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1087・ハルキの冒険 その13




 Side:ハルキ・ゴトウ



 結局あれから8階までのマッピングしか出来ず、昨日は町に帰って来て寝たんだよな。今日は一気に進んで9階だ。ここもささっとマッピングして10階。何やら豪華な扉がある。これがボス部屋かぁ……まんまゲームみたいだな。いや、本当。


 その豪華な扉の前で少し腰を下ろして休む。今日は食べ物も買ってきてるけど、あまり良い物じゃない。サンドイッチみたいな物を買ったんだが、パンが硬いのでどうしても食べるのが大変だ。それでもクソ国のパンよりマシだけど。


 それは昼食なので今はスルー。ボス扉前で作戦会議をし、それが終わったらボス部屋の中へ。扉を開けて中に入ると、自動で扉が閉まった。ちなみに自分達のチームとは関係の無い者が入ってきたら、問答無用で殺して良いらしい。


 基本的にそういう奴等は強盗なので、そう見做して殺す事がむしろ推奨されてる。まあ、ボス戦に乱入するんだから、強盗と見做されても文句は言えない。実際にそれ以外に乱入する理由なんて無いだろうし、当然と言えば当然だな。


 自動で閉まった扉の音がすると、目の前の石の床が光っていき魔法陣のような物が描かれる。それがクルクルと回転すると、そこからゴブリンが大量に現れた。おそらく20体居るんだろうけど、とてもじゃないが数えていられない。


 緑色の皮膚に皺があって鼻が高い。ゲームとかで見るまんまな顔をしているゴブリン。あまりにゲームで見慣れている感じなので、醜いとまでは思わないな。それはともかく、オレ達は一斉に戦いを始める。


 素早く前に出たミューが「ドゴン!」という音と共に、派手にゴブリンの頭を叩き潰し視線を向けさせる。それ自体が先に決めていた事なのだが、派手にミューが戦っている横でオレ達が素早くゴブリンの数を減らす。これがボス部屋前で決めた作戦だ。


 なのでミューは派手に動き、敵の注目を集めるように立ち回る。何でも狩猟班として戦ってる時も同じ役目だったらしく、ミュー本人としては慣れたものなんだそうだ。



 「キャアァァァァァァァァ!!!!!」



 注目を浴びる為の高く遠くまで届く声。そういう声を上げる事で強制的に注目を浴びる事が出来るそうだ。まるでゲームのタンク役みたいだなと思う。現実でも、いや、現実だからこそタンク役が重要なんだろう。ミューが注目を浴びてくれるから、オレ達は楽に戦えるんだしな。


 オレはゴブリンの首に槍を捻りながら刺し込む。アムから聞いたけど槍は回転させるものらしい。そうしないと穂先がブレるので。安定させる為に回転させるんだそうだ。ただし回転始めは突き出しの最中なので思ってるより難しい。


 まあ、アムいわく鉄の柄ならそこまでブレないから気にしなくても良いそうだけど、それでも回転させた方が良いならオレはする。今も回転突きがゴブリンの首に突き刺さったんだが、その瞬間「ギャギャッ!」という声と共に火の玉が飛んできた。


 オレは慌てて横っ飛びに逃げたものの、どうやら魔法を使うゴブリンがオレ目掛けて魔法を飛ばしてきたらしい。しかも御丁寧に他のゴブリンの陰に隠れてやがる。厄介だなと思いつつも、目の前のゴブリンに集中し過ぎないように戦う。


 再び隙を見つけるとゴブリンの首を回転突きで刺し殺し、少し離れて様子を見る。すると再び「ギャギャッ!」と聞こえてきたので横っ飛び。再び火の玉をかわしたんだが、魔法を使うゴブリンは悔しそうに地団駄を踏んでいる。


 オレは立ち上がって目の前を見ると、魔法を使うゴブリンまでの道が開けていた。そして魔法を使うゴブリンはブツブツと呟き始める。もしかしたら詠唱中か? そう思ったオレはスキルを使っていた。



 「【魔加速】!」



 使った瞬間、今までよりも遥かに速い速度でダッシュし、構えていた槍ごと体当たりするように魔法ゴブリンに突撃したオレ。しかも魔法ゴブリンの首を突き刺しても止まらず、そのまま走り抜けた所為で魔法ゴブリンの首が千切れた。そしてある程度走り抜けてようやく停止したので安堵する。


 コレ、前の【加速】スキルより明らかに強力だ。【加速】スキルから進化してたとか思ってたけど、絶対にそうじゃない。間違いなく<レッドカウント>との戦いの後にスキルが進化してる。あの戦いの時はこんなんじゃなかったぞ。


 考えてる場合じゃないと思って慌ててボス部屋を見ると、最後のゴブリンの頭をミューが叩き潰しているところだった。既にアムは戦いを終えていて、斧の刃の手入れをしている。それを見てオレも槍の穂先の汚れを布で取る。


 ミューはメイスを振って血や汚れを飛ばした後、布で拭いて綺麗にし始めたが、途中で汚れの元が武器から消えていく。オレも驚いたしアムも驚いている。槍の穂先に付いていた汚れをぬぐったんだけど、その布の汚れも消えているからだ。ただし元々あった汚れは消えていない。


 つまりボス部屋での汚れとかは綺麗に落ちるらしい。ついでにボス部屋のゴブリンの死体も消えている。その後、ボス部屋の真ん中にアイテムが出てきた。おそらくアレがドロップアイテムなんだろう。


 近付いて確認すると、それは骨を削って作ったようなナイフと剣だった。剣と言っても剣身は40センチぐらいだろうか? ゴブリンに合わせた剣って感じだ。これじゃナイフの方がまだ役に立ちそうだな。



 「おつかれー。思ってるより魔法を使うゴブリンが鬱陶しかったけど、進化したスキルで何とかなったよ。っていうか、前のと比べてやたらに強力になってたけど」


 「おつかれ。確かにそうだったね、かなりの速さになってたよ。あの<レッドカウント>ってヤツに剣を突き刺した時より遥かに速かったからねえ。おそらく【魔加速】っていうスキルは、アイツとの戦いの後に手に入れたんだろうさ」


 「おつかれさま。そうとしか考えられない程に速かったものねえ。あの速さは微妙に扱い辛そうよ? 途中で止まれるなら使えるんでしょうけど、一定の距離を強制的に移動するっていうなら、色々と考えないといけないわね。事故が起きるかもしれないし」



 確かにそうだ。速くなってラッキーくらいにしか思ってなかったけど、強制的に一定の距離を移動するならかなりマズい。二人にぶつかったとしたらシャレにならないし、上手く使わないと自爆技みたいになっちまう。


 っていうか、そもそも体が勝手に動かされるっていう時点で意味が分からないんだけどな。他の人のスキルでこんなの無かったし、何故かオレのだけこうなってる。神様がやったのかと思うも、あの女神は拉致誘拐の犯罪者だし……。そんな事はしないような気がする。


 どういう事なのかは分からないけど、とりあえず気をつけて使う事にしよう。適当に使ってたら必ず事故が起きる。流石にそれは嫌なので、できるだけ自重するか宣言するかだな。声を上げて使うぞって宣言すれば大丈夫だろう。



 「そうすると敵にバレる恐れが高いけどね。当たり前だけど回避される可能性も上がるし、宣言したって避けられない可能性はあるから、結局は被害が出なさそうな時に使うしかないんじゃない?」


 「それしかないかなー? とりあえず途中で止まれるかどうかの検証が必要だと思う。まさか【魔加速】が元のスキルと変わってるとは思ってなかったし」


 「元々のスキルである【加速】が、やっぱり他とは違ってたんだろうね。神に与えられたからか、もしくはハルキだから違ってたか」



 その辺りは考えたところで分からないだろうなぁ。もしかしたら陸上をやってたから効果が違うのかもしれないし、正しいフォームだと効果が変わるって可能性も否定できない。


 この世界に正しいフォームという知識があるとは思えないしさ。


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