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1097・ボス狼戦と楽な勝ち方




 Side:ミク



 適当な雑談という休憩を終わらせた私達は、21階へと進まず上へと戻っていく。理由としては、10階のボス狼を三人だけで討伐していないからだ。それよりも先に20階の巨大蛇を討伐してしまった為、順番がおかしな事になってしまっている。


 今の三人では本来これない場所のボスを先に倒したのだから、どうしたって順序は狂ってしまう。なので10階まで戻り、そこでボス狼を三人だけで倒してもらわないといけない。まあ、最悪は〝アレ〟を利用すれば絶対に勝てるから気にしなくても良いんだけどね。


 私達は走って戻っていく。休憩はアルデムのダンジョンと同じく途中の階段だ。この星のダンジョンもそこは魔物の出ないセーフティゾーンなので、他の探索者が居ない限りは安全となる。もちろん盗賊の如き奴等も居るので気をつけなければいけないが、私達が居る以上問題は無い。


 何度か休憩しながら戻り、10階の扉に触れて隠し通路の側へと戻る。そこまで戻った私達は隠し通路内で休憩し、終わったらボス扉の前へと行く。そこで三人は作戦を話し合い、結論が出たのでボス部屋の中へ。


 扉を開いて中に入り、入り口が閉じたら魔法陣が出現。光り輝くと、その上からボス狼が三頭現れた。三人は即座に【身体強化】を纏って動き出し、ニニは素早く棒手裏剣を右端のボス狼の左目に直撃させる。


 その痛みで喚いている間に、正面の狼に近付いたヴィーは鞭でボス狼の顔面を攻撃。ボス狼は痛みに転げる。どうやら上手く目に直撃したらしい。その左ではルルがボス狼と対峙しており、お互いに動けない形となっていた。


 ルルが最もリーチが短いとも言えるので、とにかく左端の狼を釘付けにしている役目を負っている。その間に他の二人が一頭でも倒せれば一気にボスは弱体化するので、後は一頭一頭を始末すれば終わり。とどのつまり、大事なのは最初の一頭を如何に倒すかだけだ。


 ルルがお互いに睨み合っている間も、真ん中の狼に鞭で集中攻撃するヴィー。あの鞭には棘などを付けたりしていないが、ドラゴン皮の耐久力が非常に高いので魔物の毛や皮膚に負けていない。その所為か、皮膚の表面が結構なダメージを受けているみたいだ。


 毛で防げるとはいえ攻撃は受けているうえ、ヴィーは【火弾】も使っている。【根源魔法】である以上は強度として魔法の方が高い為、ボス狼の毛は簡単に燃やされていってしまう。そうなると守る毛は無くなる訳で、今度は鞭が直撃して大きなダメージを受ける。



 「GYAU!? GYAN!!?」



 バシィ! バシィンッ! と二回音が鳴り、毛の無い所を鞭で叩かれた狼は激しい痛みに転げ回る。人間だって鞭で叩かれたら死ぬ事だって普通にあるんだ。して使われている鞭はドラゴンの皮で作られた代物。普通の皮じゃない。


 ボス狼の皮膚など歯牙にも掛けぬ程の堅牢さと同時に、服にも出来る程の柔軟さも兼ね備えた不思議な皮。それがドラゴンの皮である以上、毛が無くなればその破壊力と衝撃は一気に来る。また、ヴィーは上手く鞭を操っており、きちんと当たる前に手首を戻している。


 鞭先が最大速度になるように教えたが、教えた通りに扱っている為、【身体強化】も加えた速度は音速など簡単に超えている。そもそも人間が使っても鞭先は音速を超える事もあるんだから、竜人族のヴィーが【身体強化】まで使って超えない筈が無い。


 その一撃を喰らっているボス狼が痛みに転げ回るのはよく分かる。既に焼けた毛の部分は叩かれ血がかなり出てきているし、それぐらいの威力で叩かれているという事だ。鞭とて十分な武器になるだけの威力をしている。それが如実に現れてるね。


 おっと、ニニが右の狼の右目に棒手裏剣を刺す事に成功したみたいだ。これでやっと状況が動くね。左では相変わらずルルとボス狼が睨み合っている。ボス狼は中央の狼を助けに行きたいんだけど、ルルが槍を構えたままプレッシャーを与えているので、動きたくても動けないんだ。


 この辺りは上手くやっていると言えるし、同時に左の狼が助けに入ったら即座に動くだろう。今ルルが持っているのは笹穂槍だから、斬撃も十分に出来る。アレで後ろ足でも切り裂いてやれば、戦闘能力はガクッと下がるのは確実。


 そしてボス狼もそれが分かっているから迂闊に動けない。そんな睨み合いをしているから、ニニがボス狼を始末するまで膠着するんだよ。両目を潰したニニは素早く【身体強化】で接近し、右前足を斬り裂いて転倒させた。そこから首を切り裂いて血を噴出させたら放置し、一目散に真ん中のボス狼の後方へと走る。


 ヴィーは鞭で叩き痛みを刷り込んでいたが、暴れる狼の足をニニが切り裂き戦闘能力を落とす。それを見た左端の狼は遂に動いたけど、正直に言って動くのが遅すぎる。慌てて助けに行ったボス狼の側面から、【身体強化】をしたルルが右前足に槍を振り抜く。


 スパッと切断とはいかなかったが、それでも半分以上を切り裂いた。そこまで傷が深ければどうなるかは火を見るより明らかだ。そもそも大きなボス狼は重い。自分の足が自重で千切れて潰れ、助ける事も出来ずに絶叫を上げる。



 「GAAAAAAAA!?!?!?!!」



 絶叫が上がり転げ回る左のボス狼を放っておき、ニニは冷静に真ん中の狼の首を切り裂き致命傷を与えた。その後すぐに後ろを振り向いたが、右のボス狼は血を流しすぎたのか既に死亡している。


 ニニは死亡か気絶か判断できなかったようだけど、気絶でも動きはしないのだからと判断したのだろう、まだ生きている左のボス狼へと接近する。しかしそれより速くルルの振り下ろしが決まり、左のボス狼は首から血を噴出し始めた。


 本体がわざわざ切れ味を上げた代物だからね。10階のボス程度に効かない筈がないし、簡単に切る事が出来る。そもそもコイツらは通常の狼が大きくなっただけだ。何か特殊な能力を持つ訳でもなく、魔法を使ってくる訳でもない。非常にシンプルなだけに勝ち方は沢山ある。


 私が用意していたのは、日本で買った米酢だ。コレを狼の顔に掛けてやれば、それだけでまともに戦えなくなるだろう。【水魔法】で操って、【水弾】としてぶつけてやればいい。それだけで簡単に勝てる。


 結局は使う事もなかったけど、せっかくなら実験しておきたいところだね。ボス狼に本当に効くのかどうかをさ。


 喜び合っている三人に報酬を収納させ、私達はボス部屋を出て扉が閉まるのを待つ。閉まったら扉に触れて戻り、もう一度ボス戦を行わせる。三人はちょっと嫌そうな顔をしたけど、今度は私が攻撃してからだと言っておく。


 三人はよく分からないながらも首肯し、再びボス部屋に入ってボスが出てくるのを待つ。私はアイテムバッグを下ろし、中からお酢を出したら【水弾】で三つに分けて制御し空中で待機させる。


 そしてボス狼が現れた瞬間に発射し、それぞれの鼻先にぶち当ててやった。



 「「「GYUAAAAAAA!!?!?!!?!」」」



 ボス狼が激しく転げ回り、まったく近付く事も出来ない。その状態で私は三人に攻撃をさせる。ただし【身体強化】と武器に魔力を通してだ。三人はすぐに理解し、【身体強化】と魔力での武器強化を加えて頭へと攻撃した。


 ニニの突きはボス狼の頭に深くまで刺さり、致命傷に。ルルの攻撃も同じく頭の深くまで刺さり、それが致命傷となった。そしてヴィーの一撃はボス狼の頭をカチ割り、その一撃で噴水のように血が噴出する。


 先程の戦いも武器を強化していれば楽だったんだけど、三人は忘れたまま戦っていた。【身体強化】と違って武器に魔力を流して強化するのは、武器の素材が良くないと出来ないからね。口頭で説明したけど忘れてたんだろう。


 あっさりとボス戦が終わったので、こちらにジト目を向ける五人。なので私は説明しておく。



 「さっき飛ばしたのはお酢で、狼の強い嗅覚には劇物だったってだけだよ」


 「「「「「………」」」」」 「おす?」 「あーう?」



 どうやら五人は呆れているらしい。でも、竜人国に売っているお酢でも同じ効果はあるけどね? ボス狼にはよく効くと思うけど、なんで誰も使わないんだろう。


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