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1031・ダンジョン20階




 Side:ファーダ



 素手で戦う兎やら、跳び上がって鋭い蹴りを放つ鶏やらが居るのが11階らしい。呆れるやら何やらと言いたくなるが、俺達は無視して先へと進む。出来得る限り魔物と戦わず離れながら、どうしても戦わざるを得ない魔物だけさっさと倒してレティーに血抜きを任せる。


 それを繰り返して地図を完成させながら、移動しつつ飲み食いをさせる。俺やノノは食べる必要が無いので、レティーとセリオに適当な物を食べさせながら歩いていく。レティーにはノノが、セリオには俺が食べさせ、満足したら下ろして進む。


 おにぎりなどを始め、食べる物はそれなりにあるのと、ミクに言えば本体経由で手に入る為、割と食べさせる事は簡単だ。食べ物に関しても、素早く出せばアイテムバッグから出したように見えるしな。なので見られても問題無い。


 先へと進みつつ、10階までより少々広くなった階層もマッピングしながら下って行く。魔物と言っても然して強い訳でもなく、下へと下っていくほどに群れているだけだった。なので俺達にとっては苦戦するような敵では無い。


 15階からは蛇が追加されたが、コイツも擬態色である緑なのと毒持ちなだけで、胴の直径は10センチ程で長さが1メートル程度と小さい。が、逆にこの小ささで毒持ちなところが厭らしい配置となっているようだ。


 他の探索者はかなり慎重に草むらを「ガサガサ」と長い棒などで掻き分けながら進んでいる。やはり毒持ちは警戒せざるを得ないのだろう。俺達は毒を受けたところでそれすら喰らうし、そもそも毒自体が全く通用しないので気にする事も無い。


 仮に不自然がられても構わない理由がある。何故なら魔物の気配が分かっているからだ。他の探索者のようにいちいち調べる必要など無く、俺達は気配で魔物の位置は分かっている為、そこをピンポイントで警戒すれば良いだけになる。


 なので他の探索者とは歩む速度が違う訳だ。とはいえ進んで行く度に思うが、こんな道程みちのりに半月も掛かるのか? ここの王は<アーククラス>だろう。そんな者が往復で半月も掛かるとはおかしくないか?。



 「それは確かにそうですね。<アーククラス>というのは実力者ではあるようですし、その割には時間が随分と掛かっている気がします。他の者のクラスが低いとはいえ、そこまで時間が掛かるものなのでしょうか?」


 『分からないよ? ここから先、つまり20階から先が大変なのかもしれない。今まで簡単だったからって、この先も簡単とは限ってないからね。それに47階まで往復するのに半月かもしれないし、40階ともなれば難しいんじゃないの?』


 「それはあるであろうな。我らはまだ17階だ。あの王の半分にも届いておらん。この調子であれば確かに簡単だが、ここからどんな変化をするかも分からん。ファーダの言いたい事も分かるが、もう少し見てから結論を出せばよい」


 「そうだな。ここまでが簡単だからと言って、この先も簡単とは限っていないか。少し集中力が乱れていたかな?」


 「そこまでには、なっておるまい。そもそも我らからすれば有象無象でしかないのだ、気が抜ける訳ではないが集中するのも難しい。気合いなど入る相手は神ぐらいであるし、警戒すると言っても近くに魔物が出現する場合くらいだろう」


 「そういえばトラップがまだ出現していないな? もしかしたらトラップで進む速度が落ちるのかもしれん。解除となれば時間が掛かるだろうしな」


 「ああ、それはあるであろうな。ふむ、トラップが出てきたら如何いかがする? 解除を試してみるか?」


 「それしかあるまい。駄目なら踏み抜くまでだ。どんなトラップがあるか分からんが、俺達なら死ぬ要素が全く無いからな。【掌握】も使えばトラップそのものが見分けられるようになるだろう」


 「成る程。それをしておけば今後も楽になるだろうな。何も今日一日で攻略しなければいけない訳でもない。出来得る限りの情報を集めて行くか」



 17、18、19階と攻略し、遂に20階へと辿り着いた。特に待っている探索者は居なかったのでさっさと中へと入ろう。ココは大きな蛇のボスだと聞いているので、既にネタバレしてしまっているしな。


 中へと入ると背後で扉が閉まり、地面に魔法陣が出てくると、そこから巨大な蛇がせり上がってきた。胴の直径は1メートル50センチほどで、胴の長さは10メートルを超えている。これは巨大と言われるのも分かる大きさだ。



 「SYAAAAA!!!」


 「確かにデカいが、デカいだけならば幾らでもやりようはある。一匹である以上、コイツも大した強さではないな。それでは始めるか。セリオは適当に突進してくれればいい。ノノは尻尾の方を頼む。俺はコイツを釘付けにしておこう」


 「了解だ」 「分かりました」 『吶喊だー!』



 セリオが【剛竜外鱗】を魔力で作り出して纏い、その先に【魔大衝角】を生み出す。まるでガイアの<イッカク>の如き魔力の角を生やしたセリオは、己の荒ぶる気合のままに突進。その大きな角を蛇の胴体に突き刺した。



 「GISYAAAAAA!?!!?!?」


 「流石はセリオというか、派手にブッ刺したなー。コイツを釘付けにするには魔法を使うしかないか」



 俺は左手にカイトシールドを取り出していたが、蛇の顔に向かって大量の【火弾】を浴びせていく。蛇はセリオから大きなダメージを受けたので、当然のようにセリオに反撃しようとしたが、俺の魔法が邪魔でセリオに攻撃する事すら出来ない。


 これで俺に先に対処せざるを得ないだろう。そう思っていたら、後ろに回ったノノが派手に尻尾をぶった切ってしまった。どうやら本体が作った野太刀で斬り裂いたようだ。というか刀身2メートルの野太刀をその身長で軽々と振り回すな。


 そう思ったのだが、よくよく考えればクラスなどがある星なのだ。身長が147センチしかないノノが、2メートルの野太刀を振り回していても変ではない星だったと気付く。だったら問題ないなと思い、再び蛇の顔面へ【火弾】を乱射する。



 「GYUAEEEEE!?!!!?!!」


 「すまんがお前に攻撃させる気など無いのだよ。そのまま攻められ続けて沈め」



 セリオは【魔大衝角】を消して離れていたのだが、再び助走をつけて【魔大衝角】を刺し込む突進を敢行。その威力は十分過ぎるものであり、派手に直撃を受けた蛇は体をうねらせて悶え苦しむ。


 その隙にノノは体を斬り裂いて更なるダメージを与えていく。俺は最初から変わらず顔に向かって【火弾】を連射し、結局ボス蛇は何も出来ずにサンドバッグのまま死んでしまい消えていった。一番安全な形で倒せたのではなかろうか?。


 そんな事を皆と話していると、ボス蛇が消えた所から蛇皮と牙と壜が出てきた。もしかしたらアレが<5号毒消し>とやらか? 何かは分からないものの、俺は全てをアイテムバッグに入れて先へと進む。


 背後で扉が閉まる音がし、通路を進むと階段を発見。下に下りると、次は迷宮型ダンジョンだった。これは厄介かつ時間が掛かるなと思いながら、俺達は地上に戻る事にした。明日はもっと早く進めるだろうから、ここから先は明日でいいだろう。


 それを確認した俺達は階段を上がり、ボス戦後に閉まった扉に触れる。すると別の場所に転移したので通路を進む。


 通路を少し進んでいくと、ボス部屋前の通路に戻ってきた。成る程、聞いていた通りだな。



 「これは………ボスの周回が出来るのではないか?」



 ノノが急にそんな事を言い出した。が、セリオもレティーも乗り気らしい。仕方ないな……。


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