表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1108/1113

1103・怪物流の報復




 Side:ファーダ



 今は夜も遅い時間帯だ。ミクとノノは屋敷の防衛を担っており、俺だけが外に出て阿呆どもを待ち構えている。夕方に食事に出た際にウェルトゥーザの者どもに会ったので、奴等は俺達の屋敷近くまでついて来ていた。


 一応お忍びなので貴族街までは入ってこれず、しかし俺達の屋敷は平民街に近いので分かっただろう。わざわざ見えるようにして入って行ったのだからな。後は待っていれば向かってくるので楽なのだが……。まだ来ないのか?。


 透明の触手を伸ばしてウェルトゥーザの連中が泊まっている宿のある通りを監視しているのだが、何故か深夜であるこの時間になっても出てこないな? 迂闊に【空間魔法】を使うと<アーククラス>の<輝剣>とやらに察知されるかもしれん。


 なので【空間魔法】は使えんのだが………出たか。ようやく来るのか、随分と待たせてくれるものだ。さて、連中の事を考えてやる必要も無いし、俺達を敵に回すとどうなるのか教えてやろう。あの<アーククラス>の阿呆にもな。


 俺は屋敷の前でムカデの姿をして待っている。もちろん透明化しているので見えてはいないだろう、そのうえ小さいので尚の事バカどもには見つかるまい。それはともかく奴等はどういう方法で貴族街に来るのだ? 門は閉まっているのだが……。


 ………ほう、簡易な門とはいえ鉤縄なんぞを持っているとはな。夜になると門番も居なくなり、貴族街への門は完全に閉じられる。だが逆に言えば、門番が居ないのだから多少大きな音を出してもバレはしないだろう。とはいえ手慣れている連中だな。裏の事を専門にしている連中だったのか?。


 そいつらは門を登って越えた後、俺達の屋敷の前まで来て触手を突き刺された。そのまま連中に眠りの香りを注入した俺は、本体空間に転送した後でウェルトゥーザの連中が泊まっている宿へと向かう。当然、報復の為だ。


 宿の壁を登っていき、窓から音も無く侵入する。そもそも音がしたとしても、その振動を喰ってしまえば音は広がらない。そして広がらないという事は、音がしないという事でもある。誰にも聞こえない音は発生していないのと同じだ。


 音を観測できた者が居ない以上は、それは無きものと見做される。この世の全ては観測者が居るから成立する訳で、観測者が居なければ全ては不明でしかない。それら不明なものを観測して確定させているのが<根源の神>でもある。奴等が忙しい理由の一つだ。


 侵入した俺は触手を伸ばして探すも、<アーククラス>の<輝剣>は見つからなかった。どうやら王太子とは違う場所で寝泊りしているらしい。……いや、ミクが言っていた外務卿とやらも居ないぞ。そっちも別の部屋か。まあいい、まずは阿呆の王太子と護衛の騎士からだ。


 俺は触手を突き刺して眠りの香りを注入すると、そいつらを放っておいて部屋の扉の隙間から廊下へと出る。そのまま移動し、扉の隙間から部屋の中へと触手を入れて調べていく。左隣の部屋にオッサンが居るので、おそらくこれが外務卿だろう。


 俺は外務卿の部屋に入ると、さっさと触手を突き刺して眠りの香りを注入し、完全に眠らせたら本体空間に転送する。さて、残りは<輝剣>だが何処だ? ここが王太子の左隣なんだから、普通に考えれば右隣だろう。


 そう思って中を調べるも誰も居なかった。おかしい、<輝剣>とやらは何処に行ったんだ? ………仕方ない、魂の反応を調べる事にするか。バレる可能性があったので使いたくはなかったんだが、背に腹は代えられん。


 周囲の魂の反応を探ると、幾つか確認できた。その中で<アーククラス>と思わしき魂を探す。………あった! しかし何で一階に泊まってるんだ? 意味が分からん。普通は王太子を守る為に近くに居るのが普通だろうに。


 よく分からんなと思いながらも一階に下り、俺は<輝剣>の泊まっている部屋へと侵入する。気配、魔力、精神、生命、魂魄、存在。この六つを隠蔽している為、<アーククラス>とやらでも気付かんようだな。


 俺は<輝剣>に近付くと、寝ている<輝剣>の鼻の近くに触手を近づけ、眠りの香りを嗅がせる。コイツの場合は突き刺すと即座に動く可能性があり、無理矢理に剥がされる可能性がある。そういう危険は冒せないので、嗅がせる形にした。


 十分に嗅がせて深い眠りに落としたら、今度は突き刺して注入する。こちらも気付かれる事なく果たしたので、俺は<輝剣>を本体空間に入れて王太子の部屋へと戻る。最後に王太子の部屋に居る者を全員本体空間に入れたら準備は完了。ここからは時間との勝負だ。


 俺は王太子の部屋の窓から出ると、宿の屋根に上がって鳥の姿に変わる。そして一気に飛び上がるとウェルトゥーザ王国へと向かう。既に場所は知っているので、最速で向かった。


 ウェルトゥーザの王城に着いた俺は、王太子の部屋を探して王城内を移動。色々と見て回ったが分からなかったので、仕方なく謁見の間で手を打つ事にした。俺は玉座に王太子を座らせると縛りつけ、更に強い眠りの香りを注入しておく。


 そして本体空間から<輝剣>を出し、コイツにも強い眠りの香りを注入したら王太子の足下に転がす。次に外務卿にも同じ事をしたら、更に騎士どもを出して裸に剥くと八つ裂きにし、玉座の周りにどんどん置いていく。


 全てを八つ裂きにして置いたら、最後に創造の神の権能を用いて腐敗を加速させる。十分に全てが腐敗して穢れたら、俺は報復完了として王城から外に出た。


 玉座もその周りも腐敗した肉と雑菌という汚物塗れだ。腸の中の糞も腐敗を助長しているので、新しい玉座にしてもその周りの臭いは取れないんじゃないかと思う。


 ま、腐った国には相応しい玉座だし、よくお似合いだろうさ。王城から飛び立った俺は、ある程度の距離を離れたら自分を中心に【神聖浄滅界】を使用してみた。


 …………凄い魔力の消費量だが、半径で5キロぐらいの範囲を完全に浄化し切ったな? 何だこのメチャクチャな魔法は? 初めて使ったが、これは余程の事が無い限り使用しない方が良い。目立って仕方がないし、誰が使ったかバレそうだ。


 溜息を吐きながらも本体空間に戻った俺は、朝まで適当に過ごすのだった。


 …

 ……

 ………


 朝、玄関から出る前に皆に情報共有の為に話しておく。



 「昨日のウェルトゥーザの王大使とその一行は、夜の間に眠らせて拉致し、ウェルトゥーザの王城まで連れて行った。そして謁見の間の玉座に王太子を座らせて縛りつけ、その足下に縛った<輝剣>と外務卿も寝かせてある」


 「うん。それは分かったけど、昨夜は襲ってきた奴等を返り討ちにするんじゃなかったのかい? 確かそういう予定だったろ?」


 「そうだ。だから襲ってきた奴等を眠らせて本体空間に入れ、残りの奴等を拉致し、先ほど言った通りにした訳だ。その後、騎士どもを八つ裂きにして死体を撒き、最後に創造神の権能で死体を一気に腐敗させた。おそらくあの臭いは取れんだろう」


 「「「「「「「「「うわぁ………」」」」」」」」」


 「そこまで引く事かな? こっちに喧嘩を売ってきたんだから、それぐらいの目に遭う覚悟ぐらいはしてもらわないとねえ。どうせ向こうは戦争で儲ける奴等の為に戦争をせざるを得ないんだからさ。十二分に苦しんでもらおうか」


 「そうだな。戦争で儲ける商人どもから、裏で献金を受けておるのだ。結局のところは己らの醜い欲望が原因なのだから、王権を穢されても文句は言えまい? むしろ己らの所業で既に穢れているのだ、ファーダがやったのは物理的に汚したに過ぎん」


 「染み付いて取れないところも、腐った国とよく似ているよ。心からそう思う」


 「「「「「「「「「………」」」」」」」」」



 皆も微妙に考え込んでいるな。死体を腐敗させた事にはドン引きしていたが、腐敗具合がそっくりだと気付くと納得しているようだ。


 そもそも今まで竜人国や召還者が受けた被害を考えると、これでもまだまだ甘いものでしかないのだがな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ