第二王子の焦り
やはり……少し強引だっただろうか?
今度、そちらのご両親に挨拶をしたいとお願いをしたが……もちろん、娘さんを婚約者にと頼むために。
なにせ、俺には時間が残されていない。
何故なら、兄上は今年には卒業してしまう。
そして、王太子を決めるのは俺が卒業後とはいえ、先に卒業した兄上は実務について経験や人脈を広げてしまうだろう。
「俺が卒業する頃には、既に勝敗が決まってる可能性が高い。そうなると、俺は何もできずに負けてしまう……ただ、後に生まれたというだけで」
母方の家柄は同じ侯爵家で、力関係は拮抗している。
魔法や剣の腕は、俺の方が圧倒的に上だ。
乗馬に勉学も、俺の方が優れているはず。
「……なのに、兄上の方が有利になる。しかし、兄上が望んでいるならまだいい。だが、あの気弱な兄上が望んでいるようには見えない。何より、あれでは傀儡になる恐れがある」
兄上の周りには人が集まり、その人の意見ばかりを聞いてしまっている。
そうなったら、国が傾いてしまう……国王とは強くあらねばならない。
ただでさえ、我が国は三国から囲まれているというのに。
「獣人の国だって、いつ牙を剥くかわかったものではない」
父上も何を考えて獣人を学校に入れたり、平民を入れたりしたんだが。
まあ、才能ある平民ならまだ話はわかる。
しかし、俺は母上から散々言われてきた……獣人は野蛮な生き物だと。
現に言葉遣いは荒いし、粗暴な雰囲気を感じる。
「だが、ユウマ殿は普通に接していたな」
あやつは……なんというか不思議な男だ。
俺に対しても、へり下るような真似もしない。
かといって、おべっかを使う感じてもない。
自然体で、俺に接しているような気がする。
「久々に会った父上は、アレをよく見ておけと言っていたが。何やら、俺に足りないものを持っているとかなんとか。それは自分で考えろとも言っていたな」
確かに剣の腕も良ければ、腕っ節も強い。
それに、二層性の魔法を使えるとか。
やはり、その強さを学べということだろうか?
「しかし……どうにも話しかけづらい。セリス殿と仲が良いし、俺はきっと好かれていないだろうな。まあ、俺も獣人と仲良くしてる者と仲良くは難しいが……祖父や母上になんと言われるかわからないしな」
それにしても、セリス殿に確認したが……ただの幼馴染だと言っていた。
もし婚約をしているのであれば、流石の俺も引くことにしたのだが。
味方につけるつもりで敵に回したら意味がない。
「……我ながら酷いことをしている自覚はある」
王位につくために、彼女を利用しようとしているのだから。
俺に言われたら、彼女が中々断ることはできないと知っているのに。
無論、彼女自身は良い女性だという気持ちはある。
「しかし、どうしても力がいる。そのためには、三大侯爵家の最後であるミルディン家の力が必要なのだ」
その後ろ盾と、学生のうちに功績を挙げて……他の者達に、王位につくのは俺だということを示さないと。
そうしないと、俺には存在価値がなくなってしまう。
幼い頃から、第一王子の代わりやら好き勝手に言われてきた。
決して俺は、兄上の代用品などではない……!




