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1074・兎と鶏との戦い




 Side:ミク



 ボス狼戦の反省会っぽい事をし、ヴィーが凹んだところで11階へ。ここでは体高1メートル50センチの兎と鶏が出てくるそうなので、この辺りで三人の練習をしたい。そもそもボス狼自体はニニとルルで倒せてるんだしね。


 ヴィーを先頭に進ませ、魔物が居ると盾を構えて敵と対峙。兎の魔物が何故かシャドーをしながら挑発している。このダンジョンはどうなってるのかと思うも、きっとこういうダンジョンなんだろう。


 兎の挑発にも乗らず、ヴィーは盾を構えて緊張感を持ち対峙したままだ。そんなヴィーを見て一気に近付く兎。そして跳び上がり足で蹴ってきたが、ヴィーは後ろに下がって回避。空を蹴った兎は回転し過ぎて後ろ向きに着地してしまう。


 そこにニニの棒手裏剣が飛び、兎の首筋に突き刺さった。兎は絶叫を上げるも、そんな隙を晒すと攻められるのは当たり前であり、左からルルが首筋に槍を突きこむ。それは十分なほどに突き刺さり、その隙にヴィーがメイスで兎の頭をブン殴った。


 既に最後の攻撃はオーバーキルみたいになっていたが、それでも兎を倒した三人は息を吐く。本当は緊張感が減るから良くないんだけど、でもそれを言っても始まらないからね。今はいい。


 死んだ兎の魔物の首に右手の指を突っ込み、そこから血を全て吸い上げる。ちなみに吸い上げた血は左手の指から出しているので飲んではいない。私は肉を喰うけど血が飲みたい訳ではないからね。


 血抜きをした後である程度解体し、臓物などは捨てていく。残したってしょうがないしね。それと兎を冷却してから渡し、すぐにアイテムバッグに入れさせる。今回はニニのアイテムバッグだ。



 「獲物は冷やしておいた方が新鮮さを保てるし、肉が腐りにくくなるんだよ。せっかくなら腐りにくい方が良いに決まってるでしょ」


 「うん」


 「冷却も魔法で出来るんだ。ますます魔法を覚えなきゃいけないんだけど、覚えるのも使うのも大変なんだよねー。細かいところまでちゃんと覚えなきゃいけないしさ。今は簡単だけど、これからどんどん難しくなっていくだろうし大変」


 「私なんて魔法を使う事すら出来ませんから羨ましいです。もしかして私も教えていただけるんでしょうか?」


 「教えるよ? そもそも武具の手入れぐらい自分でやってもらわなきゃ困るし、本来なら一戦ごとに綺麗にしなきゃいけないんだよ? 特に金属製なら錆びたり切れ味が落ちるから、戦闘毎に綺麗にして万全の態勢を保つのが普通だよ」


 「でないと、肝心な時に血脂で切れませんでは話にならないですからね。なので戦闘が終わった後で【清潔】の魔法を使って綺麗にするのが基本です。落としておけば問題はありませんし、その素材であれば錆びる事はありませんからね。そちらは気にしなくてもいいでしょう」


 「錆びなくて金属より軽い。普通に考えれば都合の良い素材と言えなくもないけど、重さは威力でもあるから軽すぎる素材はそれで問題なのよね。それと骨だから金属に比べて粘りが無い。折れる時は簡単に折れるわ。そこも気をつけないとね」



 話をしていたら今度は鶏が来たのでヴィーが前に出る。対峙したのも束の間、即座に鶏は跳び上がって蹴りに来た。いきなりだったのでヴィーは慌てて盾を合わせるしか出来ず、まともに蹴りの直撃を受けてしまう。


 ガン!! という音が鳴ったものの、ヴィーが多少後退させられるだけで済んだようだ。高い威力だと骨折する事もない訳じゃない。そうなると普通は致命的だ。


 ダンジョンは行きも帰りも怪我をしないように気をつける必要がある。でないと帰る事もできずに全滅となりかねない。そうならない為にも怪我をしちゃいけないんだよ。


 この星にはポーションがあるみたいだけど、そもそも怪我をしない立ち回りが一番重要となる。まだまだ三人には難しいだろうけどね。


 鶏はルルが横刃を引っ掛けるようにして首を切り裂き、その一撃で派手に血を噴出した鶏は倒れて痙攣。そして死亡に至った。首を切り落としたら暴れる癖に、出血なら倒れるんだね。別に良いんだけどさ。



 「思ったより横刃の切れ味が鋭くて驚いた。いつもは刺してるから、横刃の切れ味なんて初めて知ったよ。たまたま鶏に避けられたから分かったけど、本来なら避けられちゃいけないから微妙なところかな?」


 「それでも倒せたのですし良いではありませんか。正直に言って、この鳥も大きすぎます。ここまで大きな魔物が当たり前に出てくるという事に驚きますね」


 「11階からは食肉が出てくるし、皆が持ち帰って売るから料理にお肉が沢山入ってるんでしょうね。竜人族が肉好きっていうのもあるんでしょうけど」


 「ニニもおにくすき!」


 「あー! あ!」


 「べるも!」


 「まあ、肉が嫌いなヤツなんて殆ど居ないんじゃない? とりあえず肉を食べさせていれば問題ないっていうくらい、誰もが肉を好むと思うわよ。王都の肉の大半がここのヤツって事ね。多少は上の猪もあるんでしょうけど」


 「ここの方が大きいからね。体高1メートル50センチは伊達じゃないよ。それだけ持って帰るのは大変だけど、その御蔭で肉が多く入った料理になってる。一人一羽を担いで帰ってるくらいだしね」


 「血抜きをしても内臓を捨てても結構な重量だと思いますけど、頑張ってますよね。竜人族だからでしょうか? 人間種や魔族より身体能力は高いそうですし」


 「人間は技術力、魔族は魔力、竜人は身体能力。見事に分かれてるわね。でも人間種の国には獣人が居るらしいし、そっちはそれなりの身体能力をしてると思うわよ? どちらかと言わなくても身体能力は高そうだし」


 「もしくはニニと同じように特殊能力持ちかもしれませんね。そうなると優秀な種族と言えますし、それぞれの種族でそれぞれの強みがある事になります。だからこその争いとなっているのでしょうが」


 「だろうね。とりあえずこの辺りでヴィーに【身体強化】を教えておこうか。二人は適当に狩りをしてきていいよ。ティアが見ていてくれるだろうし」


 「ニニもれんしゅうする」


 「私も学んでおくわ。基礎って大事だって言うし」



 三人とも【身体強化】の練習となったので、私とティアが周辺の監視と指導。イリュがメインで指導という形になった。その後は色々と教えつつ、私は途中で料理をしていく。といっても謎の草とドラゴンの干し肉や野菜を使ったスープだけどね。


 それらを作った後は配膳し、フィルに離乳食を食べさせていく。食器は持ってるから問題ないしね。魔物が出てきたら殺すし、盗賊が出てきても殺す。なので皆は安心して食事してていいよ。



 「それはありがたいんだけど、まさかコンビニのおにぎりが出てくるとは思わなかった。久しぶりに食べたら美味しく感じるけど、それは鮭だからかな?」


 「これ、おいしい! すごく、おいしい!」


 「どっかのラーメンのCMじゃないんだから……と思ったらおかかのおにぎりか。鰹節が美味しいって、分からなくもないけど」


 「私はコレが気に入りました。何かは読めないので分かりませんが」


 「それエビマヨ。お肉じゃないのに美味しいみたいね。いや、竜王山脈って言ってたし、海産物が少ないというか無いのかな?」


 「海は無いね。川は割とあったけど、それは山に降った雨が流れてる川だよ。それなりに魚とかは居たけど川魚だからね、地元の村人が食べるくらいだった」


 「魚とかは少ないか。どのみち肉好きっぽいから、魚には見向きもしなさそう」



 それは分からなくもないかな? 何と言うか、肉と魚があったら全員肉を選ぶ。竜人族ってそんな感じの種族だ。


 さて、食事が終わったら午後からも【身体強化】をみっちり教えよう。あれを使い熟せるかで生存率が変わる以上は、しっかりと基礎を教え込まないといけない。


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