表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1077/1113

1072・ダンジョン10階まで




 Side:ミク



 ダンジョンに入って1階。階層の地図は知っているので、進みながら三人には一人ずつ戦わせる。危なげなく戦う二人に対して何処かぎこちないヴィー。上手く戦えてはいるけど、割と必死なのが顔に出ているね。そこまでかな?。



 「ヴィーは盾を持ってるんだから、ニニやルルに比べれば傷を受けにくい筈なんだけどね? それだけ心理的圧迫は受けにくい筈。にも関わらず……って、もしかしてトラウマ? 前に<殺戮者>に殺され掛かったから、それでかな?」


 「トラウマ……。確か心の傷って意味だったかしら? 大きな怪我だったり死に掛けたりしたら、その場所に立つだけでその時の苦しみとか痛みを思い出してしまう心の病気。ダンジョンに入ってこれなら、どうにもならないんじゃない?」


 「いや、精神の神の権能で強制的に治せば済むから、然したる事でも無いよ。…………はい、治ったでしょ?」


 「あ、ありがとうございます。ダンジョンに入ったら急に体が震えてきてしまい……。自分でも何故か分からないのですが、何とか戦うぐらいしか出来ませんでした。今は体の震えも治まったので大丈夫です」


 「トラウマがあっさり完治するって、とんでもない事のような気がするけど、流石は神様の権能って言うべきなのかしら……。あり得ないと言ってもいいんだけど、でも神の力て考えたら当然?」


 「当然ですね。貴女は神の悪意によって拉致されたので良い感情は無いでしょうが、本来神の力というのは私達には考えられない程のものなのですよ。人間に悪い者が居るように、神にも悪い者が居るだけですから」


 「神に悪徳な者が居るからこそ、私が存在するんだけどねー。<喰らうもの>であり、神だろうが何だろうが悪徳な者は喰らってこいと送り出された私がね」


 「………」


 「それはそうと、新しい敵が前から来ましたよ。ヴィーが戦ってみましょうか?」


 「はい」



 今度は震えもせずしっかりと踏み出し、餓鬼に対してシールドバッシュを食らわせた後メイスで頭をカチ割ったヴィー。うんうん、それが正しい戦い方だよ。シールドバッシュで弾き飛ばせるんだから、リスクを取る必要なんて無い。


 盾で弾いて態勢を崩し、そこに一撃を加える。別に弾かなくてもいいけど、盾士の戦い方の基本はそれだ。敵の攻撃を流し、スカし、いなし、弾く、そして態勢を崩させたら一撃を見舞う。安全な状況を作り出してから狙い澄ました攻撃。これが正しい盾士と言える。



 「そうなのですね。盾で防ぐものとばかり……」


 「基本的に魔物の方が力が強い事が多い。盾という物は基本的に防ぐ物じゃなくて、流したりいなしたり弾いたりする物。同じ人間種や魔族や竜人族相手なら防いでも良いんだろうけどね。魔物相手にそれは危ないから、絶対に止めるように」


 「魔物相手だと盾に攻撃されつつし掛かってくる事もあるわ。それを受けたらそのまま押し倒されて、後は噛みつかれて死ぬわよ? だから基本は流すか弾くかいなすか、このどれかしか無い。スカすのは上手くなってからね」


 「盾が幾ら頑丈でも、相手の体重を浴びせられれば耐えられません。ニニとルルもそうですが、魔物の体重を活かした攻撃には気をつけなさい。場合によっては避けられずに殺されるしかない状況に陥る事もありますから」


 「はい」


 「ええ、覚えておく。死にたくないし、10階のボスである狼がそんな感じの攻撃をしてくるもの」


 「そうですか。10階のボスがそんな攻撃を……」


 「おっきなおおかみがね、かもうとしてくるの!」


 「あの狼、高さが3メートルくらいあるの。最初に見た時はビックリしたわよ。そんな状況で戦わされたけど、3メートルの大きさの狼ってどう考えてもおかしい。今でもそう思う」


 「まあ、ダンジョンだから何を言っても無駄でしょう。そういうものだと諦めた方がいいですよ。それに、そもそも一定の実力が無いと本来は探索者になれませんからね。誰でも成れるなら危険ですけど、そもそも実力が無いと弾かれる制度です。文句も言えませんよ」


 「ああ、そういえばそうだ。私達は特例で登録証を貰ったから、自分達が実力も無く探索者になったのを忘れてた。でも、どれだけの実力を持ってたらボスが普通になるんだろう? 町の外にはアレ以上の魔物が居るのかな?」


 「さあ、どうだろう? 私達も魔物は適度に倒したりしてたけど、対して強いと思う魔物は居なかったね。ただ私達の強さでは、となるけど」


 「魔物が出てきたけど、次は誰? って、ニニが元気よく行ったわねえ」


 「あー、う!」


 「にに、しゅしゅってやった!」


 「そうねー。なかなか素早くて優秀な遊撃じゃない? 【危険察知】という能力も持っているみたいだし、斥候タイプかしら。将来優秀になるかも」



 ニニが鼠の魔物を倒したので、次はルルが戦う。そうやって順番に戦わせつつ先へと進んで行き、私達は10階に辿り着いた。そこで休憩しつつドラゴンの干し肉をヴィーに食べさせる。興味があったらしいので食べさせたが、公爵家の娘とは思えない食べっぷりだね。


 と言っても、他の連中と何ら変わらないんだけどさ。一心不乱って感じで、色々とアレな感じにしか見えない。ま、本人は理解できないんだから、周りが言わなきゃ気にもならないだろう。ついでに私達にとっては慣れた光景だ。



 「干し肉に一心不乱なのは無視するとして、ボス戦はどうするの? 確か三頭って聞いたけど、一頭はティアで、もう一頭は三人組。残る一頭は私かミクが倒すしか無いわ」


 「私が倒すから問題ないよ。長巻を使えば安全に倒せるし、近付くのが駄目ならショットガンを使えば終わるでしょ。あのポンプアクション式のヤツ」


 「え? 銃を持ってるの!?」


 「持ってるよ。前に居た星はいわゆる西部劇みたいな文明の星だったからね。銃は普通に出回ってたし、盗賊も持ってたよ。馬に乗った盗賊がリボルバーを撃ってくる中、私達はバイクに乗ってたけどね」


 「何だか貴女達だけ世界観がおかしくない? って思ったけど、よくよく考えれば別の星に移動出来るんだから、もっと凄い銃とか持てるわよね」


 「無理無理。日本は銃を持つ免許を持っていても厳しいのに、戸籍の無い私達が買える訳ないじゃん」


 「日本!? って事は、私故郷に戻れるじゃない! 何で送ってくれないのよ!!」


 「えっ? 日本が故郷なの? ………日本人なのにルルラーナって名前なのは、ハーフか何かかな?」


 「は? 私は日本人だけど? 純粋な日本人」


 「………どういう事?」



 ルルに詳しい話を聞いた結果、私達が知るガイアとは別の日本だった。ルルの故郷の星はテラという名前らしく、更にはダンジョンが無かった。そして世界大戦は一度しか起こっていないらしい。その後、世界はグローバル化したそうだ。



 「一応純血の日本人だけど、古臭い名前なんて今時誰もつけないしね。花子とかいう名前なのは、お婆ちゃん世代ぐらいよ。あの世代の人はむしろそれが誇らしいらしいけどね」


 「ふーん。ガイアはダンジョンのある日本だから全く違うねえ。でも同じような星が複数あっても不思議じゃないから、別に変な事でも何でも無いけどね。ガイアでは世界大戦は二回あったみたいだし」


 「二回もあったの? あのおびただしい戦死者を出す戦争が二回もあっただなんて地獄ね。よくもまあ、そんなに戦争ばっかりするものだと思う。呆れるしかない」



 そういえば、第一次世界大戦しかなかったら、日本は戦勝国のままだったのか。それでグローバル化されて日本の特色が無くなってるんだとしたら、良い事なのかどうかは分からないね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ