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1034・売却金の受け取りと宿への帰還




 Side:ファーダ



 ギルド長が呆れているのはどうでもいいとして、俺は<鑑定の水晶>をアイテムバッグに仕舞う。その瞬間、周りからは溜息が漏れてきた。まだ見ていたかったのか、それとも俺が売るとでも思ったのだろうか? そんな事はあり得んのだが……。



 「あー……一応聞いておくんだが、その<鑑定の水晶>を売る気はあるか?」


 「唯一所持しているこの国でも、国宝に指定されているんだが……。そんな物を売るとでも?」


 「だよなー。できれば探索者ギルドでも持ちたかったんだが……」


 「こんな誰でも入ってこれる所に置いてあったら、簡単に盗まれるだろう。そもそもこの世に二つしかない可能性が高い物を簡単に売る阿呆も居ないし、俺はそんな阿呆ではない。そして簡単に売るような者では<殺戮者>を討伐など出来んだろう」


 「その通りだ。流石にその事については、そこの愚か者も声を上げんだろう? <殺戮者>を討伐するなど不可能とまで言われている。陛下はそれを成した唯一の方なのだ。<アーククラス>であり<殺戮者>の討伐者。だからこそ尊敬される」


 「ほーう、あの王も大変だな。愚か者どもが見上げてきて、アレやコレやと持ち上げる。実に面倒極まりなかろう。王からすれば、自分を礼賛らいさんしている暇があるならダンジョンに潜って位階を上げろと言いたいだろうさ」


 「まあ、それはな。陛下は阿諛追従あゆついしょうしている者達を冷めた目で見ていらっしゃる事が多い。持ち上げている暇があったら行動しろとおっしゃりたいのだ。探索者としてダンジョンに潜ってらした方だから、尚の事そう思われるのだと思う」


 「それはそうであろうよ。ここの王を誉めそやしたところで何の意味も無いのだ。王からすれば少しでも位階を上げて国の為に役立ってほしかろう。にも関わらず暢気のんきに褒めそやしているだけなのだ、いい加減ウンザリするのであろうな」


 「厳しいな。とはいえ陛下のお立場になってみれば、おそらくその意見が一番正しかろう。下らぬ人間種や魔族との争いもそうだ。少しでも戦力が充実すれば、その分だけ奴等を追い返せる。にも関わらず位階の高い奴は増えんからな」


 「そうか。ところでそろそろボスドロップの金額は出たか? 俺達はそれを受け取って帰りたいんだが……」



 俺が受付嬢に問いかけると、受付嬢はギルド長を見る。まだ疑ってるのかコイツらとウンザリするが、どうもそれだけでは無かったらしい。青銅らしき赤色をした登録証が持ってこられたので、コレを作る間の時間稼ぎでもあったのか。話し合いは。


 ギルド長が頷いたので受付嬢は俺達に登録証を渡してきた。それを俺達は受け取り木の登録証を渡す。とりあえずは<ブロンズランク>らしいな。俺達にとってはどうでもいいが。



 「それと、ボスドロップの売り上げは、小金貨7枚に大銀貨27枚と大銅貨38枚です。どうぞ」


 「ふむ。これはもしかしてアレか? <5号毒消し>とやらは一本で大銀貨5枚なのだな? あの壜の本数の半分だからな、小金貨の枚数が」


 「そうだ。こちらから売る場合は<5号毒消し>一本で大銀貨7枚だな。これ結構な値段なんだが、それは<5号毒消し>が滅多に手に入らん物だからだ。まさかこれほど一気に持ち込まれるとは思ってもいなかったがな」


 「そんなに珍しい割には、20階のボスで手に入るのだがな。我らならば通りすがりに一本は確定で手に入るのだが、首を切る方法さえ確立すれば他の者でも手に入れられるだろう」


 「それが無理だと言ってるだろうが。お前さん達が普通に出来る事が、他の連中に出来ると思うな」


 「いやいや。そこの者は我らの事が気に入らんのだろう? きっとやってくれるであろうよ。あれほど気に入らんと言うぐらいなのだからな」


 「こらこら、相手を死地に追いやるな。探索者ギルドとしては、なるべく多く探索者が活動してくれる事が望ましいのだ。人数が多い方が色々と手に入るからな」


 「だからゴミを生かせと? 我らがいちいち我慢せねばならんと? それを我らが聞く意味はあるか? ある訳が無かろうが。下らん」


 「そうだな。襲ってきたヤツは殺す。それが誰であろうと然したる違いなど俺達には無い。もしくは善人に書き換えるかだ。恐怖が分かりやすいように書き換えた方がいいか」


 「書き換える?」


 「そうだ、善人に書き換えるのだよ。ま、お前達が知る必要は無い。金も受け取ったのだし、そろそろ帰るか。皆も戻ってきているだろう」


 『お腹減ったし帰ろう。そろそろ夕食だしね』


 「ああ、そうしよう」



 俺達は軽く挨拶をしてからギルドを後にした。後ろから多少の敵意と悪意が向いてきていたので、そのまま放置して俺達は宿に戻っていく。当然だが後ろからつけてくる者達が居るが俺達はスルー。そのまま見せ付ける形で宿へと誘導していく。


 俺達が宿に入ると、後ろからつけて来ていた奴等も宿へと入ってきた。俺達が何処の部屋に泊まっているかを確認したいのだろう。俺達は表情が変わらないようにしながら宿の部屋へと入った。ちょうど皆は戻って来ていたらしい。



 「お帰りー」


 「ただいまだが、後ろからつけて来ている者が居たのは分かると思う。そいつらは俺達がどの部屋に泊まっているかまで確認していた。必ずや夜の間に襲ってくるだろう。せっかくだから善人化したいんだが、いいか?」


 「構わないよ、こっちは把握してるからね。貴族はともかく、庶民は人間種と魔族を憎悪している連中が相当に多いみたい。ま、善人にしたら関係なくなるけどね」


 「俺達はダンジョンの21階まで行ってきた。それなりに時間は掛かりそうな感じだが、それでもダンジョンはダンジョンだ。然したる時間も掛からず攻略は完了するだろう。それとコレを渡しておく」


 「おお、<鑑定の水晶>。<殺戮者>だっけ、コレをドロップするヤツ」


 「そうだ。緑色の蛍光色の人型。意味が分からん存在だったが、魔法で燃やし尽くして倒した。蒸発して小さくなっていき最後には消えたな。その蒸発した成分が毒だったので、毒の塊のようなヤツだった。で、倒したらそれが出てきたという訳だ」


 「この国の王も同じように<殺戮者>を倒して手に入れたらしい。それは銀色のスケルトンだったらしいがな。どうやら見た目と能力がおかしいのが<殺戮者>のようだ。俺達の相手ではないがな」


 「でしょうね。とはいえこの星で<鑑定の水晶>が手に入ったのはありがたいわねえ。今までは<鑑定の石板>だったけど、これでより詳細に鑑定できるじゃない。もしかしたら石板との違いは位階で表示されるだけじゃないかもしれないし」


 「あたし達の特殊能力なんかだろ? アレ、もしかしたら元々持ってたけど、見えなかっただけって可能性もあるしねえ」


 「そうですね。<鑑定の石板>では鑑定しきれなかった可能性は否定できません。そういう意味では手に入ったのはありがたいですね。これからの事を考えると」


 「後は金銭だな。小金貨7枚、大銀貨27枚、中銀貨12枚、小銀貨が3枚、大銅貨が56枚だ。ボスドロップ目当てにボス戦を周回する方が稼げるが、俺達としては下の階層へと進む事にする。地図は描いているので、もし皆が潜るのなら楽になるだろう」


 「それは助かるねえ。あたし達も暇になったらダンジョンに行く可能性が高いからさ。そこで地図があると助かるよ。いちいちウロウロするのも面倒臭いし」


 「そういえば皆の方はどうだったのだ? っと、そろそろ猫の姿に戻るか」


 「わたし達の方? それはね……」



 俺は本体空間に居ても聞ける為、さっさと本体空間へと戻った。


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