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0140・真偽判定中




 「ワイバーンの魔石を使ったからこうなるって言われても……困るんだけど?」


 「困らないでしょ? 今までのより詳しく出るようになっただけだし、紫色の光なんてチャンスじゃない。だってどっちか分からない微妙なのとかも分かるんだよ? あれが真偽官の悪行の元だと思うしね」


 「悪行の元ってどういう事?」


 「イリュ、賄賂を渡されてる真偽官が居るんでしょ? 多分だけど、そういう連中は紫色で出てしまう質問を上手く利用してるんだと思う。つまりはどっちつかず的な質問。それを青く光らせたり赤く光らせたりで、犯人を助けたりしてるんだろうね」


 「どうやって?」


 「流石にそこまでは分からないよ。唯どういう罪を犯したか知っていれば、曖昧な質問は出来る筈。そして普通の真偽官が持っている【真偽判定】用の紙では紫色は出ない。その辺りじゃないのかな?」


 「どうやって真偽官が嘘の判定をしていたかは知られてないのよね。何故か罪を犯していないというか、嘘の判定が出たりする事は知られてたんだけど、その一端が見つかったかもしれないって事か……」


 「言い換えれば、ミクの作ったあの紙さえあれば、真偽官の嘘すら暴けるという事よね? 何故なら紫色で出るんだから、曖昧な質問は許さないって事じゃない?」


 「そうね。曖昧なものは曖昧と出るんだから、確かに精度は高いわね。どっちつかずの質問から、更に詰めていけば全容解明に役立つだろうし、ここで見つかった新たな知識は大「イヤーー!!」きいわ、うん?」



 【真偽判定】をしているアレッサが手を触れている女性。つまり犯罪者の女性が悲鳴を上げたが、周りは動いてもいない。何故悲鳴を上げたのか気になっていると、アレッサがニヤニヤしていた。



 「どしたのアレッサ? 何かニヤニヤしてるけど、悲鳴が上がったのはどういう事?」


 「いやー、このお姉さんの犯罪が明るみに出たんだよ。まさか、そんな事をしてたなんてねー。わたしは何も言わないけど色々と大変だよ、これから。御愁傷様!」


 「う、うう………」


 「結局、何があったのよ。そんな重罪を犯してたの?」


 「重罪と言えば重罪かな? このお姉さん、少年を食う人だったみたい。それがお姉さんの罪ね」


 「少年を? ………あー、そういう事。つまりチェリーを食ってた訳か。……まあ、そういう人も居るから、何とも言えないわね」


 「そもそも同じ事をした事があるイリュディナは何も言えないでしょ。少なくとも私が知っているのが4人居るんだけど?」


 「長く生きてると色々あるのよ。それでも4人なんだから、少ない、少ない。どうせこの子は百人斬りとかしてたんでしょ?」


 「さあ? 人数とかは聞いてないけど、少なくとも少年を食う人なのは分かったよ。微妙な罪だし、どうするのかな? わたしが考える事でも口を出す事でもないんだけどさ」


 「そうだね。他に犯罪が無いなら、さっさと次に行っていいよ。時間も掛かるし」


 「了解。貴女は少年食い以外には罪を犯していませんね?」


 「はい」


 「………赤く光ってるんだけど? 罪を隠していた以上、全部暴かせてもらうわよ!」



 結局この女性は少年が好みなだけで、若い見た目の男性なら結婚していても構わず食う人物だった。


 あまりにアレ過ぎるのと、使用人の中にも複数関係を持っている人物が居たので何とも言えなくなったのだが、侯爵は問題なしとした。


 勤務態度は真面目で非常にお堅い人物であり、有能なメイドでもあったのだ。流石に能力の高い人物は手放せず、更には普段真面目なだけに爆発するのだろうと結論付けられた。


 侯爵も多少言葉を濁したが、使用人が娼館に入り浸るよりはいいとの事。貴族家の使用人は娼館に行っただけで醜聞となるからであり、それに比べれば内側で済むだけマシだと思ったのだろう。


 一部の男性があからさまにホッとした雰囲気を出したが、他の女性達は冷めた表情を向けていた。当然であろうが。



 「アレな人が現れたけど、気を取り直して進めましょうか。貴族のおうちも色々あると知れたのはいいけど、本当にああいう人が居るんだね。噂話とか与太話では聞いた事あったけども、まさかねえ……」


 「それはいいから、さっさとやっちゃいなさいアレッサ。遅くなればなる程、帰るのも遅くなるのよ。貴方の頑張りに掛かってるんだから、しっかり!」


 「やっぱり苦労すんの、わたしだけじゃん」



 ガックリとしつつもアレッサは【真偽判定】を続けていき、昼食をはさんで少し休憩し、再び午後からも取り組んでいく。そして遂に情報の横流し犯を見つけた。



 「貴女は他の貴族家に情報を流していましたね?」


 「………」


 「黙っても青く光ってるから無駄。まさか奥様付きのメイド長が情報を流していたなんてね? 流石に長年に渡る裏切りなのか、元々なのかは知らないけど、貴女は簡単な罰では済まされないわよ?」



 傍で見守っていた侯爵の正妻も相当に厳しい顔をしている。何故なら実家から連れて来たメイドだからだ。今では侯爵家のメイド長にまでなったのに、自分の実家ではなく、全く別の関係も無い伯爵家に流していたのだ。


 何故? という思いは強いだろう。だが、それも暴かれた真実で納得した。


 メイド長の女性は実家が男爵家であり、父親が陞爵の為にお金をバラ撒いたのだ。当然それは借金からであり、それに目をつけたのが実家を含む貴族派閥のトップである伯爵だった。


 そして実家の借金返済の為に、伯爵家に情報を流し続けていたのだ。結果としては当然許される事ではないが、侯爵は伯爵家の情報は取れるかと聞く。



 「可能ではございます。間に入っているのは私の知り合いである情報屋であり、私とその情報屋は男と女の関係でございますので」


 「貴女、そんな事まで……!」


 「私と実家を守る為には、伯爵家の弱みを持っておく必要がございました。しかし、伯爵家の弱みを手に入れる為の対価が安い筈はございません。ですので……」


 「ああ……なんて事………」


 「長く関係は続いておりますれば、今さら若い頃のように怨みや憎しみを持ったままでは居られません。そうあり続ければ何処かで壊れてしまいます。いえ、そう思う事自体、既に壊れているのかもしれませんが……」


 「まあ、そこは詳しく聞かぬ。その情報屋から伯爵家の弱みは手に入ったのか?」


 「はい。それに関しては私の与えられている私室に置いてあります。もし私が何者かに殺されれば、それが見つかるようにしておきました。それを取って「ギィン!!」くれ……?」


 「おっとっと、私の目の前で上手くいくと思ってるのかな? それにしてもシャルも早かったねえ」


 「そこのメイド長が話している時から、この兵士は悪意を撒き散らしていたんだよ。あたしは【精神感知】と【精神看破】を持ってる。悪いけど、欺く事は出来ないよ?」


 「うっ、ぐ………」



 剣を抜くと同時にメイド長を切ろうと思ったのだろうが、その剣はミクの大型ナイフに止められており、男性兵士の首筋にはシャルが剣を添えている。いつでも切り裂けるというところだろう。


 どうやらこの兵士からも色々と聞かなければならないようだ。むしろメイド長以上に聞くべき事が多く時間が掛かるだろう。ならばとミクは兵士を取り押さえ、男に<奴隷の首輪>を嵌めた。



 「奴隷の首輪だと……? 何故そんな物を持っておる」


 「それ、私に使われたヤツよね? 何でミクが持ったままなの?」


 「何かに使えるかと思って。イリュが使われたヤツはイリュが持ったままだよ」


 「何かに使えるかと思って?」


 「「………」」



 シャルとカルティクがジト目で見ているが、イリュはどこ吹く風だ。そしてその間もマイペースに尋問しているアレッサ。


 何処に集中したらいいのか悩む嫡男と家令であった。


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