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1039・宮廷魔法士隊と魔法の練習




 Side:マハル



 ボク達は途中でシャルさん達と分かれ、王城の西にある宮廷魔法士隊の建物へとやってきました。ここでは主に魔法の研究をしているそうで、元々席しか置いていない方々も居るそうです。理由はその方の研究内容が実戦に基づくものだからだそうで……。


 そして今、その実戦に基づく研究をしている方々がズラリと並んでいます。ここは宮廷魔法士長であるガルドヴァさんの部屋なんですが、そこに入るだけ詰め込んだと言うぐらい沢山集まってます。



 「おお! やっと待ち人が来たぞ! 君が魔法の新たな知識を持つ者か!! 早速で悪い「待て待て待て待て待て!」のだが」


 「いきなり何を言っているのだ。いつも言っているだろう、せめて礼儀ぐらい身に付けろと! 我々は教えてもらう側だぞ、その立場を忘れるな。師が居たとして、弟子がズケズケ物を言って教えてくれると思っているのか!」


 「申し訳無い。少しはやってしまったようだ。我々は宮廷魔法士隊の中でも、実戦派と呼ばれているグループでな。魔法は実戦で使えないと意味が無いと考えている。ま、研究派とは違って行動するグループだと考えてくれたまえ」


 「言い方が酷いな。そもそも研究派の研究結果はお前達も使っているだろう。確かに近衛に行くのはお前達の方だが、我らが役に立っていないかのように言うな」


 「役に立っていない等とは言っておらん。しかし研究だけでは魔法士として一流にはなれんと言っているのだ。我ら魔法士は実戦での強さを求められておる。特に宮廷魔法士隊は戦争に出る魔法士の部隊なのだ。その時に大した事がない等と思われては困るのだよ」


 「それは確かにそうだが、まあいい。それより今回は研究派や実戦派に限らず、全員で学ぶ事になる。我々とて研究のヒントになるかもしれんし、私の【マジックシールド】が紙切れのように破られたのだ。流石にこのままではマズい」


 「何と、魔法士長の【マジックシールド】が紙切れのように破られたのか! これは面白い! はははははははは……!」


 「笑い事ではない。今までは敵軍の魔法を【マジックシールド】で止めていたが、今後はそれが叶わなくなるかもしれんという事だぞ。危機感を持て!」


 「分かっておる。分かっておるとも。それよりもさっさと練兵場へと行こうではないか。ここでダラダラと話すなど時間の無駄だ。我々にそんな事をしている暇など無い」



 その言葉を合図にしたようにゾロゾロと魔法士の人達が部屋から出て行き、その姿に溜息を溢すガルドヴァさん。随分と個性的な人達だと思うも、ボクが纏めなきゃいけない訳ではないのでスルーした。関わり合うと面倒臭そうなので最低限にしたい。


 ボク達も部屋を出て練兵場へと向かうんだけど、その途中で気になる事を聞いてみた。



 「宮廷魔法士隊なのに、何で王城の中に建物が無いんですか? 宮廷という言葉はなぜ付いているんでしょう?」


 「ああ、それか……。まあ、疑問に思うのはもっともだろう。簡単に言うと、かつては王城の中に宮廷魔法士隊の部署はあったのだよ。しかし我々の先輩方がだね………派手な失敗をやらかして爆発騒ぎを起こしたのだ。その所為なのだよ、王城の外に置かれるようになったのは」


 「あー………王族の方を危険に晒すとか、ちょっとシャレになってませんね? むしろよく王城の外に出すだけで済んだものです」


 「本当にな。当時の先輩方の首が全て飛んでもおかしくない失態だ。とはいえそれでは魔法の発展に支障をきたすとの事で、仕方なく王城の外に出す事で済ませたらしい。まあ、爆発を起こした先輩方は、給金の大半を王城の修繕費と新たな魔法士隊の建物の建築費に取られたらしいがね」


 「それは仕方がないでしょうけど、それでもお金だけで済んで助かったのでは? 首を飛ばしても利益にならないと言えば、それまでですけど……っと、着きましたね」


 「うむ。まずは実戦派のバカどもに教えてやってほしい。奴等は心の何処かで君を舐めているようだからな」


 「ええ。その事は初めから分かっています。なので最初が肝要なのでしょう」



 ボクは練兵場に着くと、すぐに実戦派で最初に声を掛けてきた人を相手に模擬戦を行う。簡単に言えば、好きに魔法を打ち合う戦いだ。当初は乗り気になっていた魔法士だけど、ボクが乱射を始めるとすぐに顔が青褪めた。



 「な、なんだこの数は!! こんなもの捌げふっ!?」



 一発の【風弾】が当たったけど、後は連続で喰らい続けてボコボコになり終了。見ていた実戦派の皆さんも「シーン」としているので、こっちの実力は分かってもらえたと思う。いちいち【魂の声】を使いたくないから聞かないけど、本音が碌なものじゃないのは最初から分かってたよ。


 態度と声と雰囲気に出てたからね。正直に言って【魂の声】を使わなくても丸分かりなんだよ。そういうところは研究派と変わらないなとは思う。両方とも貴族出身の人も居るだろうに、相手の事を全く考えていない。


 貴族は「どう見られているか」を非常に重要視する。それは自分というものの評価に関わってくるからだ。それが良いか悪いかだけで、今後の人生を左右しかねない。それが貴族社会でもある。ある筈なんだけど……この人達、頓着とんちゃくしなさ過ぎるんだよ。おかしなぐらい。


 そこに対していちいち指摘したり突っ込んで聞いたりしないけどさ、幾らなんでも宮廷魔法士隊がコレで良いの? とは思うよね。


 流石にボコボコで終わったので実戦派も聞く耳を持ったらしい。なのでボクは一つずつ丁寧に聞かせていく。魔法はそもそも四つに分類できること、そしてそれぞれに強度が違う事。この星で使われている魔法がどんなものかは知らない事などだ。



 「そもそも、この星の魔法ってどうやって使ってるんです? ボクが居た星の【惑星魔法】は詠唱が必要でしたけど、この星では必要なさそうですし……」


 「それはコレの御蔭だよ」



 そう言ってガルドヴァさんが見せてくれたのは、右手に着けている腕輪だった。どうやらこれを使う事によって無詠唱で魔法が使えるらしい。どちらかというと、魔力を流すと決まっている魔法を自動で起動できる物のようだ。



 「詠唱を省略するというテクニックは昔からあってね。だったらそれを何かに肩代わりさせられないかとして実験が始まったそうだ。我が国が完成させたのは一番遅かったらしいが、それでもそこまで遅れる事も無く完成させているのだよ」


 「へー……そうなんですね。【根源魔法】については魔力を操作し、その魔力で魔法陣を描く必要があります。そこに更に魔力を篭めて初めて発動します。魔法陣の大きさは小さくても良いですけど、小さくとも正しく描かなくてはなりませんので難しいですよ?」


 「最初は大きく描いた方がミスしなくても済む訳か。しかし魔法陣が大きいと魔力の消費も大きくなる、と。うむむむむむむ………思っているより難しいな? コレを実戦で使うのか」


 「慣れれば当たり前のように出来ますけどね。むしろ意識なんてせずに魔法を使うぐらいです。ちなみに魔法陣が間違ってると魔法は出ませんので注意して下さい」



 もはやボクの言葉を聞いている人が居ないな。皆さん凄い集中力で魔法の練習をしてるよ、何故か曇りの無い笑顔で。


 ……アレだ、新しい玩具を貰った子供みたいな顔をしている。これは放っておくしかないな。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ミク



 「で、結局それだけで今日一日が潰れました。一応研究派と実戦派に分かれている事ぐらいですかね? 分かった事は」


 「成る程。私達の方は特に報告する事は無いんだよねえ。町や村に行って話しつつ、色々な事を聞きこんだくらいだし。そもそもバイクで移動してたから、然して何かがあった訳でもなしいね」


 「あー! あう! う、う!」


 「あらら。そろそろお腹が空いたかな? ベルもお腹空いてそうだし食堂に行こうか」


 「はい!」



 ベルが元気にとことこと自分で歩いて行っているので、私達もその後ろをついていく。バカな奴等がファーダの後ろをつけていたけど、ベルに手を出そうとしたら、その場で喰えばいいか。


 一瞬で喰えばベルも理解できないだろうしね。


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