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田舎貴族の学園無双~辺境伯子息は常識知らず~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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出発

……イテテ、身体中がきしむ。


痛む身体に鞭を打ち、どうにか起き上がる。


「ったく、これも昨日の鍛錬のせいだ。あの二人と同時に稽古とか死んじゃうし」


「生きてるから良いのでは?」


「わぁ!? あ、相変わらず気配もなく入ってこないでよ」


すでに部屋の中には、エリスがいてリュックに荷物を詰めていた。


「これくらい気づかないとはまだまだですね。それでは、暗殺者に狙われた時に対応できませんよ?」


「いやいや、そもそも襲われないから」


「これからは襲われる可能性もあるでしょう。あっちでは、そういったこともありますし」


「……へっ? そうなの? 王都ってそんなに危ないの?」


暗殺が日常的に行われてるとか怖いんですけど。

……どうしよう、行くの嫌になってきたな。


「いえ、普通にしてれば平気ですよ」


「あっ、そうなんだ? じゃあ、俺は平気だね」


「……そうですね」


「んじゃ、ご飯を食べていくとしますか」


気持ちを切り替え、俺は食堂に向かう。

そして、昨日と同じように父上と一緒に食事をとる。

ちなみに妹や弟、継母は違う場所で食べている。

仲が悪いわけではなく、二人が萎縮して食事が進まないからだ。


「さて、食事が済んだら出発してもらう……お前には護衛はいらんか」


「いや、一応跡取り息子なんだけど? まあ……正直、この辺りに出てくる魔物や魔獣なら問題ないかな」


「そんなやわな鍛え方はしとらんからな。むしろ、お前は護衛に回ってくれ」


「はい? どういうこと?」


「下にあるミルディン領があるじゃろ?」


ミルディン領……確か、ミルディン侯爵家が治める領地だったはず。

うちとは良好で、俺も小さい頃はよく遊びに連れてってもらった。

流石に、ここ数年はいってないけど。


「うん、あるね」


「そこの子供も、同じく王都に通うことになったらしい」


「へぇ、そうなんだ? 確かに同じ年くらいの男の子と遊んだ記憶があるかな」


十歳くらいまでは遊んでたかな?

今思うと、あれが幼馴染ってやつかも。


「……う、うむ、そうであろう。その子の護衛も兼ねていくと良い」


「ん? 騎士の護衛とかは?」


「それもいるが、その子も同い年のお主がいた方が安心できると」


「ああ、そういうこと。ええ、わかりました。俺自身も心細いですし、そうすることにします」


「よし、決まりじゃな。では、後のことは任せる。お主の好きなようにやると良い……英雄バルムンク家の血を引く者として、己の行いに責任と誇りを持って」


「……はっ、かしこまりました。その名に恥じないように、王都にて研鑽を積んで参ります」


流石に、その言葉には真面目に返す。

バルムンク家は国境を越えてくる敵国を退けた英雄にして、ドラゴン殺しの英雄でもある。

それを先祖代々から積み上げてきた。

俺も、その名に恥じないようにしないとね。



準備を済ませたら、門の前で見送られる。


あんまり大げさなのは嫌なので、妹と弟、師匠の二人だけにしてもらった。


その他の人達には、すでに別れは済んでいる。


「お兄様……い、いってらっしゃいませ」


「ああ、行ってくる。泣かなくてえらいな?」


「わたしが泣くと、お兄様が出ていけないって……」


「そうかそうか、良い子だ。長期休暇になったら帰ってくるから待ってなさい」


「うんっ! まってりゅ!」


最後にマリアの頭を撫で、頼りになる弟に向き合う。


「ルーク、みんなのことは頼んだよ?」


「はい兄上! 僕がいるので大丈夫です!」


「頼りになる弟を持って助かるよ。師匠達も、みんなのことを頼みます」


「ええ、お任せください。王都の連中にはお気をつけて」


「はん、しっかりやってこい。私の名前に恥をかかせたら承知しねぇ」


「はは……わかりました。それでは行って来ます!」


いつまでも話していたくなっちゃうので、区切りをつけて駆け出す。

後ろからマリアとルークの声を背にして、街道を走っていく。


「なんだかんだで領地を出るのは久々だね。師匠達との修行とか、他国との小競り合いもあったし。ミルディン領に行くのも五年ぶりくらいかな?」


それまではよく遊びに行っていたけど、何故かいきなり行けなくなってしまった。

俺が何かしたのかなと思ったけど……父上には、なんか曖昧な顔をされたのを覚えている。


「まあ、実際に会った時に聞けば良いか」


足に風をまとい、馬を超える速さで進んでいく。


……さてさて、どんなことが待ってるか楽しみだ。


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