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1000・アロトム王国へ




 Side:アレッサ



 西部劇の星に戻ってきた次の日。わたし達は第2南町を出て進んで行く。東ガウトレアに関しては第2南町、第1南町、第1南西町、第1西町、第2西町にしか行っていない。つまり中央と東側と北側は全く行っていないという事になる。


 だからこそわたし達は色々と移動し、それぞれの場所に寄って確実に善人化の前の確認をしていく。立ち寄らないと妙な連中が居ても困るし、そいつらを調べる為にも立ち寄る必要がある。先に適当に善人化すると情報の繋がりが切れたり、意図しない物事が起きる可能性が生まれてしまう。


 善人になった後の動きが予想できない事もあり、わたし達が到着するまでは勝手な善人化はしない。ただし、村は除くってところね。実際、村に広域盗賊団が居る事は殆ど無いのよ。<荒野の鷹>は居たそうだけど……。


 まさか薬物中毒者が村を襲って、その村で薬物原料をせっせと刈り取ってるとは思わないわよねえ。流石に聞いた時は唖然としたけど、そんな事は滅多に無い事でしかないわ。それより残りの広域盗賊団の本部を探し出すのが先よ。それとダンジョンマスター。


 神様は横に置いておくにしても、ダンジョンマスターが悪さをしている可能性が高く、それらを善人にしておかないと困る事にもなるわ。連中は不老になっていて寿命が無いから、放っておくと幾らでも悪事を始める。だから確実に善人にしておかなければいけない連中なのよね。


 そんな事を再確認しつつ、わたし達は10日ほど掛けて東ガウトレアを回っていく。その御蔭で善人化は完了したので、次は北に行ってアロトム王国に行く事にした。


 メルシーヌ王国はウェルキスカ王国の東にあるヨッテルフィ地方を持つ小国で、帝国の東にあるヨールセイ地方と南コドルフスを持つショーネス連合も小さい国だ。しかし北ガウトレアとマルアエイ地方を持つアロトム王国は大きいのよ、国土が。


 やはり大きな国から順番に終わらせていく必要がある。それを確認したわたし達は中央ガウトレアの第2北町付近に【転移】し、そこからバイクに乗って北へと進む。程なくして北ガウトレアに入って進んだんだけど、最初の第2南町で既に雰囲気が暗い。何かあったのかしら?。


 わたし達は宿をとった後に町中をフラフラし、道行く人が居たら話し掛けてみる。口が重い感じだったけどお金の力は偉大で、キョロキョロしながらも話してくれた。



 「実はまたモンスターの被害が出たんだよ。君達はウェルキスカ王国から来たらしいから知らないだろうけど、古くから北ガウトレアはモンスターの強い地域なんだ。何年かに一度モンスターが活性化する年があってね、それが今年だったのさ」


 「成る程ね、それで町中の人が暗い雰囲気なのか。その割には話す前にキョロキョロしてたけど、それは何が理由なの?」



 そうわたしが問うと、再びオッサンはキョロキョロし出し、その後に重い口を開いた。何というか、口は重いけど誰かに話して楽になりたいって感じね。



 「君達は登録証を下げてるからハンターなんだろうけど、今この国じゃハンターに強引に依頼する事が増えてるんだよ。それも国が強制する形でね。理由はさっきも言った通り、今年がモンスターの活性化の年だからさ」


 「ハンターに強制? それならそれでキョロキョロする必要なんて何処にも無いじゃない。何で……って、もしかして先に教えたというだけで睨まれるの?」


 「そうなんだよ。知り合いのハンターに国を出た方が良いって言った友人は5日ぐらい勾留されて、延々と何故そんな事をしたのかと聞かれたらしい。まあ、嫌がらせだね」


 「この国にだってハンターは居るだろうし、ハンターだって人数を掛ければ安全に狩れるんじゃないの? 魔物が活性化するって言ったところで、人海戦術で数を掛ければ減らせるでしょうに」


 「それは平地だけだよ。問題は森なんだってさ。森は簡単じゃないし視界も悪い、それに熊の魔物は銃弾を何発も受けても動き続けるそうだよ。高値のショットガンが要るし、接近して戦う必要があるんだってさ。つまり死人が凄く出やすいんだ」


 「高値のショットガン?」


 「高値のショットガンっていうのは、我が国の銃火器メーカー<ロール&オディオ>が新しく生み出したショットガンだよ。画期的な銃でね、なんと5発も先に込めておけるんだってさ。二ヶ月ほど前に発売されたばかりだけど、飛ぶように売れているそうだよ」


 「もしかして、こういう風にガシャコンガシャコンするショットガン?」


 「いや、私は詳しい事は知らないんだけど、何でもすぐに撃てるっていう画期的なショットガン「そこで何をしている!」らしいよ」



 わたし達が話を聞いていると憲兵隊のような連中がやってきた。どうやらハンターに何か吹き込んでいると思ったのか、あからさまに敵意を向けているわね。わたし達に対してじゃないところがまた……。



 「いったい何をコソコソと話している!」


 「コソコソなんて話してないよ。この国で新しく作られて売り出されたっていうショットガンの話を聞いていただけ。私達もハンターである以上、新しい銃には興味があるからね」


 「………そうか、それならいいがな」



 それだけを言って、憲兵隊の3人はジロジロ見た後で去っていった。話をしてくれていたオッサンは「ホッ」と息を吐き、その後は頭を下げた後で足早に離れていく。せっかく話を聞いていたのに邪魔してくれたわねえ。


 仕方ないなと思いつつ、まずは聞いたショットガンを確認する為に武具屋へ。しかし、この町の武具屋には新型のショットガンは売っていなかった。どうやら<ロール&オディオ>の本店でのみ取り扱ってるらしい。


 物凄く態度の悪い親父が、非常に嫌味ったらしい感じで教えてくれたわ。おそらく何度も言われ続けて嫌になってるんでしょうね。それでも知らないものは知らないんだから仕方ないでしょうに。


 そう思いつつ店を出たわたし達は、適当に冷やかす気にもなれず宿へと戻る。そのまま宿の部屋で過ごし、食堂で夕食を食べた後は、さっさと部屋に戻って休んだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 Side:ノノ



 ミクは子供達の面倒を見なければいけないので部屋に居るが、我とファーダには関係ないので善人化を行っている。それはいいのだが、町を離れて村で善人化をしていると、その村の近くの森で盗賊団を発見した。


 この国の森は危険ではなかったのかと思いつつ、しかし盗賊団の数は40人ほどなので、人数を掛ければ安全は担保できるかと思い直す。何故か盗賊が役に立っているという妙な状況ではあるが、だからといって悪人を見逃す事は無い。


 だからこそ全て喰らったのだが、盗賊団の親玉が見た事も無いショットガンを持っていた。おそらくはコレが新型なのだろうが、この盗賊どもは何処で手に入れたのやら。もしかしたらハンターを襲って手に入れたのかもしれん。


 他にはリボルバーしかないのだから、この新型ショットガンだけが不自然に浮いているのだ。弾も殆どないので、明らかに奪ったとしか思えないな。これも戦利品として持ち帰ろうか、強制的に依頼を請けさせられた時に役立つだろうしな。


 しかしモンスターが活性化しているようには思えんのだが、ここは国境に近い場所だからか? もしくは北に行けば変わるのだろうか? 少なくともこの辺りは活性化しているようには思えん。


 とにかく活性化について情報を集めねばならんし、本当にハンターが強制依頼を請けさせられるのかも調べた方が良いか。だが、その情報収集は表でするしかないからな。いきなりミク達に強制されるかもしれん。


 その時はその時として諦めるしかないであろう。夜中に魅了の香りを利用して聞く訳にもいかんのだからな。盗賊は既に喰ってしまったので聞くに聞けんし……。残しておけば良かったか。


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