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1023・食事と宿




 Side:ミク



 「金貨20枚なんてアンタ達が払う必要は無いよ。アタシが自分のお金を国庫に入れておくさ。それじゃ返せない程の物を貰ってるんだしね」


 「は? 何か頂いたのですか? そういった事は伝えていただかねば困ります」


 「まあまあ。それよりさっきなんで黙ったの? ダンジョンの奥深くにって話をしたら黙ったじゃない?」


 「ああ、それかい。ダンジョンの中は先に進めば進むほどトラップも厳しくて大変なんだよ。命を落とした者も多いし、更に言えば最奥まで行った者は誰も居ない。ウチのバカ息子のチームですら47階でギブアップしたくらいなんだよ」


 「チームを組んでダンジョンに行くのは分かるけど、<アーククラス>が居てその程度しか進めないの?」


 「行って帰ってくるのにどれほど苦労すると思ってるんだい。47階だって行って帰ってくるのに半月と掛かるんだよ? それでも早い方なんだしね。並の探索者じゃどうにもならないのがダンジョンだよ」


 「探索者になる者は多いですが、その殆どは夢で終わりますな。狩人を続けておった方が長生きできたというのに、探索者になってダンジョンに潜り死んでしまう。それも将来有望な者が死んでしまいますでな。陛下の御名も良し悪しなのです」


 「バカ息子がダンジョンに通う事で<アーククラス>に至ったからか、それを夢見てダンジョンに行く事が流行した事があったんだよ。その時代は有望な若者が無茶をしてね、多く亡くなってしまったのさ。過去に私も潜ってたから文句も言えなくてね」


 「そもそも陛下がダンジョンに通われたのは、王母様がダンジョンに潜る事で位階を上げてらしたからなのです。当時は公爵家のお転婆とか言われ、た……」


 「アタシの事はいいんだよ、アタシの事は」


 「ハッ!」


 「ダンジョンに潜った方が位階が上がりやすいのかい? それは事実としてあるって事でいいね?」


 「そうだね。ダンジョンに潜らない奴よりは、潜った奴の方が位階は上な事が多い。ただし外で魔物と戦っていても位階は上がるよ。必ずしも魔物と戦わなきゃいけない訳じゃないけどね。中には鉱夫なのに<メジャークラス>になったのも居たし」


 「戦いとは関係ないのか、それとも何がしかの危険を感じないと駄目なのか。それとも体を鍛え続ける必要があるのかねえ。ま、あたし達が位階を上げる必要は無いから、どうでもいいんだけどさ」


 「位階を上げなきゃいけないのはマハルぐらいだもんね。私達は特に気にする事は無いよ。それより子供達も待ってるし、そろそろ宿の部屋をとりに行こうか。あんまり待たせたら怒るよ?」


 「そうだね。そろそろ町に出て宿をとろうか。それじゃ私達は一旦外に出るよ。明日から本格的に仕事を始める事になると思うけど宜しく」


 「ああ。新しい門番の奴等にも通達を出しておくよ。下らない事をするんじゃないってね」



 メイドが入り口の扉を開けてくれたので、私達は外へと出て王城を後にした。門をさっさと通過して町中へと出た私達は、町の人に宿の場所を聞きつつ食堂の場所も聞いた。理由は昼食の場所は高い店だったかもしれないからだ。


 聞き込みを終えた結果、昼食の時の店はやっぱり高級店だった事が判明。私達はスラム近くにある安い宿に行き、そこで部屋をとる事にした。4人部屋を一泊で小銅貨40枚だったので、4人部屋2つを10日とって小銅貨800枚、つまり小銀貨8枚を支払う。


 これで10日分の宿は確保出来たので、とりあえず皆で夕食に行く事に。食堂も同じくスラムに近い所の大衆食堂にし、中へ入って注文を各自がする。私はお金をイリュに預け、フィルに離乳食を食べさせていく。


 御機嫌にアムアムしているフィルに食べさせていると、横に来てジッと見るベル。どうやらフィルが元気かどうかを確認しているらしい。フィルがいつもと変わらず元気な事を確認すると、いつもの自分の椅子に戻って行った。


 私も適当に注文し、そのままフィルに食べさせつつ料理が来るまで待つ。レティーとセリオに関しては、今日は一日周りを見ていたぐらいだった。門番の時はかなり怒っていたが、自分達が出なくても処理できると分かっていたので放置していたようだ。



 『そりゃね。あいつらムカツク奴等だったけど、僕達が出なくても勝てる以上は何ら問題は無いし、それならいちいち出なくていいかなって。出るとまた面倒臭い事になるかもしれないしさ』


 「そうですね。私達が出ると騒がれそうですし、それなら余計な揉め事にならないように黙っていた方がいいでしょう。始末しても余計な事になりそうでしたので」


 「………しゃべってる?」


 「そういえばベルは初めてだったわね。マルチスライムのレティーにドラゴンライノのセリオよ。ミクの仲間ね」


 「ぷるぷる、れてぃー。つの、せりお」


 「そうそう。レティーもセリオも喋れるから普通に会話しなさいね」


 「はい!」


 「あう!」


 「急にフィルが反応したわね。ベルの声が聞こえたからかしら? そろそろ食べ終わるみたいだから、声を上げるって不思議だけど」


 「まあ、それはいいじゃない。何にでも興味を持つ年頃だし、ベルもまだそうでしょう。簡単には落ち着かないわよ」



 料理が運ばれてきたので食べるも、ここの店で出てきたのは玄米と雑穀が混ざったものだった。どうやら高級店では白米だが、大衆食堂ではコレが基本らしい。とはいえこちらの方が体に良いので、味が食べられる物なら何の問題も無い。


 そして味に関しては別に不味い物ではなかった。私が注文したのもチャーハンみたいな物だったが、昼の物より味が薄いぐらいで十分食べられる。肉も相変わらずゴロゴロ入っていて、食べ応えは十分だ。


 後はよく分からない草が入ったサラダ。これも食べてみて解析するが、特に体に異常をきたす成分は含まれていない。子供達が食べても大丈夫だ。ただし苦いだろうけど。………うん、予想通り。一度手をつけてから二度と手をつけようとしないね、ベルは。


 勿体ないから噛んで飲み込んだみたいだけど、その後は二度と手をつけようとしていない。そもそも苦いうえに何も掛かってないからね。仕方なく、私はアイテムバッグの中に入れていたドレッシングを掛けてやり、そのうえでもう一度食べるように言う。


 ベルはサラダをジッと見つめた後、恐る恐る口にした。当然だけどドレッシングの味がすれば子供でも食べられる訳で、ベルはそれまでと一転してサラダを食べ始めた。味の濃いごまドレだから問題なく食べられるとは思ったよ。


 ニコニコしながら食べるベルを見つつ、ジッとこっちを見てくる他の皆。仕方なくごまドレとかポン酢とかマヨネーズを出し、好きに掛けさせる。あまり多くの種類を持ち歩いたりなんてしないからね、三種類ぐらいしか持っていない。


 それでも美味しくないサラダが美味しく食べられたから十分なんだろう。皆も笑顔だ。皆が掛け終わった後にすぐ仕舞ったけど、周りの連中に見られたかもしれない。とはいえ見られたとしても気にしないけどね。


 食事が終わり宿へと戻る。特に後ろをついてくる奴等も居ないので、どうやら人間種に見えるからというだけで狙ってくる奴等は居ないらしい。ただしスラムの連中がどうかは分からないけどね。


 宿に戻った私達はさっさと部屋に戻り【浄滅】を使うと、後はゆっくりとする事にした。ベッドにエアーマットを敷きベルとフィルを寝かせると、床にもエアーマットを敷いておく。こちらにはレティーとセリオを寝かせ、私は安楽椅子に座る。


 後は明日をゆっくり待つだけだ。


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