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1090・ハルキの冒険 その16




 Side:ハルキ・ゴトウ



 「とりあえず帰ってから決めるけど、頭の中にはあるのよ。っていうか、斧を買う時に迷ったのよねえ……ハルバードと。どっちにするかと迷って斧にしたんだけど、アイテムバッグが出て持ち運びが楽になるならハルバードでも問題は無いでしょ?」


 「そうだね。私はメイス以外を使う気が無いからアレだけど、アムはさっきの赤いオーラもあるから出来るだけ強力な武器が良い。そうでないとあのパワーは活かせないからさ」


 「あっ、それで思い出したけど、少し貰うわね?」


 「えっ?」



 オレは正面からアムに血を吸われている。首筋に噛みつかれているんだけど、結構な速さで血が吸われているぞ? コレ、大丈夫なのか?。



 「こらこら、吸いすぎでしょうが。しかもここでハルキが気絶すると困るんだけど?」


 「ごめん、ごめん。あの赤いオーラを使うと血を失うみたいなのよ。結構な消費量をしているから、そう簡単には使えないわね。代わりに血を摂った後と比べても凄い力を手に出来るみたいだけど」


 「つまり切り札って事か。あまり多用するべきじゃないし、頼るスキルでもないね。ま、アムは元々持ってた【血の渇望】が強力だから仕方ないけどさ。アタシの方は守るというかかばう時だけ一気に移動出来るっぽいスキルだったよ」


 「さっきオーガが投げた棍棒を受け止めてたヤツでしょうけど、あれビックリするほど速かったもの。やっぱりスキルだったのね。という事は私達も揃って<ハイクラス>になったって事か。ヤレヤレって感じ?」


 「そうね。<レッドカウント>とかいうヤツとの戦いで大した活躍が出来なかったし、これでようやく多少は活躍できそうよ。今のアムならあの<レッドカウント>と正面から戦えるんじゃない?」


 「もう死んでるから分からないけど、そうかもしれない。ま、とりあえず今日はもう戻りましょう。早めに帰らないと宿に戻れないわ。野宿は嫌だし、走らないと間に合わないかも」


 「そうだ。ここで悠長に話してる場合じゃない。さっさと地上に戻らないと!」



 オレはアイテムバッグにオーガのドロップである牙を入れ、更に背負い袋も入れたらボス部屋を出る。そしてボス部屋の扉が閉まると、オレ達はその扉に手で触れた。すると瞬時に別の場所に飛ばされ、そこから少々歩く。


 よしよし、ディオレッタさんに聞いていた通りボス部屋の前に戻ってくる事が出来た。後ろを見ると岩壁で、触っても通路があったとは思えなくなっている。何とも不思議な気分だけど、それに浸っている暇も無い。オレ達は急いで地上へと走り始めた。


 荒地の中で牛に追いかけられるも、適当に足を攻撃して動けなくしたら逃げる。そんな移動優先のオレ達は一気に戻って行き、何とか無事に地上まで戻ってくる事が出来た。まだ夕方には少し早いくらいの時間のようだ。


 オレ達は町の方へと戻ると、探索者ギルドへと入る。ボスのドロップアイテムは探索者ギルドの方へと提出する必要があるので、解体所じゃなくこちらで出す必要があるらしい。前にチラッと聞いたから、それで合ってる筈だ。


 受付に10階で拾った骨のナイフと剣、そして20階のオーガの牙を出すと受理された。どうやら登録証が変わるらしく、少々待たされる羽目に。どうやらそれなりの実力者と認められるらしく、周りから結構見られる事になった。


 二人はジロジロと見られても胸を張っているが、オレはジロジロ見られるのが嫌なので早く終われと思いながら待つ。それなりの時間を待たされたものの、出していた登録証が金属製の物に変わって戻ってきた。<ブロンズランク>になったらしい。


 30階のボスを倒すと<シルバーランク>になれるそうだが、なる気は一切無いので無視しよう。オーガでアレだったのに、30階のボスなんて殺されるだけだ。ボスドロップの売却金を貰うと、オレ達はさっさと外へと出る。



 「はー、疲れた。あんなに注目しなくてもいいっていうのに、何であんなにジロジロ見てくるんだか。正直、放っといてくれって何度も心の中で思ったよ。それと、何であんなにギルドの中に居るのか不思議で仕方がない」


 「それは分かるね。暇なら酒場にでも行けば良いものを、なんでギルドなんかにたむろしてるのか意味が分からないよ。飲み食いできる訳でもないのにさ。暇なヤツが多いのか、それとも何か理由でもあるのか」


 「単に金を使わずに暇を潰せるから居たりしてね。それでも迷惑な事に変わりはないけどさ。それより武器を買いに行こうか」



 ミューの言葉で思い出したけど、武器を買いに行かなくちゃ駄目じゃん。


 オレ達は急いで武具屋に行き、アムは片手斧を売ってハルバードを購入。ついでに剣帯と短剣も購入していた。サブウェポンとして持っておくらしい。


 ミューも同じように短剣を買って左腰に差したようだ。オレは解体用のナイフしか持ってなかったので買い、全員が短剣を装備する事にした。短剣と言っても、剣身は30センチ近くある。十分に武器として使える長さだろう。


 結構お金は減ったものの十分に残っているし、何より明日からはお金が稼ぎやすくなる。十分に回収できるので非常に楽になったのは間違い無い。オレは浮かれ気分で食堂に行き、早めの夕食を頼んでお金を払う。


 二人と雑談しながら料理を待ち、出てきたパンとスープとサラダを食べていく。結構な苦味と不味さをしているが、それでも我慢してサラダを食べていると、横から二人の分がこちらに押し出されてきた。



 「いやいやいやいや、それは二人の分でオレのじゃないから。こっちに持ってこられても困るよ。オレだって頑張って食べてるんだけど? ……分かった。とはいえ、せめて半分は食べようか? オレも全部は無理だ」



 二人は顔を見合わせ、渋々半分は食べる事にしたらしい。そもそもオレに全部を渡そうとするのは止めてくれないかな。このサラダが何かは知らないけど、本気で不味いんだよ。苦いし渋いし、何だコレって感じ。


 日本人として渋くて濃い緑茶を普通に飲めるからこそ食べられるけど、ミューやアムは大変なんだろう。それでもオレに押し付けるのは違うと思うけどね! 幾ら食えるからといっても、好んで食いたい訳じゃないんだよ。


 ギリギリ半分くらい食べた木のボウルがこっちに差し出されてきたので、仕方なく残りを食べるオレ。勿体ない精神と健康の為に食わなきゃっていう思いだけで食べているけど、周りのエルフもサラダには四苦八苦してるっぽいな?。


 周りの食事風景なんて見てなかったけど、もしかしてエルフって普通に肉の方が好きなのか? ……肉を好んで食うエルフねえ。何だかイメージと違うけど、そのイメージを押し付ける方がおかしいか。この人達だって普通に生きているだけだし。


 とりあえず頑張って食事を終わらせ、オレ達は宿の部屋へと戻った。ようやくゆっくりと休めると思ったら、ベッドの上で寝転がったオレを二人が狙っている事に気付く。流石に少々の抵抗をしたくて話を振ってみた。



 「二人も新しいスキルを手に入れたけど、それを確認したいし石板を使わせてもらえないもんかな? 割と適当な感じでも使えるのに気付いて驚いたけど、でも正確に分かった方が良いだろ?」



 そう。この世界のスキルって、割とアバウトでも発動する。例えばオレの【魔加速】も、「速く走れ」と念じるだけで発動したしな。だから正確なスキル名が分からなくても使えるんだけど、分かった方が良いに決まってる。だから二人に言ったんだけど……。



 「秘匿しておく方が良いよ。誰にもバレずに調べられるなら良いんだけど、今のところはそれも出来ないしさ。あの石板が手に入ったら好きに調べられるんだけどねえ」


 「ダンジョン内で見つかるらしいけど、そうそう上手くはいかないでしょう」



 そうなんだよなー。この国にだって三つしかないって聞いた。この国の歴史が何百年か知らないけど、その長い期間で三つだろ? そうそう手に入る物じゃないな。残念ながら無理か……。


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