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1026・探索者ギルド




 Side:ノノ



 我らは試験が終わり、現在ギルド内の受付の前に居る。既に登録の為の書類は書き終わって渡したが、淡々と処理をしているようだ。そしてギルマスターとおぼしき男は今も我らの近くに居る。何かあるのか?。



 「そういえば、おそらくだがギルドマスターか何かだろう? このままこんな所に居ていいのか? 書類仕事が大変そうなイメージだが……」


 「構わんさ、今は急ぎの書類も無いしな。それに人間種嫌いのヤツも魔族嫌いのヤツも多い。お前達は知らんかもしれんが、特に庶民には多いのだ。と、忘れていた。ワシはドラギュスト・バルグライ。一応だがバルグライ子爵家の当主だ」


 「ほう。子爵家の当主が荒くれを纏めるギルドマスターをしているのか。大丈夫そうだから問題は無いのであろうが、少々驚きだな」


 「まあ、ワシは実力でギルド長の座に就いたからな。ちなみに人間種の国ではギルドマスターと言い、魔族の国でもギルドマスターと言うそうだがな、我が国ではギルド長という。ちょっとした違いだが、ギルドマスターと言うと勘違いされるから注意してくれ」


 「俺達は違うんだぞ、という感じか? まあ、情報には感謝しておく。しかし先ほど〝庶民には〟と言ったが、確かに王城では人間種と似た見た目だからといって、どうこうという事は無かったな」


 「流石に庶民と違って分かっているからな。良い悪いは別にして、人間種も魔族も一部の上の者が欲で争っているだけだ。それに召喚者を巻き込んでいるという形なのだよ。もちろん召喚者にも欲に溺れた奴が居るが、捕虜から聞き出した話では<奴隷の首輪>を着けられて無理矢理やらされた召喚者も居たそうだ」


 「<奴隷の首輪>な。何となくだが、着けた相手を好き勝手に出来そうな物だな?」


 「ああ、そういうクソったれな物だ。昔の人間種の国が開発したらしいがな、今や魔族の国でも当たり前に使われていると聞く。一応は重犯罪者に使っているという建前だが、奴等の言い分でしかないからな。それが本当なのかは知らん」


 「何となくだが、人間種の国も魔族の国も一枚岩では無さそうだな? もしかして穏健派とか過激派で分かれているのか?」


 「ほう、よく分かったな。あまり知られていないが、戦争に巻き込まれるのは御免被ると言っている国はそれなりにある。そもそも何故自国の兵を出さねばならんのかと考えれば、当たり前の事だがな。そういった揉め事は両方にある」


 「だろうな。双方共に争いに喜んで参加する訳でもあるまい。関係の無い、あるいは興味の無い国にとっては遠い所の話でしかない。何故そんな事に参加せねばならんのかと思うのは当たり前だな」



 受付嬢は裏へ行っていたのだが、戻ってきたな。木の札を持っているから、おそらくアレが探索者証なのだろう。我らにとってはダンジョンに入れれば何でも良い。正直に言えばランクとやらにも興味が無いからな。



 「お待たせしました。これが探索者証です」


 「探索者のランクは下から<ウッドランク><カッパーランク><ブロンズランク><シルバーランク><ゴールドランク>となっている。ダンジョンは10階毎に必ずボスが居る。何故かは知らんがな。そいつを倒した戦利品を持って来れば証明となってランクは上がる」


 「つまり提出しなければ、ずっと<ウッドランク>に居られるという事だな?」


 「ずっと<ウッドランク>に〝居られる〟とはどういう事だ。まさかワザと<ウッドランク>に居る気か? 実力者には実力にあったランクに居てもらわなきゃ困るんだがな?」


 「その実力者を都合よく使う為のランク制度の場合もあるからな。こちらとしては警戒せざるを得ん。それに魔物の素材を売るのは問題ない筈だ。ならば俺達にとってランクは何の問題にもならん」


 「あー、それはお前達が勘違いしている。人間種や魔族の国にある冒険者ギルドなるものは、高ランクの者に指名依頼だの強制依頼だのとあるらしいが、探索者ギルドにはそういうものが無い。探索者ギルドはあくまでもダンジョン探索者の為のギルドだからな」


 「だが、魔物が大規模に襲って来たらその限りではなかろう。四の五の言っていられん筈だしな。その場合はどうなるのだ?」


 「その場合は我が国だと狩人ギルドの出番だ。そもそも魔物を狩って食える肉を供給しているのは、主に狩人ギルドの仕事だ。王都では探索者ギルドの卸している肉の方が多いだろうが、地方では狩人ギルドとなる。そもそもダンジョンがないと探索者ギルドは無いからな」


 「成る程。それぞれのギルドで役割がちゃんと決まっている訳か。それならば構うまい。ランクは上げておくか」


 「そうしてくれ。<ウッドランク>は登録したばかり、<カッパーランク>は10階ボス討伐、<ブロンズランク>は20階ボス討伐、<シルバーランク>は30階ボス討伐、<ゴールドランク>は40階ボス討伐だ」


 「50階までは誰も到達していないから、新しいランクが無い訳か。もし50階に到達できたら新しいランクはどうなる?」


 「おそらくは魔銀、<マナシルバーランク>となるだろう。登録証に薄く被覆するだけでも結構な金額が飛ぶだろうが、まあ仕方あるまいな。50階ボスなぞ、本当に討伐できればお祭り騒ぎになるだろう事は確実だ。そんな時にケチな事は言えんよ」



 ふむ。という事は50階ボスを討伐しても提出しなければ問題ないな。我らはいちいち騒がれたくもないし、ここの王以上の実力だとバレても鬱陶しい。黙っておくのが一番よいだろうな。面倒事は御免被る。


 我とファーダはその後も2つ3つほど聞きだし、ダンジョンへと移動する為に王都を出る。ちなみに王都には出入りでお金が掛かるが、商人ギルドなど各ギルドの登録証を見せるとお金が掛からないらしい。


 ダンジョンは王都の外にあるので、我らは王都入り口の門番に登録証を見せ、王都を出るとダンジョンへと向かう。ちなみに獲物を提出するのはダンジョン近くの探索者ギルド出張所であり、王都に持って行っても受け付けていないそうだ。


 毎年新人が間違えて持ってくる事があるそうで、登録の際に注意しているのに持ってくるらしい。なので絶対に止めろと忠告された。まあ、前の星のように吸血鬼が解体所に居なければ、血の臭いが凄いだろうから分からんではない。


 とはいえガイアもそうだが、古い時代には町中に肉屋があるのが当たり前だったのだがな? その肉屋からは血の臭いなどしていた筈なので、町中に解体所があっても別に変な事では無い。


 そんな事を考えつつダンジョン近くまで行くと、土の壁で囲われている場所があった。ここにダンジョンがあるのかと思いつつ登録証を見せて入ると、中は大量の竜人族で溢れそうになっている。どこにこれだけ居たのだ?。



 「おまえら早くダンジョンに行けよ!」


 「後ろから押すんじゃねえ!!」


 「やかましいぞ、テメェら! さっさと行け!!」


 「いつまで詰まってやがる! 先頭のヤツは何してやがんだ!!!」


 「早く行け! 何をしてやがる!!」



 前の方が詰まっている所為なのだろう、ここまでごった返しているのは。


 それはともかく我らもダンジョンに入りたいので早く進んでもらいたいのだがな? いったい何故こんな事になっているのやら。



 『何だろうね? 前の方で誰かが堰き止めてるのかな? 何の意味があるのか知らないけど』


 「さて、どうなのでしょうね? 怒号が飛び交っているという事は、いつもと違うのだとは思います」



 確かにそれはそうだろうが、誰がこのような迷惑を引き起こしているのやら? その原因が解決しないと、いつまで経っても入れそうにないぞ。


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