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1007・新しい星と神とチート




 Side:???



 目を開けると、真っ白な空間に自分が寝ているのが分かる。起き上がって周りを確認してみると、他にも自分と同じ人達が居て、既に起き上がっている人も居れば、まだ寝ている人も居た。


 そんな中、自分の体を確認してみると透けているような感じになっており、何ていうか死んだように感じる。おかしい、昨日は遅くまでクラブ活動をしていて、その後は帰って来て風呂入って飯食ってすぐに寝たような?。


 そうだそうだ。急に記憶が蘇ってきたが、ボケるには早すぎるぞ。それはともかく、なんなんだココは。何で真っ白な場所に多くの人と一緒に居るんだ、オレは?。


 どんどんと起きる人が増えていき、全員が起きたんじゃないかと思える時に大きな声がした。



 「全ての者が覚醒したようですね。貴方がたはこれより、自らに合った力を与えられ下界に下りる事になります。選ばれた貴方がたであれば、きっと強力なスキルを得られるでしょう。その力を持って下界に大いなる秩序を築くのです」



 声の方を見ると、そこにはとてつもない大きさの女性が居り、こちらを見下ろすように見ていた。まるで西遊記に登場する仏様みたいな大きさだ。人間と違い過ぎるほど巨大で、見た瞬間にアレが神様だと分かった。


 その神様がスキルだとか言っているんだが、コレってもしかして異世界転生ってヤツ? それとも異世界転移ってヤツかな? ………なんだろう。ちょっと嫌な予感がするのはオレだけか?。


 ラノベの中には駄目なパターンがあるって知り合いが言ってたし、これがどっちなのかサッパリ分からねえ。持たされたスキルが悪い事にも使えるヤツで、それを悪い事に使って速攻で死ぬっていうパターンがあるらしい。


 オレが貰うスキルっていうのがどういうものか分からないが、とりあえず悪い事に使うのは止めよう。どっちみち下界なんていう言い方してるって事は、そこで生きている人達が居るって事だろ?。


 碌に戦った事の無いオレなんかじゃモンスターとなんて戦えないし、悪い事にスキルを使おうものならすぐに捕まるだろう。最悪は問答無用で殺されるかもしれない。流石に異世界に行けるっていっても、危険な事は出来ればしたくないしな。


 程々に戦って、後はゆっくり暮らせばいいや。適当に金を稼げば、後は好きなように生きていける筈だ。上を見ずに生きていこう。魔王なんかと戦わされるなんて絶対に嫌だし、命が幾つあっても足りないからな。オレには無理無理。


 そう思ってたら、目の前にウィンドウっぽいのが現れた。



 ―――――――――――――――


 <ハルキ・ゴトウ>


 種族:人間族

 年齢:17

 性別:男

 スキル:加速


 ―――――――――――――――



 (【加速】……。これはアレか、オレが陸上部だからなのか? 確かに足が速くなってほしいとは思ってたけど、コレって別にチートとやらじゃないよな。……いや、そうでもないのか? 逃げ足が速ければ生き残る確率が上がるし、落胆するには早い気がするぞ?)



 オレが【加速】っていうスキルをどう使うか考えていると、他の連中もスキルを貰ったのか、中には大喜びのヤツも居た。どうやらそいつはチートスキルを貰ったんだろう。ああいうヤツには関わりたくないな。強い力で何してくるか分からない。


 中には魅了するスキルとかがあって、メチャクチャな事をしたりするらしいからなぁ。そういうヤツには絶対に近付かないでおこうっと。特に、気付いたら魅了されてるって事の無いようにしないと。後は周りを信用しない事だな。


 ラノベ好きの奴等の<もしも異世界に行ったら>とかいうバカ話を聞いていて良かった。もし聞いてなかったら、何の判断も出来ないところだったぜ。まったく。



 「貴方達が得たスキルは、貴方達自身が心の中で欲していたものです。それを持って下界に大いなる秩序を築きなさい。さあ、行くのです。頼みましたよ」



 神様がそう言うと、周りの人達がゆっくりと消えていく。どうやら下界という異世界に送られているらしい。説明とか殆ど無いけど、大いなる秩序って何だ? どうやったら築けるんだ? その辺りがサッパリ分からねえんだが、抽象的すぎないか?。


 そんな事を思っていたらオレの番が来たのか、徐々に体が薄くなってきた。これからどうなるのか不安で仕方がないが、ちょっとドキドキもしてる。全く違う新しい人生が始まるんだし、期待してもいいよな?。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ミク



 「ふふふ、ははは、あはははははははは! ちょーっと力を与えるとすぐに調子に乗り、そして愚かにも下界を掻き乱す。でも、そうしてくれないと楽しくないのよねえ、魔族の連中も何故か纏まってくれちゃってるしさぁ。人間どもと対立してるのはいいけど、もうちょっと派手に争いなさいよねー。いちいち神の手をわずらわせるんじゃないわよ」



 どうやら召喚した奴等に能力を付与し終わったらしい。コイツは創造神らしいので、そういう事が可能なようだ。まあ、私が喰らえば終わるんだけどね。


 阿呆な女神が隙を見せている間に「バクンッ!」と喰うと、愚痴を言っていた神が一瞬で消えた。当然私が貪り喰っているからだが、その私の近くに別の神が現れた。コイツは敵か?。



 「私は貴方の敵ではありません。私達のような多くの神は、先ほど貴方が滅ぼした神によって力を奪われていたのです。召喚した者達に力を与える為、私達の力を利用していました」


 「という事は、貴女達は力を奪われたまま? つまり、先ほどの召喚者から力を奪い返すのが私の仕事?」


 「いえ、そうではありません。私達はなるべく下界に干渉しないという形をとっていますから。それに、放っておいても寿命で死ねば、力は私達に返ってきますので問題はありません。貴方には下界におもむいて、悪しき者達を討ち倒してほしいのです」


 「それなら今までと変わらないからいいよ。纏めて全部を強制的に善人にすれば済むし、その権能は使えるしね」


 「申し訳ありませんが、無理矢理は止めて下さい。貴方がたの命を狙った者を倒したり善人にするなら構いませんが、何もしていない者を強制的に善人にしたり殺す事は認められません。それは下界の者達がするべき事です」


 「あー………つまり私は外様だから、勝手な事をするなと?」


 「そこまでは言いませんが、貴方が全てを解決してしまうと下界の者達の反省や改善に繋がりません。それでは困るのです」


 「ああ、そういう事か。それなら仕方ないね。それで、私は具体的に何をすればいいの?」


 「貴方には起こるであろう争いでの被害を、なるべく小さく食い止めてもらいたいのです。下界の大陸では中央で二つに分かれており、そこには竜王山脈と呼ばれる高い山々がそびえ立ち、大陸の中央部には平地が一部にしかありません。そこに竜人族が住む国があります」


 「ふんふん、それで?」


 「その竜人族の国こそが、西の人間種と東の魔族の争いを止めている国なのです。両者が激突する際に必ず巻き込まれるのが竜人族の国ですので、激突する度に両者から敵扱いされて攻められるのですよ」


 「ぶつかる所は別にある? それとも竜人族の国の国土でぶつかる?」


 「中央部の平地は少ないと言っても、竜人族の国以上の広さはあります。ただ、人間種も魔族も味方をしない竜人族を敵として攻めるのです。その度に国土が荒らされ、罪無き者が奴隷にされたり殺されたリしてしまい……」


 「碌な連中じゃないね。ま、とりあえず分かった。今のところは竜人族とやらを助ければいい訳だ」


 「ええ、お願いします。竜神の巫女に神託を下ろせば、貴方がたを受け入れるでしょう。こちらが竜人族の国の空間座標です。では、宜しくお願いします。お願いする事が新たに出来たら、巫女を通して情報をお渡しする事になるでしょう」


 「了解」



 それだけを言い、私は示された空間座標へ転移した。今回はちょっと面倒臭そうだと思いながら。


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