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1046・王城へ




 Side:ファーダ



 公爵家の者だという、毒で苦しんでいたヤツを殺気で気絶させた後、何故かギルド長が出てきた。が、コイツは暇なのだろうか? そんな目を向けていたら気付いたのだろう、「ゴホン!」という咳払いをした後に話を始めた。



 「公爵家の方が探索者ギルドで治してくれた者を待つと言われるのだ。ギルドとしても色々とあってな、動けるようにしておかねばならん。僅かとはいえ何か大きな事になる可能性もあるのでな。そして見事に大事になった訳だ」


 「これがか? くだらん」


 「お前が下らないと思うかどうかと、公爵家がどう出てくるかは別だ。これでお前は公爵家から狙われ続けるぞ?」


 「だからどうした? 何度も言わせるな。俺達に勝てると思っているなら向かってくるがいい。ただし全滅する覚悟を持てよ? 俺達は途中で止めてやるほど甘くは無い」


 「もし陛下を当てにしているなら大間違いだぞ。ドラグール公爵家は王母様の御実家だからな。陛下の威光も通用し辛い」


 「ハッハッハッハッハッ! これは面白い。とある事情から王母は既に我らの後ろ盾になっているのだが……今回のコレを王母に話せば何と答えるか楽しみだ。効果を無くすぞと言えば血相を変えて公爵家に殴り込むだろうよ」


 「は? ………王母様を味方に付けたのか?」


 「とっくにな。貴族だと言っても、お前はそこまでは知らなかったか。そもそもこっちは王母本人に恩を売ったが、同時に軍の仕事もしてやっている者が居る。忘れたか? 俺達の仲間の大半は<アーククラス>だぞ」


 「その<アーククラス>が兵士を鍛えたりしているという訳だ。もちろん宮廷魔法士隊の所に行って、魔法を教えている仲間もる。思っているよりもギルド長の情報網は狭いようだな」



 ギルド長も公爵家の娘も驚き過ぎて声が出んようだ。流石に既に王母が味方だとは思わなかったのだろう、あの王母の実家という事は外戚という事になる。実家が権勢を振るっているからこそ、コイツはやたらに偉そうだったのだな。



 「元々公爵家の方だから偉いんだがな。とはいえ現公爵はちょっと問題のある人物ではあるんだよ。先代が毛嫌いしていた教団に寄付したりと色々な動きをしているとも聞く。あまり良い噂の無い御仁だな」



 「ふーん……。まあ、そんな事はどうでもいい。何度も言っている通り、俺達に手を出して来たら潰す。それは誰であろうが変わらん。別に王母の事は関係ないぞ? そもそも俺達の敵になるから潰すのだ」


 「相手が個人だろうが国だろうが同じだ。こちらを舐めてくるのであれば戦争しかあるまい。そして争いの後でその結果が出るだけだ。そして我らに負けは無い」


 「まあ、そっちの争いは好きにしてくれ。俺は知らん。そもそもワシはギルド長であって、貴族関係の役職に就いている訳ではないからな」


 「ところで査定と新しい登録証は作り終わったか?」


 「あ、はい! 終わっています。小金貨3枚と大銀貨が6枚です。それとワイバーン10頭の大銀貨50枚になります」


 「ワイバーン10頭だと!? お前あんなものまで倒して持って帰ってきたのか!?」


 「そうだが、それがどうかしたか?」


 「あの断崖でよくぞ下に落とさずにワイバーンを確保できたな。奴等は火の玉のようなブレスばかり吐いてくるだけで、全く近寄って来んというのに……」


 「ま、色々とあるのだ。新しい登録証と金銭は貰っていくぞ。しかし、三日で<ゴールドランク>か。ありがたみも何も無いな」


 「それはお前達の実力がおかしいだけだ。何故たった三日で40階まで行けるのか意味が分からん。陛下達のチームですら行って帰ってくるのに10日以上は絶対に掛かるんだぞ」


 「そんな事は知らん。他の奴等が遅すぎるからじゃないのか? 俺達の仲間には遅い奴なんぞ居ないからな」


 「成る程な」


 「じゃあ、俺達はもう行かせてもらう」



 俺達はさっさと探索者ギルドを出ると、そのまま王城へと向かって行く。もちろん理由があるから行くのであって、理由が無いならば行ったりしない。門番に話しかけ、ミクの知り合いだと言うと中へと聞きに行った。


 少し待っていると近衛のようなヤツが来たので、宰相に緊急の話がある事を説明する。中身を聞いてきたが、残念ながら近衛騎士程度には話せない。そう突っ撥ねて、宰相に聞きに行ってくれと言った。


 近衛は渋ったものの、王母の事もあったので仕方なく聞きに行く。ミクの知り合いという言葉が功を奏したのか取次ぎは成功し、俺達は宰相の居る部屋に案内された。中には多くの近衛が居たがな。



 「さて、そなたが何処の誰かは知らぬが、いったい何の用かな?」


 「俺の名はファーダ。ミクの知り合いと言ったが、それは正しい情報ではない。何故なら余人に話すべき事ではないからだ。そしてこれからは他の奴に聞かせる内容でもない為、【念話】を使って話す」


 「は?」


 『聞こえるか、宰相。聞こえているとして話す。俺達はダンジョンの50階に到達、そこで<がしゃどくろ>のような巨大な骸骨とのボス戦に勝利。その際に<若返りの薬>と思わしき薬が出た。これをどうするか話し合いたい』


 「は? ……は? は?」


 「先程の事はジックリ考えてくれ。今もまだ所持しているのでな」


 「……あー……んー……。そなたが言っている事はとても信じられんのだが?」


 「なら、まずはコレを見るか? ……<鑑定の水晶>だ。少し前に<殺戮者>を倒して手に入れた」



 俺はそう言って<鑑定の水晶>をテーブルの上に置く。それを見た宰相はギョッとした後、恐る恐る手にとって魔力を流した。その結果本物と分かったのだろう、唖然とした後で宝物庫の中の<鑑定の水晶>を調べるように指示をした。



 「これがそなたらの物だと判明するまで預かるぞ」


 「それはいいが、きちんと返せよ? もし俺達から奪おうものなら暴れるぞ?」



 俺はそう言っておき、今はゆっくりとするのだった。ちなみにレティーとセリオは適当にドラゴンの干し肉を食べているので、お腹の方はまだ大丈夫らしい。お昼がまだだったからな。出来るだけ早く終わらせたいもんだ。


 そんな事を思っていると近衛が走って戻ってきて、部屋の中に入ってきた。ついでに何故か王も入ってきたが、ここは応接室みたいな所だろう? 王が来る所じゃない気はするがな。



 「さ、宰相閣下! 宝物庫に<鑑定の水晶>はありました!! なのでそれは宝物庫の物ではありません!」


 「何と……。それに陛下、何故こちらへ?」


 「少々聞きたい事があってな。近衛は部屋を出よ、この者達と内密な話がある」


 「………分かりました。皆の者、出るぞ」


 「「「「「「「ハッ!」」」」」」」



 近衛は王の命令通りに部屋を出た。ただし外で中をうかがっているだろうがね。それはともかくとして、これでようやく話したい事が話せるな。



 「まずは単刀直入に聞く。そなたらは何者だ?」


 「それを説明するには、その<鑑定の水晶>を返してもらおう」



 俺はそう言って宰相から<鑑定の水晶>を返してもらい、それを受け取った手に魔力を流す。俺の鑑定結果が表示されるが、それを見て王と宰相が唖然としている。何故なら何処かで見た鑑定結果だからな。



 「これはどういう事だ!?」


 「そんなバカな! この鑑定結果は!?」


 「それが事実だ。いや、むしろ我々はソレだと言うべきか。それをこれからファーダが説明する。そなたらはソレを聞いて判断すればよい。どのみち、そこの話もそろそろせねばならなかったのでな」



 確かにこのまま話さずという訳にもいかんからな。そういう意味では丁度良いタイミングだったと言えるだろう。


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