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1032・ダンジョンからの帰還と愚か者




 Side:ファーダ



 アレからボスを何度倒したかは覚えていない。セリオは派手に暴れ回る事が出来るから、ノノは人型で武器を振るうのが楽しいらしく、蛇の頭を一撃で落としたりして遊んでいたのだ。酷い戦闘ばかりが続き、ボス蛇は恐ろしいまでに乱獲されてしまった。


 今は地上に移動しているが、非常に機嫌が良いのは暴れ回ったからか? セリオだけで戦ったり、レティーだけで戦ったりもしていたが、戦闘自体は余裕で勝てている。正直に言って俺達ならば相手にならないと言っても良い相手でしかなかったのだ、あのボス蛇は。


 セリオはスキルも使わず突進して飛ばし、倒れたボス蛇を楽々と噛み千切って倒していたし、レティーは上級魔法の【豪炎射】で燃やし尽くしていた。火炎放射器かそれ以上の炎に焼かれるボス蛇は、何も出来ずに焼き殺されていたほどだ。


 ノノはボス戦が始まってすぐに首を落とし、その一撃で終わらせていた。正確には首を落とされた後も少しの間はビチビチ跳ねていたが、アレは生きている訳ではないので、そのビチビチ跳ねているままに消えていったのは少々シュールだったな。


 ちなみにその御蔭と言うべきか、首を落として殺せば確定で壜がドロップする事が判明した。ただし他の探索者に同じ事が出来るのかは分からない。そもそも首は立ち上がっていて、ボス戦が始まって間もない時は結構な高さにあるのだ。


 ノノは素早く走り跳び上がって斬っているが、普通の竜人族に同じ事は出来ないだろう。なので他の方法で首を切り落とす必要があるのだが、アレの胴の直径は1メートル50センチもあるのだ。方法を教えても良いが、おそらく誰も出来まい。


 俺達は地上まで走って出ると、その足で探索者ギルドの出張所へと行く。解体所がメインの出張所である為、その解体所の方へ行ってアイテムバッグから獲物を大量に取り出した。職人が目を剥いているが、俺達は全く気にしない。



 「これほどに持って帰ってきたのか……。こりゃ今日は徹夜で何とかするしかないな。それだけ儲かるから良いっちゃ良いんだが、このままだと酒も飲めない時間になるかもしれねえ。お前ら気合い入れろよ!!」


 「「「「「「「「「「うっす!!」」」」」」」」」」


 「ところでランクを上げる為のボスドロップはどうすれば良いんだ?」


 「ボスドロップは解体の必要が無いから、全部王都にある本部に持っていけ。それと獲物の売却金も向こうで受け取るんだ。こっちは解体所みたいなもんだ。獲物の種類と数を今書いてるから、この木札を持って本部に行け」


 「分かった」



 少し待っていると木札に書き終わったらしく手渡されたので、俺達はそれを受け取って出張所を後にする。王都に戻る道を歩いていると、目の前を突然塞ぐ奴等が現れた。



 「おいおい。どこの死体漁りだ? あんなに大量の獲物をお前ら如き人間が倒せる訳ねえだろ。大人しくその木札を渡しな。そうす「失せろ、殺すぞ」りゃ見逃し」



 俺は目の前を塞いだバカどもに対して殺気をぶつける。それだけで下から漏らしたバカ5人は、膝から崩れ落ちてガタガタ震えるだけになっていた。周りで俺達を見ながらヘラヘラしていた奴等も、喧嘩を売るとマズい相手だと分かったのか即座に離れる。



 「戦場では阿呆から死んでいくのだ。理解できたら大人しくしておけ、マヌケども」



 それだけ言って俺達は王都へと戻っていく。バカは何故相手を見下して下らん事をするのか理解できん。もちろん頭が悪いからなのだが、どんな種族にも必ずと言っていい程に頭の悪いのが居る。不思議で仕方がないがな。


 王都の門番に登録証を見せて入り、そのまま坂をのぼりながら進んで行く。山城が王城で、その下に王都が広がっている以上はのぼるしかないのだが、疲れはせんが面倒臭いという思いが出てくる。バイクを使いたくなるぐらいにはな。


 そんな坂をのぼり、無事に探索者ギルドに着いたので中へと入る。中はそれなりに人数が居たが受付には誰も居なかったので、俺達は周囲の者を無視して受付へと進む。座っている受付嬢へと声を掛けた俺は木札を出した。



 「はい、お預かりします。………全部で中銀貨12枚と小銀貨が3枚に大銅貨が18枚です。どうぞ」


 「ああ。それはそうと解体所でボス戦のドロップはこちらに出せと言われたのだが……」


 「はい、こちらで受け付けております」


 「それなら出させてもらう」



 そう言って俺は10階のボス狼でのドロップと、20階のボス蛇のドロップを全て出す。その量を見た受付嬢は唖然としたが、気にせず俺は全て出して査定を頼む。周りの奴等が急に騒ぎ始めたが、俺は気にせず査定を頼んだ。



 「申し訳ありませんが、コレは貴方がたが本当に倒して手に入れた物ですよね?」


 「当然だ。そもそも俺達以外がどうやって手に入れるのか、それを考えたら分かるだろう」


 「どういう事でしょう?」


 「俺達が仮に卑怯な事をしたと仮定しても、これだけの量をどうやって手に入れるんだ? それを考えれば分かるだろうが。今日こんなにも20階に挑んだ奴等が居たとでも言う気か?」


 「それは………。はい、申し訳ございませんでした」



 受付嬢は頭を下げて査定を始めたものの、納得できないのかバカが絡んできた。帰り道でもそうだったが、バカはどうしてこうなんだろうな? 呆れてくるほどにマヌケだが、何故自分がマヌケだと理解できんのか分からん。



 「そもそもお前が獲ってきた物かは分からねえじゃねえか! まずそれを証明しろや!!」


 「どうやってだ?」


 「は?」


 「どうやってだと聞いている。誰かがボスとの戦闘を見ているしかないが、後ろから来た者は盗賊と見做して始末してもいいと決まっているくらいだぞ。どうやって証明するんだ?」


 「そ、それは……」


 「ちょっと待てよ! お前が誰かを襲って奪ったかもしれねえじゃねえか!!」


 「だったら奪われたとかいう奴を連れて来て、奪われた事が真実だと証明してみせろ。それが出来ない限り、お前達の言っている事は言い掛かりに過ぎん」


 「はぁ? 訳の分からねえ事を言って逃げようって腹か? んな事を許す訳がねえだろうが!!」


 「お前は何を言っている? 俺は当たり前の事を分かりやすく言っているのだが、そんな事すら分からんのか? さっさと奪われたとかいうヤツを連れて来て、奪われた事を証明しろ」


 「何でオレ様がそんな事をしなきゃなんねえんだよ!! テメェがやれや!!」


 「コイツは底抜けのバカだな。疑っているのはお前なのだから、証明の義務もお前にあるのだ。そんな大前提すら分からんほど頭が悪いとは……」


 「んだと、テメェ!!!」



 大きく振りかぶって殴ろうとしてきたが、俺はその拳を掴んで止める。そして一気に握り潰した。


 バシ!………バキィッ!!



 「ギャァァァァァァァァァァ!!!!」


 「高がこの程度で喧嘩を売るとは、何故ザコの癖に調子に乗るのか理解できんな。頭が悪過ぎる」


 「ガァ! クッソ、テメェもう許さねえ! ブッ殺してやる!!!」


 「あぁ?」



 俺は探索者ギルド全体に対して殺気を放つ。周りの探索者も俺の方に敵意や悪意を向けていたが、この殺気の放出でそれらは簡単に霧散した。



 「こちらが抑えてやっていたら、随分と調子に乗るのだな、このゴミは? どうやら死なねば分からんようだからな、さっさと死ね」



 俺はそいつの頭を掴み潰すように力を篭めていく。いわゆるアイアンククローの形だが、途端に悲鳴を上げて喚き散らすも、周りの連中は俺の殺気にてられて動けない。その間にも潰していくが、それは途中で止められた。



 「流石に止めてやってくれ。そのままでは死んでしまうからな」


 「こいつが難癖を付けてきたのにか? バカは死なねば治らんのだから、ここで死ぬべきだと思うが?」


 「それでも、だ。お前達も相手を見て喧嘩を売れ。相手の実力も分からん阿呆はダンジョン内で殺されても文句は言えんぞ!!」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



 周りの奴等は下を向いて、目線を逸らしている。俺は仕方なく頭を潰していたヤツから手を離し、ついでに放り投げた。



 「ガッ……! グゥ、くっそ、テメェ! ゴハァッ!?!!?」



 ギルドマスターが愚か者の腹を蹴り飛ばすとはな。おそらく俺達にこれ以上手を出させない為だろうが、それでもやるとは思わなかったぞ。



 「今度下らん事をやれば、お前を賞金首にするぞ。大人しくしていろ。分かったか!!!」


 「……ゴホッ……ゴホッ………」



 流石に賞金首はマズいらしく黙ったな。本当に面倒な事だ。


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