1091・ハルキの冒険 その17
Side:ハルキ・ゴトウ
一夜明けて次の日。オレ達は朝食を食べた後、水筒を一人一人にもう一本ずつ買って水を入れたら、昼食を買ってダンジョンへ。理由は20階のオーガを倒す為だ。せっかくなら倒せる時に倒しておき、二つ目のアイテムバッグをゲットしておきたい。
二つあればかなりの獲物を持って帰る事ができる。そうすればオレ達の金儲けも凄く楽になるし、この後の生活の質も向上する。オレ達とすれば無理に危険に突っ込まなくてもいいんだが、今できる事は今の内にやってしまおうと思ったんだ。
今日は素早く走って行って10階。ゴブリンなどオーガと比べたら恐くもないのでさっさと倒し、オレ達は11階以降も走って行く。牛も適当に足を攻撃して潰したら、さっさと無視して先を急ぐ。
一気に20階まで行くと、一旦休憩して十分に体力を回復させる。水筒の水を飲みつつ休憩し、十分に休めたらボス部屋の中へ。入ったらボスが現れるまでに所定の位置に着き、ボスが現れたらすぐに戦闘を開始する。
オレは昨日と同じ左のオーガと相対し、相手が縦振りで地面を叩くのを待つ。オーガの間合いに入ったりしながら振らせ、縦振りで地面を叩いたら【魔加速】を使って右足を潰す。上手く転倒させつつ足を潰したら、すぐに真ん中のオーガへ。
隙を突いてアキレス腱を切り裂いてやると倒れたので、タイミング良くミューが頭を【魔力撃】で潰して殺してしまう。オレはそれを見つつも右のオーガの下へ行き、チャンスが来たらアキレス腱を潰しに突撃する。
足をやられたオーガは転倒するも、ミューの時と同じくアムがハルバードの斧刃を頭に振り下ろしてカチ割った。
血を噴出しつつ沈んだオーガを一瞥もせずに左のオーガに向かったオレ達は、相手をしてくれていたミューに加勢してもう片方の足も潰し、倒れて悲鳴を上げたオーガの頭をアムが潰す。
これで終了となったのでドロップを待つと、何故か再びアイテムバッグが出てきた。オレ達は首を捻ったものの、貰える物は貰っとけとばかりにゲットする。今回のアイテムバッグはミューが背負い、中に背負い袋を入れていた。
オーガの牙もドロップしたが、オレ達はそれを置いて行く。理由は持って行く意味が無いからだ。大したお金も貰えないし、昨日に続いて今日もオーガの素材となると流石に絡まれる恐れもある。なので持っては行かない事にした。
ボス部屋を出たオレ達は戻り、再びボス部屋の前に移動。そしてボス部屋前で腰を下ろして休憩し、その間に疑問に思った事を話してみた。
「オーガと二回戦って、二回ともアイテムバッグが出た訳なんだけど……何となくもしかして、って考えてる事がある」
「なに?」
「一つは三体とも頭を潰して勝ったからじゃないかっていう事。昨日もそうだけど、オレ達の倒し方は足を潰して転倒させた後に頭を潰して勝利してる。足の方は多分関係ないと思うんだ。流石に誰も足を攻撃してないって事はないだろうし」
「まあ、それはね。ああいうデカブツは足を潰すのが常道みたいなところがあるから、むしろ積極的に足を潰すだろうさ。だからそれがアイテムバッグが出てくる理由にはならないね」
「そう。で、次に考えたのが頭をカチ割るっていう倒し方。アレって狙っても簡単じゃないと思うんだ。かなりのパワーがないと出来ないし、そもそも身長が3メートルもある巨人だしさ。そういう難しい倒し方をしたからこそ確定で出てくるって感じ」
「まあ、言いたい事は分からなくもないけど、もしそうならとっくに誰かが気付いていると思うけど? そこはどうするの?」
「エルフの人って基本的に魔法を使うだろ? オレはそれが駄目なんじゃないかと思ってる。物理的に強いオーガに対し、物理攻撃だけで戦って勝つ。これが第二の理由だと思ってる。オレ達は魔法が使えないからさ、だから逆に気付いたんじゃないかって思うんだ」
ゲームならありそうな感じなんだよな、確定ドロップのさせ方とかさ。物理オンリーで物理に強いボスを倒すとか。そういうよくあるパターンというか、楽をすると低い確率の抽選に当たらないとゲットできない。……うん、普通にあると思う。
「成る程ね。確かにエルフは魔法が得意って聞いた事があるし、その可能性はあると思う。一切の魔法を使わず、頭をカチ割って倒せば確定でアイテムバッグが出る。仮にそれが事実だとしたら、絶対に秘匿した方がいいね。話してやる理由も無いけど」
「そうね。次にチャレンジしてゲット出来たら、おそらくその条件で確定でしょう。次に手に入れたら、もうゲットする必要も無いから帰りましょうか。そのついでに牛を獲って帰れば良いわ」
「ああ。アイテムバッグも既に二つあるしね。後は三つ目が出るかどうかだけさ」
十分な休憩を経たのでオレ達はボス部屋に入り、再びのオーガ戦を始める。もうオレ達にとって作業と変わらないボス戦はあっさり終了し、ボス部屋の中央にアイテムバッグが出現した。これで三回連続だ、流石に確定だろう。
新しいアイテムバッグはアムが持ち、中に背負い袋を入れてアイテムバッグを背負う。後はボス部屋から出て戻るだけだ。オレ達は隠し通路内で食事にする事にし、硬いパンのサンドイッチを食べつつ水筒の水を飲む。
雑談でもしながらと思っていると、エルフ四人と一緒に狼獣人が来たのが見えた。こちらからは見えるのだが、向こうからは隠し通路が見えていない。なので向こうはそれと知らずに休憩している。
オレ達はそれを見つつ、ジッと聞き耳を立てる事にした。
「いやー、フィグリス殿の【筋力上昇】ですか、それには本当に助けられています。御蔭でここまで来るのも楽でしたよ」
「そんな事は無いさ。そもそもあんた達って結構強いんじゃないの? 戦ってても安定してるし、私が必要な風には見えなかったけど?」
「そんな事は無いですよ。貴女が居ないと困った事になるんです、よ!!」
一人のエルフが突如としてナイフを抜いて攻撃したが、狼の人は即座に後ろに跳んで逃げた。
「チッ! まあいい。ここまで来たら逃げる事も出来んし、既に前後を塞いでいる。後は嬲り殺しで終わりだ。いい悲鳴を聞かせてくれよ?」
「ククククククク……狼の亜人、しかも別の星のヤツだ。死んだとて誰も困らない、都合のいい肉だからな。バラす際にどんな悲鳴を上げてくれるのやら、楽しみだ」
「亜人が死んだとて我が国では気にもされんからな。アイテムバッグ欲しさに有象無象が来る御蔭で、バラすマヌケに事欠かんのは実に良い」
「下らん事を言ってないで、さっさと始めるぞ。楽しみなのは分かるが、足を潰してからだ」
「コイツらもクズだったとは……本当に私の人生は男運が悪い。関わるのは、こんなゴミばっかりだ」
前後で挟まれている狼の人を助けるべく、オレ達はゆっくりと武器を構えて音をさせずに動く。ちょうどオレ達の真ん前に狼の人の後ろを塞ぐエルフが居る。オレは二人に合図を送り、【魔加速】と念じて飛び出した。
槍を突き出して突撃したんだけど、並んでいたエルフを巻き込みながら、オレは壁に激突してしまう。何故ならこのスキルは途中で止まれないからだ。
御蔭でオレと壁のサンドイッチになったエルフ二人はそれだけで死んだみたいだが、体が痛くてしょうがない。それと途中で槍を手放して良かった。そうしていなかったら、槍が壊れていたと思う。
「オラァッ!!」
「ふんっ!!!」
前方を塞いでいた二人のエルフは、いきなり乱入したオレ達に驚いたのか、動けない間にミューとアムに頭を潰されて死んだらしい。
どうやら助けられたようで何よりだけど、狼の人も目が点になってるぞ?。




