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1093・ハルキの冒険 その19




 Side:ハルキ・ゴトウ



 ドワーフの人ことラトリウルを名前で呼ぶ事になった。とはいえ省略してラトと呼ぶ事になったんだけど、ついでに狼の人もフィグリスと呼ぶ事になった。略すと五月蝿そうなので略して呼んだりはしない。


 そして武具屋に行き購入していくのだが、お金はオレ達が立て替える形だ。そして最終的に選ばれたのが、ラトはカイトシールドと片手斧、フィグリスはポールアックスに決めた。武器を前に悩んでいたフィグリスにアドバイスをしたのはラトだ。


 ちなみにここでいうカイトシールドは、凧の形をした盾ではなく涙滴型を上下逆さまにした物だった。この世界では凧の形の物をカイトシールドとは言わないんだろうか? まあ、そこは置いとこう。オレだってゲームのイメージでそう思ってるだけだし。


 二人も革鎧と剣帯と短剣は持ったので、探索者ギルドでラトを登録したら後は宿の変更をするだけだ。そう思ったのだが、ラトとフィグリスは二人部屋でいいとの事。期間延長と二人部屋をとる事は出来たが、明日からお金儲けをしなければマズいと言うぐらいには懐が寒くなった。


 その結果ラトには酒場を諦めてもらい、普通に食事をして宿へと戻る。明日からは飲めるから今日だけは我慢してほしい。そう言って説得するものの、どうしても納得できないのか五月蝿い。


 何とか耐えてもらったが、酒の飲めないドワーフをなだめるのは大変だったよ、本当。その後は宿に戻り、気絶するように寝かされて一日が終わった。


 …

 ……

 ………


 次の日。オレ達は昼食のサンドイッチを買って出発。ダンジョンの10階まで出来るだけ早く進んで行く。ドワーフのラトが居るので時間が掛かるかと思ったのだが、ラトは背が低いだけで体力は十分にあった。その御蔭で早く10階に辿り着く。


 オレ達はボス部屋の中に入り、ゴブリン軍団との戦闘を始める。とはいえ然したる強さもしていないので、どちらかというとラトとフィグリスのお試しだ。ラトは戦えるかどうか、フィグリスはポールアックスが使えるかどうかだ。


 二人とも大した問題は無く、あっさりと戦って倒していたので問題なし。ボスドロップを回収したら、すぐに11階へと進む。


 ここからは牛の足を傷つけて動けなくしたら逃走を繰り返し、一気に進んでいって20階。誰も居なかったので作戦を話し合う。といっても重要な点は教えず、何をするかだけを話す。何処で誰が聞いているか分からないからだ。


 そして20階のボスであるオーガ戦。オレはいつも通り左端のオーガに接近し、隙を見つけたら一気に走って突っ込む。足を潰す事に成功したオレは、後の事をラトとフィグリスに任せて次のオーガへ。


 ミューが相手をしているオーガの足を潰したら、最後にアムが相手をしているオーガの足を潰す。二人はあっさり頭をカチ割って勝利したものの、ラトとフィグリスが梃子摺てこずっていた。どうにもオーガが恐いらしい。


 気持ちは分かるが、ここで倒せないとこの先マズい事になるので見守る。ラトはブンブン振り回されるオーガの棍棒を恐れ、フィグリスは攻めあぐねている。それはオーガが上手く後ろに回れないようにしているからだ。


 膠着しているのでどうするかと思っていたら、ラトが勇気を出して前に行き、オーガの棍棒を盾で止める。かなりのパワーだったのだろうが踏ん張り、盾で完全に止めきった。凄い事をやってのけたなと思う。


 その隙を突いてフィグリスが出ようとするものの、オーガの左腕が襲ってきたのでサイドステップ。しかしすぐにオーガは腕を引っ込め、再び棍棒を振ってラトに叩きつける。今度は上からだった。


 しかしそれでもラトは踏ん張って防ぎ、何とか耐え切った。その瞬間一気に出たフィグリスは、オーガが再び左手で掴みに来たものの、その左手に対してポールアックスを振るう。手を派手に攻撃されたオーガはその痛みで手を引き戻す。


 その隙を見逃さずラトが前進しようとするも、怒ったオーガは棍棒で何度も殴打する。縦に振り下ろされる棍棒を何度も盾で防ぐラト。このままじゃマズいかと思ったが、ラトの体が少し光り出した。アレは……もしかして新しいスキルなのか?。


 光っているラトはオーガの棍棒など意に介さず、完全に防ぎきっておりビクともしない。そしてその隙に後ろに回りこんでいたフィグリスが思いっきり左足にポールアックスを振り下ろす。驚く事にフィグリスは両腕から紫色のオーラを噴出させていた。


 そのフィグリスの攻撃はあっさりとオーガの足首を断ち切り、足を完全に切断しきった。絶叫するオーガは前に倒れるが、それを理解していたラトは既にバックステップで離れている。


 そのラトの前に倒れて差し出されるオーガの頭。その状況でやるべき事は一つだけだし、そんな事も分からないラトじゃない。全力で片手斧をオーガの頭に叩きつけ、オーガは頭をカチ割られた。


 流石はドワーフのパワーと言うべきか、それとも新しい光る体の御蔭か。一撃でカチ割られたオーガは血を噴水のように噴出しつつ、ビクビクと痙攣しながら息絶えた。ボスの死体が消えていき、ボス部屋の中央には鞄が出現。



 「お疲れー。ラトにはこの鞄を背負ってもらうとして、まずはオーガの牙を収納するのが先か」


 「そうね。オーガの牙を収納したら背負わせて、後は隠し通路で昼食にしましょうか。そこで話すべき事も話すわ」



 そう言って会話を切るとラトに回収させ、鞄を背負わせたらそのまま外へ。ラトも何となくアイテムバッグだと気付いているみたいだが、オレ達はそれを無視する形でボス部屋を出る。後続が居るかもしれないので、ボス戦が終わったらさっさろ出ないとな。


 オレ達はすぐに隠し通路に行き、そこでようやく一息吐いた。ラトとフィグリスも聞きたい事があるようなので、とりあえず小声で話を始める。誰かが来るかもしれないから大きな声だと聞こえてしまう。



 「あのオーガとの戦いだけど、頭をカチ割って殺すのと魔法などを一切使わずに勝ったら、おそらく確定でアイテムバッグが出るんだと思う。私達は今までで五回ボスと戦ったけど、五回ともアイテムバッグが出てるのよ。なら確定と言っていいでしょう?」


 「それは確定だの。しかしエルフの国のダンジョンで魔法を使わずに倒せとは……面白いとは言えるか。ワシの元居た世界でもエルフといえば魔法だったからな。アレらは魔法が使えるというだけで高慢なところがあった」


 「この世界では分からないけど、あんまり良いイメージは無いわね。私の場合は襲われたからだけど。そういえば私達と一緒に助かったエルフはどうしたの?」


 「アレか。異世界のエルフとはいえ同じエルフだからか、快く受け入れられておったぞ。果たしてそれが本当の姿なのか仮面なのかは知らんがな。同族とはいえ異世界のとなれば他種族に等しいであろうし、何らかの知識や技術を欲しての可能性はあるだろう」


 「まあ、よくある事ねえ。ここである程度の路銀を稼いだら、別の国に行った方が良いか。案外と竜人国も言われてるだけで、そこまで酷い目に遭うかどうかも分からないしさ。一度行ってみないと分からないだろ?」


 「確かにそうね。ディオレッタが言っていた事だから嘘は無いと思いたいけど、この国の者だからそこまで信用も出来ないし……。一度は自分の目で確かめるしかないでしょう。もしかしたら受け入れられるかもしれないし」


 「オレ達は召還者だし、この世界じゃ異物みたいなものなんだよな。あの女神がやった事だけどさ」


 「異物か……。確かにあんちゃんの言う通りだな。ワシらは異物でしかない」



 そうなんだよ、何処までいってもオレ達はこの世界にとって異物でしかないんだ。


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