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田舎貴族の学園無双~辺境伯子息は常識知らず~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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裏の道を知る

よくわからないが、少し元気が出たみたいだ。


そのまま、人に道を聞きつつ進んでいくと……少し、雰囲気が変わってくる。


ひと気がなくなり、どんどんと寂れた風景になっていく。


人間嫌いのドワーフらしく、今は使われていない旧市街地で暮らしているらしい。


「ちょっと怖いわね……話に聞いたら、私達みたいのはいかない方がいいって」


「まあ、裏路地っぽいし。女の子が一人でくるような場所じゃないかな」


「聞いたら、人族には武器や防具を売らないって言ってたわ」


「確か、気に入った人にしか作らない職人気質な種族って話だね」


なにせ、王族の依頼も普通に断るとか。

国にいる貴重なドワーフなので、あんまり強くも言えないらしい。

何より、彼らは仲間意識が強い……もし強要するものなら、戦争になるとか。

すると、カラカラと何かが崩れる音がする。


「きゃ!?」


「……大丈夫?」


「な、何の音?」


「た、ただ石が落ちただけだよ」


いかん、俺の方が動揺しています。

何故なら……思いきり腕を組まれているから。

本人は気づいてないのか、俺の腕にぎゅっとしがみついていた。


「そ、そうなのね……っ〜!? ごめんなさい!」


「い、いや、平気だよ。あぁー、このまま掴まってる?」


「……いいの?」


「うん、むしろ掴まってて。ちょっと、良くない空気感するから」


あちこちから邪な視線を感じる。

多分、良くない類の人たちの……こういう場所には居つきやすいよね。

セリスみたいな可愛い女の子は、格好の餌食に見えるだろう。


「そ、そうなの?」


「うん、今も見られてるし。ただ、こういう場所の方がある意味で安心だけど。おそらく統率が取れてるし、危機管理能力は低くないはず」


「どうするの? ここから逃げる?」


「いや、その必要はないよ……右斜めの建物から覗いてるボスの人! ここを通りたいので許可を!」


すると、三階建の建物の窓から男が降ってくる。

そして、ふわりと着地をした……相当の風魔法の使い手だ。

引き締まった身体と、強者のみが纏えるオーラを放っていた。

同時に、建物の中からぞろぞろと人が出てくる。

その中には、小さな子供達までいた。


「小僧……どうして、俺がボスだとわかった?」


「貴方が一番強いからです。それに俺が声をかけた時、他の人達も一斉に視線を向けたので」


「ちっ、あの一瞬で判断するとは怖えガキだ。こんなところに来るなと追い返そうと思ったが……問題なさそうだな」


「はい、彼女一人を守るくらいはできます——貴方達を相手にしても」


意識的に相手を威圧する。

ライカさんの教えで、こういう輩には戦わずして勝てと言われた。

相手の力量がわかれば、無駄な戦いはしないからと。


「ははっ! おもしれぇガキ! 偉そうなことを言ってるが、俺達を見下してる訳でもねえ……珍しいタイプの貴族か」


「それはどうもです。それで、通してくれます?」


「ああ、連れのお嬢さんも俺達を見下す視線はないしな。何より、こっちもただじゃ済まなそうだ。おい! こいつはお前ら敵う相手じゃねえ! というわけで手を出すな!」


その一言で、男達が引いていく。

観察をしてたから思った通り、《《わかってくれるタイプの人だったらしい》》。

まあ、もし違っても……やるだけだし。


「ありがとうございます。無駄な戦いはしたくないので」


「はっ、それには同感だ。みたところ、貴族のガキだが……名前は?」


「ユウマ-バルムンクと言います」


「ユウマか……覚えたぜ。次からは、ここを自由に通っていい」


「それは助かります。それでは、俺達はこれで」


セリスの腰を抱いて、さっさと歩き出す。

あの人が統率を取っているとはいえ、危険な場所には違いない。

そして、裏路地を抜けた先に……一軒の建物が目に入る。


「おっ、あれがドワーフの店かな」


「あ、あの、腰に……手が」


「ご、ごめん! もう平気だからいいよね!」


咄嗟に手を離して距離を取る。


「う、ううん……ありがと。その、ああいうの慣れてるの?」


「まあ、うちの領地にもいたしね。暴動が起きないように、ボスがいたりするんだ」


「そうなのね……多分、スラム街ってやつよね? まさか、王都にまであるなんて」


「いや、普通にセリスの領地にもあるよ?」


「……えっ?」


セリスの目が見開き、驚いた表情になる。

まるで、そんなはずがないと言うように。

しまった、セリスはそういうことを教わってこなかったらしい。


「あちゃー、ごめん忘れて」


「ど、どういうこと!? 知ってるなら教えて!」


「うーんと……これは別にセリスのところに限った話じゃないよ。何処の領地でもある話だから」


「で、でも、お父様もお母様も善政を敷いているわ」


「確かに二人は立派な貴族だと思う。それでも、取りこぼしっていうのは起きるんだ。これは、ある意味で仕方のないことだって教わった」


長生きしてるエリスからも、大陸中を旅してきたライカさんからも聞いていた。

人が集まり生きている限り、それはなくなることはないと。


「そうなのね……私、何も知らなかったわ」


「別に彼らだって、好き好んで居るわけじゃないし」


「それぞれに事情があるってことよね……どうすれば良くなるの?」


「そりゃ、上に立つ人が善政を敷くことが大前提として……それを補佐する人が、目を向けてあげたら良いのかなって思う。上に居ると、下は見えないし。もしくは、立場や力を使って個人でやっていくとか」


「確かに、私は知らなかったわ……そういう道もあるのね」


セリスはしきりに頷き、何かに納得したようだった。


その目には力があり、何かを感じたみたい。











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