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1086・ハルキの冒険 その12




 Side:ハルキ・ゴトウ



 地上へと脱出したオレ達はすぐに解体所という所に行き、アムに獲物を下ろさせて一息吐かせる。オレが持てれば良かったんだけど、とてもじゃないけど持ち上げられないからなぁ。豚って言ったところで日本で見る豚より二回り以上大きいし、血を抜いた程度じゃそんなに軽くもならない。


 むしろアムはよく持ち上げられたと思う。正直に言えば解体とかして足とか腹とかだけ持ち帰ってきた方が良かったんじゃないか? そう思ったので聞いてみたんだけど、アムは余裕で持って来れたらしく、特に気にしなくていいとの事。



 「全部持って帰ってきた方が多分だけど儲かるし、皮も含めて使える物は多いと思うんだよね。問題は持って帰るのに苦労するって事なんだけど、早々にアイテムバッグとやらを取りに行った方が良いかもしれない。とはいえ……」


 「そんなに簡単に手に入ったら誰も苦労はしないって事ね。誰も彼もが苦労して手に入れてる訳だし、場合によっては襲われて奪われる何て事もあるらしいじゃない。それぐらい貴重な品なんだから、簡単には手に入らないでしょうよ」


 「でも挑戦しなきゃ確率はゼロだし、いつかは挑戦して手に入れたいんだけど……。でも、普通のお金稼ぎをするにしてもアイテムバッグがないと大変かー。何だか厄介な状況になってる?」



 まさかだったな。ゲームとかだったらアイテム欄に入れればいいだけ何だけど、現実だとこんなに厄介だなんて思わなかった。アムがヴァンパイアで怪力だから持って帰る事が出来たのであって、普通の探索者はどうしてるんだろう?。


 獲物の査定に来た解体所のエルフの人に話を聞くと、一頭丸々持って帰ってくる者は殆ど居ないとの事。新人が知らなくて持って帰ってくるらしく、「お前達もそうだろう?」と言われた。



 「まあ、そうなんだけど、でも一頭丸ごと持って帰ってきた方が高値で売れるわよね?」


 「そりゃ当然だ。腸だってソーセージに必要な材料だから使われるし、豚の皮も様々な用途で加工される。ただ、血抜きをしたとしても重いからな、殆どのヤツは解体して高く売れる部位しか持って帰ってこない。そして一番高値で売れるのは腹の肉だ」


 「当然でしょうけど、やっぱり食べられる部位が一番高く売れるかー……。とはいえ腹の肉と一頭丸々だと、どれぐらい金額が違うの?」


 「腹の肉だけなら銀貨2枚というところだな。で、一頭丸々だと銀貨6枚ってところか。あんまり変わらないと思うかもしれないが、結構違うからな? 一番高く売れる部位と丸ごとだし、それでこの値段の差だ」


 「腹の肉が三頭分と一頭丸々、どっちが重いと思う?」


 「三頭分の腹の肉の方が重いでしょうね。これなら一頭丸々持って帰って来た方がマシ。ハルキの血を飲めば楽に持って帰ってこれるし、私とミューで一頭ずつ持って帰る? で露払いはハルキに任せましょうか。それなら稼げる筈よ」


 「ハルキが持ち上げられないから仕方ないわね。ただ、他の種族でも一人で一頭丸々は持ち運ばないみたいだし、種族的なものだから文句を言っても始まらないか。お金を稼ぐ時は私とアムでやるしかないわね」


 「すみません……」


 「まあ、仕方ないんだから切り替えていきましょ。とりあえず売ってお金貰ったら昼食ね」



 解体所で売ったら木札を渡された。どういう事かと思ったら、この木札を持って町に戻らなきゃいけないらしい。解体所は解体をする場所であって、金を払う場所じゃないって言われたよ。不便だなって思ったけど、解体所にお金があると奪いに来るバカが居るらしい。


 昔そんな事が何回かあって、解体所は解体をするだけになったんだってさ。世知辛いというか犯罪者って何処にでも湧くんだなって思ったよ。木札を貰ったオレ達は真っ直ぐ町に戻り、探索者ギルドに木札を提出してお金を受け取った。


 その足で食堂に行き昼食を食べる。大して変わり映えしないのかなと思っていたら、解体所で聞いたソーセージが出てきた。久しぶりに食べるソーセージは美味しいけど、スープに入ってるので印象が違う。日本じゃ焼いたのしか食べた事なかったからなぁ。



 「こうやってソーセージ食べてると、腸を持って帰って来ても良いって思えるから不思議よねえ。思ってるより美味しいから、あの豚の肉って結構美味しいみたい。こうなると元狩猟班としては狩りたくなるわね」


 「まあ、言いたい事は分かるけど、今は20階を目指すべきよ。道筋さえ明らかになれば、いつでも取りに行けるでしょ? そこまでは余裕のある内にやっておきたいのよね。簡単に出ないのが分かっている以上はさ」


 「そうだね。用意だけしておけば後はいつでも取りに行けるし、その用意は余裕のある時にしておいた方が良いと思う。余裕の無い時じゃ出来ないし、そうなると取りにも行けないままズルズルと同じ事をしてそう」


 「あー……まあ、簡単に想像できるね。確かに余裕のある時に道筋ぐらいは付けておこうか。それに10階のボスとやらだって簡単に倒せるとは限ってないしね。確かゴブリンが沢山出てくるんだったかな?」


 「ディオレッタはそう言ってたわ。20体ぐらいだったかしら? それぞれが武装しているうえ、魔法を使ってくるヤツも居るって言ってたわよ。目の前しか見ていないと魔法の直撃を受けるから気をつけろって」



 オレも聞いたけど、ゴブリンなんていうのが本当に出てくるなんて驚いたよ。問題はRPGでザコの代表格であるゴブリンが群れていて各種武器を持ってるって事なんだよなー。しかもディオレッタさんが言うにはゴブリン全員が革鎧を着ているらしい。


 お前らはザコなんだから真っ裸じゃないと駄目だろうよ。鉄製よりはマシだけど、何で革鎧なんか着てるんだ、おかしいだろ! そう言いたくなる。やっぱりボス部屋で出てくるんだから、そう甘い相手じゃないよな。ボスなんだからさ。


 昼食を終えた後、雑貨屋に行って紙と鉛筆を買った。まさか鉛筆があるとは思わなかったけど大ラッキーだったぜ。インクを羽ペンに付けるなんていう面倒臭い事をしなくれ済む。それと小さな木の板も買っておいた。これは紙に書く時に下に敷く為の物だ。


 そして武具屋に行って、解体というか血抜きをする時の為のナイフを購入。一度雑貨屋に戻り、血を拭き取る為の布を購入。これで準備は整ったので再びダンジョンに行き、一階から地図を描いていく。


 線でしか表せない地図を描いていくんだけど、槍を脇に挟んで書いている為、非常に描きにくい。仕方ないんだけど、どうにか出来ないもんかな? そう思っていたら、代わりにアムが槍を持ってくれた。アムの斧は片手斧なので剣帯に差したみたいだ。



 「槍の方がリーチが長くて楽だからね。この辺りの魔物なら槍で十分だし、私の武器じゃないから汚れても気にしない」


 「いや、気にしてくれる? っていうか、オレの手に戻ってきたらボロボロとかは勘弁して」



 アムも冗談で言ってるんだろうけど、マジでされると凹むから勘弁してほしい。それでも地図を描いていき、1階が終わったので2階へ。午前中に来ているし、全ての場所をマッピングする必要は無い。こんなのは入り口と階段の場所さえ分かれば良いんだしな。


 そうやってマッピングを続けつつ、オレ達はダンジョンを進んで行く。午後からは何処まで行けるだろう? 出来れば10階までいけると助かる。ま、無理だろうけどさ。でも地図が完成したら大丈夫だろう。


 それぐらいの速度で行かないと20階のボス戦を何度も行うなんて無理だしな。


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