1108・グレータークラスと鑑定結果
Side:ミク
私達は探索者ギルドに残った死体を回収し、売却金を受け取ったらさっさと屋敷へと戻る。ディビルトの第二王子とやらと<魔導>の魂魄は記憶しているので、何処に居るのかはすぐに分かる。というか、ウェルトゥーザの連中も泊まっていた宿だ。
表通りにある高級宿だけど、高級ってだけで泊まってる気がするね。それはともかく奴等に対する報復は夜になってからだ。それまではゆっくりと過ごす事にしよう。いつでもどうにでも出来る相手だしね。
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Side:ファーダ
夜になったので、再び俺は動き出す。既にドラゴンを持って帰る仕事も終わったので暇と言えば暇ではある。レティーとセリオはミク達についていくみたいだし、俺とノノはゆっくりと過ごす事が可能となった。ま、今まで忙しかったので息抜きをさせてもらおう。
実際にはミクも息抜きに近いし、20階程度ならば遊びにしかならない。というか俺達の場合は50階を越えても遊びにしかならないからな。毎回行くのが面倒なだけで。
おっと、適当な思考をしていて気付かれたらシャレにならんからな。ここからは集中して進もう。
透明ムカデの姿で高級宿の壁に張り付いた俺は、第二王子の魂魄反応のある2階の部屋の窓に近付く。その窓を外側から開けて中へと入る。窓は左右に開くタイプで内側には閂式の鍵が付いているが、触手を入れて持ち上げれば簡単に開く。
ムカデの体が入る隙間さえ開けばいいので、極僅かに開けたらすぐに閉じる。音は全て広がる前に振動を喰っているので、部屋の中の者の耳には伝わっていない。振動を無くすとは音を無くすという事だからな。
部屋の中には第二王子と何人かが居た。<魔導>という女は別の部屋に居るのが分かっているので後だ。まずは部屋の中の第二王子以外に触手を突き刺し、眠りの香りを注入して深い睡眠に落とす。これで第二王子を起こしても問題あるまい。
次に第二王子に魅了の香りを注入し、起こして色々と聞いていく。聞く事は多くないものの構成員などを聞いたら、後は眠りの香りを注入して寝かせる。それが終わったら少々の記憶を喰って数時間分の記憶を消す。
扉の隙間から部屋の外へと出ると、隣の部屋に行って外務卿と騎士2人にも眠りの香りを注入。そして本体空間に入れた。これで後は<魔導>という女だけか。さっさと終わらせるかな。
俺は第二王子の部屋の反対側にある部屋へと行く。つまり外務卿の部屋とは逆だ。その部屋に侵入し、一人で寝ている<魔導>の鼻先に眠りの香りを撒く。<アーククラス>にはこの方法でないと危険だからな。
それにしても、あの星のマンドレイクやアルラウネの能力は本当に役に立つ。あそこで手に入れていなかったら、今ごろ面倒で殺していたかもしれんしな。もしくは手を出さずに戻ったか。ま、警告の意味なんで諦めてもらうか。
この女は<輝剣>と違って俺達に敵対していなければ手も出してない。なので本来なら、このまま寝かせてやっていても構わないんだがな。しかしコイツ自身にも警告はしておかねばならん。なので眠らせて移動させる。
十分に眠ったのが分かったら、触手を突き刺して眠りの香りを直接注入して本体空間へ。その後は第二王子の部屋に戻り、全員を本体空間に入れたら窓から外に出る。そして屋根の上に登ったら、鳥の姿になって一気に飛んでいく。
ノノが既に行っているので場所は分かっている。なのでさっさと急行した俺は、ウェルトゥーザと同じく王城に入り込んで謁見の間を探す。程なくして見つかったので、第二王子を出して玉座に座らせたら縄で縛りつける。
次に外務卿を出して手足を縄で縛ったら、第二王子の足下に転がした。その後に騎士達を本体空間で裸に剥き、転送したら八つ裂きにして殺す。玉座と周りを死体塗れにしたら創造神の権能で腐敗させ、十二分に腐らせたら謁見の間を出る。
扉の隙間を抜けて外に出たら、謁見の間への扉の前に<魔導>を寝かせ、俺はさっさと王城を脱出した。ウェルトゥーザの時と同じように一定の距離を離れたら【神聖浄滅界】を使い、十分に綺麗になったら本体空間へと戻る。
後はゆっくりと休むか。どうせやる事も無いしな。
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Side:ミク
ファーダがディビルトの連中を帰した次の日。私達はダンジョンへと出かける。今日は20階以降に進む訳だけど、大事なのは慎重に進むのと、罠を発見出来るだけの自力を付ける事だ。特に罠を発見する力は三人に身につけさせたい。
いつも通りに進んでいき、20階の蛇を倒して先へと進もうとしたんだけど、階段の途中で三人を呼び止める。
「皆、階段の途中で一旦ストップ。どうやら位階が上がってるっぽい感じがする。私は魂を確認できるんだけど、その強さで大凡の位階を判断する事が可能なんだ。で、三人の位階がまた上がったっぽい」
「という事は<グレータークラス>に上がったという事? あの王も言っていたけど、位階が上がる理由って本当に不明ね。とはいえ今までの傾向からいって、ダンジョンボスを倒すと上がりやすい?」
「ダンジョン内では多分そうなんじゃないかな? 外ではまた別なんだろうけど、ダンジョン内ではそうである可能性が高いね。まずは階段で一旦休憩しつつ、位階が上がったかを確認しよう。どうも魂の反応だけでは正しくないっぽくて、おそらく複合的に判断されて位階が決まってるみたいなんだ」
「つまり魂で何となく分かるけど、実際には調べてみるしかないと?」
「そういう事」
そう言いながら私はアイテムバッグの中から<鑑定の水晶>を取り出し、まずはニニに渡した。
ニニは受け取った後、わくわくしながらウィンドウが出るのを待っている。すぐに出たので確認すると、思ったよりも変化をしていた。
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<ニニ>
種族:猫人族
位階:グレーター
年齢:10
性別:女
スキル:妖猫化・悪意感知・猫の髭
特殊:危険察知
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「ねこのひげ?」
「それ以前に【妖猫化】って何よ? 猫又にでもなる……っていうか、【浄化】スキルが無くなってるわよ?」
「ほんとうだ!」
「神がもう必要ないからってニニから回収したんじゃない? ニニだけじゃなくルルもヴィーも【聖浄】が使えるんだし、【浄化】スキルが無くても<奴隷の首輪>は外せるでしょ」
「ああ、確かにそうですね。となると、確かに【浄化】スキルは必要ありません。それに元々は神様の御力だそうですし、取り上げられた方が良いのかもしれません。だってこれが本来のニニの力な訳ですし」
「そうだね。で、次はルルが確認しようか」
ニニから<鑑定の水晶>を渡されたルルも、少しわくわくしながら待っているようだ。気持ちは分かるけどね。
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<ルルラーナ・イカルガ>
種族:人間族
位階:グレーター
年齢:16
性別:女
スキル:精神看破・精神感知・威圧
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「………」
「これで精神的に攻撃する手段が出来たね。それにしても益々シャルと似た感じになってるかな? とはいえこの星ではクラスがあるから、アルデムに比べてぽんぽんスキルが増えるみたいだけど」
「ま、とりあえず言う事は特に無いわね。便利になったんじゃない? ってくらいかしら。で、最後はヴィーね」
落ち込むルルから<鑑定の水晶>を渡されたヴィーは、何とも言えない目をしつつも受け取ってウィンドウを待つ。
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<ヴィレンディア・マルドゥス・ドラグール>
種族:竜人族
位階:グレーター
年齢:15
性別:女
スキル:健康・頑強・頑健
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「これも肉体に関するスキルですね。どんどんと自分の体が強くなっているのは嬉しいのですが、他に何かないのでしょうか?」
「別に良いじゃない。私なんて今さら【威圧】よ? もちろん上手く使えば役に立つんだとは思うけど……」
ま、今は役に立つとは思えないんだね。それなりに使えるスキルではあるんだけど、確かに位階が上がって手に入ったスキルが【威圧】じゃ納得いかないか。




