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1017・宮廷魔法士隊




 Side:マハル



 ボクとカルティクさんは現在、城の外にある区画へと歩いています。理由はそこに宮廷魔法士隊の建物があるからだそうですが、何だか面倒臭そうな肩書きです。仕方ないんでしょうけど、プライドが高い人達が多そうなイメージがあるんですよね。


 そんな人達を説得しなきゃいけない訳でして、まだ会う前ですけど既に暗雲が立ち込めている気がします。今すぐ回れ右して帰りたいですよ、本当。どうせ心の中で下らない事を考えている人達でしょうし。



 「ここが宮廷魔法士隊の方々がお使いの建物となります。魔法を使う訓練は練兵場を使われるのですが、ここでは主に魔法の研究をしていると聞いています。まあ、我々の方には研究内容などが大して伝わっておりませんので、何をしているかは知りませんが」


 「成る程。研究とかは色々と時間が掛かるし大変だと聞きますからね、それに機密性も高いんでしょうし、簡単には外に出て来ないのでしょう」


 「それより入りましょうか。ここで話していても始まらないわ」


 「え、ええ……。では行きましょう」



 近衛の人もあんまり近付きたくないのでしょうか? 何だか行きたくないオーラが出ている感じですが、これはどう考えるべきでしょう。嫌われているのか、それとも変人の巣窟なのか。研究者って変人なイメージがありますし、そういう人に関わりたくないなら分かりますし。


 それとも当初の想像通り、非常にプライドが高いとかでしょうか。そういうのも関わりたくないですし、何だか苦労をしそうです。


 建物に入ったボク達は、真っ直ぐ進んでいき宮廷魔法士長という人物が居る執務室へと向かう。何故かこの建物すっごく静かなんだけど、どういう事なんだろう? 幾ら研究とかをしているっていっても、生活音も無い気がする。


 もしかして殆ど誰も居ないんだろうか? それなら音がしないのも分かるけど……。今度は逆に居ない理由が分からない。


 コンコン


 近衛騎士がノックをすると中から返事があったので入室する。ちゃんと礼儀に則ったもので何の問題も無いものだ。中に入ったボク達は、書き物をしている人の前まで行くが、その人物は顔も上げようとはしない。



 「陛下の命により、異界から来られた方々を御案内いたしました」


 「御苦労。後はこちらでやるから君は帰っていい」


 「ハッ。失礼いたします」



 そう言って近衛騎士はそそくさと去っていった。顔も上げない人物がソファーに座るように言ってきたので座るが、それ以上は何も言わないしどうなってるんだろう。何だか面倒臭いなーって、うん?。


 ………机で書き物をしているのは人じゃないね、アレは幻影だ。となると本人は何処に居るんだろう。………って、入り口のすぐ近くに立ってる!?。



 「おや、気付かれたか。ふむふむ、多少は騙せたがその程度だな。まだまだ改良せねば潜入工作には使えん。これは失敗認定するしかないな」



 まさか幻影でボク達を騙そうとしていたなんて……! と思ったけど、カルティクさんは怒ってない。もしかして最初から気付いてたんだろうか?。



 「ん? ああ、私は入室前に気付いてたわよ。扉の入り口横に突っ立ってるヤツが居たから、何をしてるのかしらと思っていたもの。そしたら執務机の上で書き物をしている幻影が見えたから、そういう事かと納得したけどね」


 「最初から気付いてたなら教えて下さいよ」


 「自分で気付きなさい、自分で。隙を見せているから、あんな子供騙しに引っ掛かるのよ。初めて行く場所なんて何が用意されてるか分からないんだから、最大限の警戒をするのは当たり前でしょう。元侯爵家のお坊っちゃんは隙がありすぎるわね」


 「そんな殺伐とした世界で生きてきた事なんて、殆どの人はありませんよ。カルティクさんの場合は盗賊狩りでしょうけど」


 「それはともかくとして、初めてくる者で実験するのはちょうど良かったんでしょ。先入観も無いから、実験結果としても質の高いものになるしね」


 「うむ。若人よ、騙したのは悪かったが実験結果としては良かったのでな。協力してくれて助かる。私は宮廷魔法士を束ねる、ガルドヴァ・ドラスタウロ。一応は伯爵家の者となる。と言っても三男坊だがね」


 「まあ、気付かなかったボクが悪いので、先ほどの実験とやらは仕方ありません。ボクはマハルと言います、宜しくお願いします」


 「私はカルティクね」


 「うむ、宜しく。他の人員は居ないが、それは今日の予定がダンジョンだからだ。宮廷魔法士は週に一度ダンジョンに潜る日があってな、そこで実戦感覚を鈍らせないように修行に励んでおるのだよ。………というのが建前だ。実際には研究が進まないイライラを魔物にぶつけに行っておるだけだな」


 「ハッキリ言うんですね?」


 「隠しても仕方あるまい。それにイライラを溜め込まれるよりは遥かにマシなのだよ。周りにイライラを撒き散らされると余計に研究が進まなくなる可能性が高いのでね、そうなるよりはダンジョンで暴れてくれる方がマシなのだ」


 「まあ、言いたい事は分かりますけどね。それはともかくボク達は魔法の使い方とかそういうのを含めて協力をしに来たんですけど、話は通っていますか?」


 「ああ、陛下から来ているよ。ただ、私としては君達の実力がサッパリなので、まずはそこの確認からだね。流石に陛下の命とはいえ、実力の無い者の話を聞いても仕方がない。魔法を深く知悉ちしつしているなら、相応の実力もある筈だ」


 「ええ、それはそうでしょう。ところで、それを計るとしても何をすれば良いんですか?」


 「まずは練兵場へと行こうか。そこで私と模擬戦をしてもらう」


 「分かりました」


 「では、ついてきたまえ」



 そう言ってガルドヴァさんは先導して歩いていくので、ボクとカルティクさんはついていく。それよりも先程からカルティクさんは黙ったままなんだよね。特に何も口を出さないし、気配も殆ど無くしてる。もちろん捉えられない程じゃないけど。


 何かを見ているのか何かを確認しているのか、その辺りが全く分からないので何とも言えないなぁ。ボクが勝手に進めているし、もしかしたら後で採点されるんだろうか?。


 そんな事を考えていると、軍の練兵場らしき場所に着いた。他の騎士か軍人らしき人達も居る中でボク達の実力を見るのが始まるんだろうか?。



 「さて、これから君達には一人ずつ魔法を使ってこちらを攻めてもらう。使う魔法は何でもいい。私の防御を破れれば君達の勝ちだ。この模擬戦はよく行われているし、そこから始めてくれたまえ。私は所定の位置まで行く」



 そのまま待っていると、ガルドヴァさんは10メートルくらい離れた位置へと移動し、そこで立ち止まってこちらを向く。



 「それでは模擬戦を始めるぞ。まずは若人よ。君からだ」


 「分かりました」



 カルティクさんは離れ、ボクから5メートルくらい離れた左後ろで待機。これで準備が整ったと思う。そろそろ始まるかな?。



 「それでは、始め!!」



 ボクはお試しとして【風弾】と【土弾】を乱射する事にした。ガルドヴァさんは紫色の魔法の壁? みたいな物を出して守ったんだけど、ボクの魔法が二発当たった段階で壁は壊れ、その後は全弾喰らったので慌てて魔法を止める。


 周囲で見ていた騎士は「シーン」とするし、ボコボコになったガルドヴァさんは倒れてるしで、ボクはいったいどうしたら良いんだろうか?。


 さりげなくカルティクさんを見ると、腕組みをしたまま呆れた顔をしていた。


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