンでビッグクラブは大きな蟹」


 「ブルータートルは大きな亀だけど、血が美味しいってレティーが言ってたわ。それと、ミクが魔石の質の上げ方を見つけてた」


 「「「魔石の質?」」」


 「ワイバーンの魔石って透き通ってるんだよ。で、ブルータートルの魔石も澄んだ色をしてたの。それを見て【浄化魔法】で綺麗に出来るんじゃないかって思って、実際にやってみたら出来た」


 「ほら、透き通った色をしてるでしょ。ミクが言うにはゴブリンの魔石は物凄く濁ってるらしくて、それで【真偽判定】の紙に騙した結果を出せるんじゃないかって」


 「ワイバーンの魔石は綺麗で透き通ってたからね、そこの違いなんじゃないかと思ったのよ。魔力量の違いが主な原因とは考え難いからさ、となると質の違いの方がありそうでしょ?」


 「まあ、言ってる事は分かるんだけど、とんでもない事をした自覚が無さ過ぎる。実はミクと同じ事を考えた連中は居るんだよ、でも誰も成功してないんだ」


 「そうそう。昔から言われてて誰も成功してないのに、何で成功するのかしら? 何か理由があるの?」


 「【聖潔】を使ったら出来たんだから、別に変じゃないでしょ。そいつら魔法が下手で成功してなかっただけじゃない?」


 「そんな事は無いと思うわよ? 間違えてたらそもそも発動しないんだから、間違う筈は無いでしょう、ほら」



 そう言ってイリュが【聖潔】を発動させるが、ミクは即座に間違いを見つける。



 「いやいや、間違えてるから。そこよ、魔法陣の下側。そこは-じゃなくて、―だから。微妙な間違いだけど……って、あれ? 発動してる?」


 「もしかして、今までずっと魔法陣を間違えてたの? ……その所為で魔石の浄化に成功してなかった……とか?」


 「あたし達が使ってる魔法陣も間違ってる……? これはマズい! ミクの使ってる魔法陣と違うって事は、既に伝わってる魔法陣が根底から崩れる可能性がある。この件は慎重にしないと、神殿が敵に回るよ」


 「面倒な奴等が敵に回るかー……ま、それでも仕方ないんでしょうけどね。伝わってるものが間違ってるんだから、どうしようもないわよ。それに微妙な間違いだから、イリュが間違ってるだけなのかも」


 「失礼ね、私が間違う訳ないでしょ。何処の時点で間違って伝わったのかは分からないけど、微妙な間違いなら発動はするみたいね。少なくともミクは魔石を綺麗にできてるんだから、今使われてる魔法陣が間違っているのは事実よ」


 「私は神に知識をブチ込まれたから、もし私が間違ってたとしたら、神が悪いんであって私は悪くないよ。まあ、神が間違ってるとは思わないけど、教えられたのは【浄化魔法】だけだから。そこは間違えないようにね」


 「成る程、【浄化魔法】だけ……。いやいや、ミクが知ってる魔法陣が正しいって分かった以上、今までのは間違ってたという事よ。少なくとも【浄化魔法】に関しては、紙に書いていってくれない?」


 「別に良いけど、学び直すって事?」


 「当然よ。間違ったものを覚えていても仕方ないし、魔石が浄化できたら正しいって証明できるでしょ。そこまで説得するのは難しくないわ。それに神殿がケチをつけてきたら、そいつらもミクが喰えばいいんだし」


 「私としたら、肉が喰えるなら何でもいいよ。紙に書いて纏めればいいんだね?」


 「そう。紙は私が買ってきておくから宜しくね。あ、そうそう、予想以上に商人や貴族の反応が鈍いわ。アレッサの【罪業看破】に関わってくると思ってたんだけど、今のところは静観してる感じね」


 「ええ。それよりも王都防衛守備兵団の方が、アレッサに関わってこようとしてるわ。正しくは【罪業看破】と【真偽判定】ね。この2つを同時に持つなんて、まず居ないから」


 「あたしの方は真偽官協会だね。どうも、そこの上の方が危機感を持ってるらしいってのは聞いたよ。だから商人や貴族じゃなくて、そっちの方面から喧嘩を売ってくるかもね」


 「腹を探られて一番困る連中がダンマリを決め込むって事かー。ちょっと予想とは違う展開だねえ」


 「別に良いんじゃない? どのみち腐った真偽官が減れば、明るみに出る事も増えるだろうし、そこからこっちに手を出してくると思うよ」


 「まあねー」



 どのみちバカは黙っては居られない。そして墓穴を掘るのだ。そんな事は数千年に渡って繰り返されてきた事である。


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