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1082・ハルキの冒険 その8




 Side:ハルキ・ゴトウ



 王様との謁見が終わった後のオレ達は、王城内の一室に案内された。そこにはあの石板があったので、どうやらオレ達を鑑定して記録しておくみたいだ。これもなぁ……あんまり良い印象が無い。ま、あの腐った国に無理矢理やらされたから当然だけど。


 女性陣も同じ心境なのか微妙な表情をしつつ、それぞれが石板に手を置いて行く。数が少ないし自由だからオレも見られるけど、名前は間違ってないようだ。他人の鑑定結果なんてジロジロ見るものでもないし、名前とスキルぐらいしか見ないよ。特に年齢の部分は見ていない。


 最初は狼獣人で、次はドワーフ。その後にエルフの人だったけど、名前やスキルは馬車で聞いた通りだった。まあ、あそこで嘘を吐く意味も無いから、単に嘘を吐かなかっただけだろうけど。で、次はラミアーの人だ。



 ―――――――――――――――


 <ミュルスレム>


 種族:蛇女族

 年齢:46

 性別:女

 スキル:魔力撃


 ―――――――――――――――



 名前もスキルも偽り無し。まあ、当たり前なんだけどね。それにしても【魔力撃】っていうスキルは優秀なんだろうと思う。一撃の威力が上がるって、凄い羨ましい。とはいえオレの【加速】も優秀なんだけどさ。思ってるよりも優秀だったんで、オレも気分が良いし。


 おっと、【加速】を使って<レッドカウント>に勝った事を思い出していたら、次はヴァンパイアの人の番になった。



 ―――――――――――――――


 <アムルダイア・ドゥルグスト・ウェルフォティス>


 種族:吸血鬼族

 年齢:138

 性別:女

 スキル:血の渇望


 ―――――――――――――――



 これも聞いた通りだけど、年齢が凄いな。これでも多分だけどヴァンパイアとしては若いんだろうなって気はする。500年とか1000年とか生きてるヴァンパイアもきっと元の世界には居たんだろう。どんな化け物なんだと思うのは、オレが唯の人間だからかな?。


 おっと、呼ばれたので今度はオレの番だ。もし言われた通りに<ハイクラス>になっていたら、オレのスキルが一つ増えてる筈なんだよな。ちょっと楽しみだ。



 ―――――――――――――――


 <ハルキ・ゴトウ>


 種族:人間族

 年齢:17

 性別:男

 スキル:魔加速・回復力強化


 ―――――――――――――――



 「おおっ! 二つ目のスキルが………あれ? 一つ目のスキルが変わってる?」


 「ふむ、確かに変わっているな。元は【加速】だったというが、今は【魔加速】というスキルに変わっているようだ。ウェルトゥーザ王国の中でも【加速】スキルだと思われていたという事は、<鑑定の石板>で調べた後に変化したのだろうな」


 「何か気づいた事は?」


 「いえ、まったく無いです。そもそも<奴隷の首輪>をされてた時は、スキルを使うなって命令されてましたし、その事もあって一度も使った事は無かったので……」


 「となると、いつスキルが変化したかは不明だな。私が持たされた浄化の魔道具で首輪を外した後、初めて使ったのだろう? おそらくそれまでには変化をしていたのだと思う」


 「あの後オレは言われた通り一階の奥に行って、指揮官の部屋にあるお金の入った革袋を奪って、それから備品倉庫に行って鎧と剣と剣帯を奪って建物の外へ。その後で走った時にスキルを思い出して、そこで初めて使いました」


 「敵の物をかっぱらうのは良い事だよ。その時に鎧を奪ってなきゃ、間違いなくあの蹴りで内臓がやられて死んでただろうしね」


 「ああ、あの蹴りは強烈を超えてた。本当に体が無くなるんじゃないかっていう衝撃と、その後にとんでもない痛みが来たんだよ。よく死ななかったし、後遺症が無くて何よりだ。ポーションっていうのは貰ったけど」


 「アレは必要経費だ。むしろ<レッドカウント>が殺せたのだから安いぐらいだな。ヤツは<グランドクラス>の中でも強いが、それだけでなく暗躍しているヤツでもある。それが居なくなった事は、ありがたい事なのだ」


 「嫌味な感じの性格してそうだったから、確かに暗躍とかされたら面倒でしょうね。とはいえこれでやる事は終わったんだから、もう出てっても良いんでしょう? 自由にしていいって言われてるしさ」


 「何処に行くのかは知らんが、ウェルトゥーザに近い国に行くと捕まる恐れがあるぞ? 気をつけるがいい」


 「そうじゃなくて、こっから東に行ったフォルドーっていう町に行くのよ。そこにダンジョンがあるんでしょ? あんたが言ったんじゃない、そこでならお金が稼げるって。私達まったくお金なんて持ってないのよ?」


 「ああ。しかし金銭はある程度渡されるし、王都で働くなら口利きはしてもらえるぞ?」


 「お金はありがたく貰うけど、働く気は無いわね。私そういうの合ってないし、元の里でも狩猟班だったもの。こう見えて魔物は盾と棍棒で叩き潰してたのよ、容赦なく」


 「私も魔物と戦えるダンジョンが良いかな。ハルキはダンジョンでしょ?」


 「え? ええ、そうですけど……」


 「それじゃ一緒ね。どのみち美味しい血の持ち主を逃がしたりしないし、【回復力強化】っていう良いスキルを手に入れてるしさ。ますます血が吸いやすくなったよね」


 「おいおい。【回復力強化】というスキルは確かに優秀だが、その回復力はしっかり食べないと手に入らんからな。ちゃんと食事をするんだぞ。それと吸い過ぎて殺す事の無いようにな」


 「もちろんよ、そんな勿体ない事をする訳がないじゃない。じゃあ、そろそろ行きましょうか」


 「あの、オレの背負い袋は何処でしょうか? あの中に革袋とお金が入ってるんですが……」


 「ん? お前が持ってるんじゃないのか? ………探さねばならんな。誰かが持って行った可能性がある」



 その後、オレが持っていた背負い袋を探したのだが、井戸の傍の所に捨ててあり革袋の中身は全て無くなっていた。それを見たディオレッタさんは即座に王様に報告。そして兵士を含めて大多数が動員されて調べられた。


 結果、オレを監視していたイケメンエルフが奪っていたと判明。お金は戻ってきたが、イケメンエルフは牢の中へと入れられた。重い刑罰が科されるのかと思いきや、そこまで重い罰は与えられないらしい。



 「それもそれでどうなの? エルフは同族には甘いって事?」


 「そうではない。アレらの行きつく先は決まっている。………あまり言いたくは無いのだが、我が国には一定の需要があってだな。ヤツはそこへ送られるのだ。盗んだ金額の倍を稼ぐまでは帰って来れん」


 「それが罰になると? 働いて返せは分からなくもないけど、その程度で済ませるとも言えるわね。そうなると幾らでも繰り返すヤツが現れかねないと思わないの?」


 「言いたい事は分かるのだが……」


 「何だか歯切れが悪いわねえ。ハッキリ言いなさいよ」


 「我が国には一定数の者が居てだな、分かりやすく言うと男を好む男が居るのだ。その店で強制的に売られる事になる」


 「「「「あー……」」」」



 まさかの尻が掘られる刑だとは思わなかった。思っているよりも遥かに厳しい刑罰な気がする。だってノンケがホ○の巣に放り込まれるって事だろ? 何だその生き地獄。シャレにならない。


 もしかしたら、そこに行かされた所為で歪むかも……。刑罰としては最上級に重いかもしれないし、恐すぎる。



 「とはいえ、盗んだヤツがそっちに行ったら盗みを繰り返すと思うけど? そこの辺りはどうなのよ?」


 「それは無い。何故ならケツを売った方が遥かに儲かるからな。そっちの道に走ったヤツは盗みなどの犯罪を止めるのだ。だから刑罰として認められている。皮肉ではあるのだが」


 「あー、それは確かにそうでしょうよ。ラミアーの中にも、都会でそういう仕事をしていたのも居るしね。吸血しながら仕事をすれば楽に稼げるから」



 吸血って……なるほど、アレって快楽を含んでるんだよね。それを利用するのかぁ。


 っていうか、そんな事をしているから討伐隊とかを組まれるのでは?。


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