1006・大陸最後のダンジョンマスターと神
Side:ミク
私達はアロトム王国を終わらせ、その後は一気に【転移】で東ガウトレア第3東町へ。そして国境を越えてメヌシール王国へと進んだ。町が5つしかない国だったので簡単に終わり、王都にあったダンジョンにてダンジョンマスターを善人化し、更に神を喰らった。
聞いていた通り植物の神であり、こちらの権能も手に入れる事が出来た。これで6つ目の権能だ。<善><悪><呪い><魔><土><植物>。それなりに神の権能も充実してきたが、それよりも大幅に神力が増えている事の方が重要だったりする。
この星で多くの神を喰えているので、そこを考えると悪くない星なのだが、鬱陶しい戯言をホザくヤツも多く面倒臭い。そういう意味では微妙という評価にならざるを得ない星だ。
評価は横に置いておくとして、私達はこの大陸最後の国であるショーネス連合へと入った。ここはヨールセイ地方と南コドルフスを持つ国なのだが、南コドルフスは他の大陸への船が出ている港町を持っている。
ヨールセイ地方自体は帝国などへの防波堤みたいなもので、元々ヨールセイ地方を持っている家と、南コドルフスを持っていた家が一つになったのがショーネス連合となる。つまり一国の中に二つの有力な家がある状態だ。
当然、防波堤にされている側は納得などしないだろう。だが、南コドルフスという場所は守るに優秀で攻められ難い。そもそもコドルフス山脈と呼ばれる山があり、北コドルフスと呼ばれている山脈の北には人が住んでなど居ない。つまり、地名として南コドルフスと呼ばれているだけ。
港町の交易の利権を持っており、十分な傭兵組織を金で雇っているのが、南コドルフスのシャーマ家。そしてそれに歯噛みしつつ従っているのが、ヨールセイ地方を持つヨールセイ家だ。
ちなみにヨールセイ家があるからヨールセイ地方なのではなく、ヨールセイ地方を手にした者がヨールセイ家を名乗っただけだった。紛らわしいというか、劣等感でもあるのかと疑うよ。地方の名前を名乗るなんてさ。
私達はそんなヨールセイ地方を善人化しつつさっさと抜け、南コドルフスにやってきている。実はここのダンジョンマスターこそが、<ゴート>のトップだという事は判明済み。実はメヌシールのダンジョンマスターがその事を知ってたんだよね。
だからこそ私達は最後の追い込みに掛かっている。ここのダンジョンマスターを善人化したら、この大陸も終わりだからね。だからこそ一気に駆け抜けて終わらせていき、ついに中央町を残すのみとなった。
わざわざ先に港町に行ったのは、単に美味しい物をベルに食べさせようと思っただけでしかない。ベルはそれなりに喜んでたけど、海の食材には見た目がアレなのもあるからね。見た目が悪いのは怖がっていたよ。
「今日の夜に善人化をして終了でしょ? 後は他の大陸へと船で渡るだけなんだけど、果たして子供達が耐えられるのかしらね? できれば揺れが少ない方が良いんだけど……」
「その辺りはどうする事も出来ないでしょ。この時代の船なんだし、蒸気船だったら良い方だと思うしかないわ。それでも風任せの船より速いんだから良いじゃない」
「そうね。それに交易があるって事は、きっとそこまで遠くはないでしょ。近いかどうかまでは知らないけど、船員が渡って来れたり、こっちから行く人が居るぐらいなんだしね」
「まあ、大丈夫だと思いましょうか。そのうち着くでしょうし、文句を言っても始まらないわね。それにしても、この大陸の大半の土地ってウェルキスカとダスガンドが持ってるのよ。今さらなんだけど」
「本当に今さらね。どれがどうかした?」
「ダスガンドは偽皇帝だったから別として、ウェルキスカはどうしてあそこまで統一に興味が無いのかしら。ちょっと不思議なくらい二の足を踏んでない? 気持ちは分からないでもないけど、それにしても欲が無さ過ぎるわよね?」
「損得を考えて損だと分かれば、絶対にそんな事は考えないでしょうけど、確かに思っている以上に統一する気は無さそうだったかな? ただ、それで問題ないんだから、放っておけばいいでしょう。理由なんて考えても無駄よ、きっと」
「まあねえ。案外と頓珍漢な発想で嫌がっているのかもしれないし、乱を起こす気も無いなら放っておくべきじゃない? もしくは闇の神が入れ知恵してたりするのかもね。あそこの国だけ神がまともだったし」
「そういえばそうね。ダンジョンマスターは善人化したけど、神はまともだった筈。とはいえ、それと国は関係ないけど」
夜までまだ時間があるので雑談などをしつつ、ベルとカードゲームで遊んでいる。私はフィルを抱いているので参加していないが、ベルは嬉しそうにしているのでイリュも笑顔だ。それを見て微妙な表情をしているカルティク。
あんな感じじゃなかったんでしょうね、今までは。にも関わらず子育てがクリーンヒットしたみたいで、予想以上にアレな感じになったからかな? どうにも上手く消化できないみたいだ。
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Side:ファーダ
夜になったので最後の追い込みだ。ここを終わらせれば、この大陸は完全に終了する。地上部分はノノに任せ、俺はダンジョンに入ってダンジョンマスターの居るコアルームを目指す。
下へとどんどん下って行き、豪華な扉前。俺は人間の姿になって扉を開く。最初から身構えていたのが良かったのか、中からいきなり強烈な攻撃が飛んできた。俺は慌てて回避すると共に、部屋の中を確認する。
するとこちらに背を向けている人間種と、こちらに攻撃を放ってきたドス黒い青色の人型が居た。アレがここのダンジョンマスターを任命した神みたいだが、いったいどういう事だ?。
「お前が散々に同胞を滅ぼしてきた者か。何者かは知らんが容赦はせんぞ! 今すぐ砕け散れ!!」
俺に対して何かをやってきたようだが、何をやっているのかよく分からん。なので観察してみるが、神力を使っている事しか分からんぞ。しかもダンジョンマスターは常に背中を向けているだけだ。いったいどうなっている?。
「どういう事だ!? 何故こちらの力が効いていない! お前はいったい何者だ!!」
「お前を滅ぼす者だ」
そう言って現れたのは、いつぞやの空間の神だった。何故に現れたのかは知らんが、今が神核を辿るチャンスか。
「お前は空間のか。何故いきなり来た。いったい何の用だ!」
「お前が下界を混乱に陥れようとしていた同胞の最後だからだ。だからこそ現れ、貴様の逃走を阻止している。空間を司る我からは逃げられんぞ!!」
「チィッ! 余計な事をしにしゃしゃり出てきおって! こうなれ」
俺は神核を辿れたので即座に喰らい、全てを貪った。首から上もいちいち変えていないが、咀嚼して判明した事がある。先程の神は精神を司る神だ。
「何故、精神を司る神がこんな事を?」
「そちらも知ったか。どうやら下界の者どもがあまりに汚く、愛想が完全に尽きてしまったらしい。なので滅ぼし、一からやり直そうとしていたみたいだ。愚かな事よ、既に種としてある以上は根絶など無理であろうに」
「それに下界に手を出せんなら、余計に無理だろう。この大陸以外にも人間種は居るのだからな」
「まったくだ。目が曇ると神でもああなってしまうらしい。そこのダンジョマスターは善人にしておいてくれ。そうすれば、これ以降は悪さも出来まい。元々精神を破壊され、唯の操り人形にされたみたいなのだ」
そう言って空間の神は消えていった。言うだけ言って去っていくとは、と思いつつも善人化して去る。精神の神を喰った御蔭か、人間種の心が細かく分かるようになったな。それが役に立つかどうかは知らんが。
後は洗脳とかその他も可能になったが、それをする意味は何も……!?。
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Side:本体
「どういう事だ? 急に私達を呼び戻すとは。それどころかベルとフィルまで連れてくるとはどうなっている? まだ見られていないから良いものの、見られていたら面倒な事になるところだったぞ」
「見られたとて構うまい。それよりも、お前に行ってもらうところが出来た。阿呆な者が相手の星の事を無視し、無理矢理に召喚しおったのだ。何度も許可を出していたという、愚か者たる銀河に連なる者は消し飛ばしたが、お前はこれから召喚された風にして飛ばす。さっさとゴミを喰らった後に、そこの星の神に会うて話せ」
「次の星では惑星の神の下っ端として働けと?」
「そういう事もある。好き勝手に喰らって済む事ばかりではない故にな。それとお前の知り合いどもも連れて行け。次の星は思っている以上にメチャクチャな星だ。お前が読んでいる書物のような面倒臭い星だと思っておけばよい」
「成る程。妙なスキルなどがある星か。理解した」
「では飛ばす。向こうでやるべき事をしっかりとやれ」
私はいつでもしっかりとゴミ掃除をしているがな? アレでは足りんのだろうか?。
ここまでお読みいただきありがとうございます。第4部は西部劇みたいな星を描いてみたかったのですが、途中から何かコレ違うなと思い、早々に西部劇風を諦めました。私の力では上手く書けませんでしたので。
そもそもやる事が変わらないんだから、無理に西部劇風の星にする必要も無かった気がしています。当初の予定通りに権能を増やす事と、子供を登場させるという目的は果たしましたが。
次の星である第5部は、よくあるラノベのような星。つまり色々なスキル保持者が居て、主人公が成り上がっていく的な世界観です。あくまでも世界観がそれだけで、主人公が成り上がったりする予定はありません。今のところは。
逆に神様から頼み事をされて東奔西走する形になると思います。今までと違って強いキャラが沢山出てくると思いますが、それより強いのが主人公ですので……まあ、何とかなるでしょう。きっと。
いつもそうですが、リアクションを下さる事や、ポイントを下さる事が励みとなっております。こんな作品ですが毎日読んでくださる方はありがとうございます。主人公がピンチになる事など無いような作品なんですけどね。
処女作にて最初に考えたのは、自分なりの時代劇みたいなファンタジーだったのです。将軍様と水戸の御老公と仕事人を足して3で割ったような感じを予定していたのですが、下手な者が上手く書ける筈も無く。
この作品も、いわばそういう感じで進ませています。処女作が進まなくなった事に関するリベンジみたいなものなのですが、やっぱり上手くいっていませんね。自分でも分かっているのですが、どうにも……。
最後は愚痴になってしまいましたが、これからも拙作を宜しくお願いいたします。




