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田舎貴族の学園無双~辺境伯子息は常識知らず~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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獣人と平民と貴族

 ……はぁ、まさか女の子だったなんて。


 男が女の子をいじめるわけないって思い込んでたや。


 少なくとも、俺はそう言われて育ったし。


 もちろん、戦いとなれば話は別だけど。


真剣勝負には、男も女も関係ないからね。


「あ、あの……僕、女の子じゃだめでした? ずっと落ち込んでますけど……」


「えっ? いや、そんなことはないよ。ごめんね、気を悪くしないで」


「う、ううん、僕の方こそ言わなかったから」


「言わなくてもわかりますよー。えへへ、ユウマさんって案外抜けてるんですね?」


「はは……面目ない」


 そして、三人で食堂に入る。

 寮と一緒で受付で並んで、こちらは好きなメニューを選ぶ形だ。

 揚げ物から麺類まで様々だ。


「あわわっ、メニューがたくさんですぅ!」


「えっと、獣人だと肉系かな?」


「はいっ! お肉好きです!」


 獣人は基本的に野菜を食べない。

 人族とは違い、それを摂取する必要な身体ではないらしい。

 姿形は似てるけど、魔力の代わりに闘気を持ってるし、その生態はまるで違っている。

 基本的に森のなかで暮らすし、自給自足で狩りを生業として生きてるとか。

 それもあって、野蛮とか言われて差別が起きたりするのだろう。


「んじゃ、好きなの頼むといいよ」


「ぼ、僕なんかが良いんですか?」


「当たり前だよ、生徒なんだから。君はきちんと試験を受かってここにいるんだから」


「で、でも……」


「まあまあ、まずは頼みましょ? 後ろに人もいますから」


「う、うんっ」


 少しカレンがお姉さんっぽくて、可笑しかったのは内緒だ。

 やっぱり、面倒見がいい子なんだなって思う。




 適当にメニューを決めたら、四人掛けのテーブル席に着く。

 俺とカレンはトマトパスタ、アルトはピッグスのステーキだ。

 畑を荒らしたり人に突進したりする魔獣で、もっとも出回ってるお肉の一つだ。

 強さもそこそこで、冒険者達のいい稼ぎになるとか。


「うん、美味しい。トマトとナスがよく合うや」


「えへへ、そうですね」


「お肉美味しいですっ! あの、それってパスタっていうんですか?」


「そうだよ。ああ、獣人とドワーフの国にはないよね。基本的に、肉か酒かって話だし」


 獣人とドワーフの国ドレイク、その歴史は複雑だ。

 魔王を倒した後、今度はそれぞれの種族で争いになった。

 そして人数で勝る人族は、他種族を追いやっていったらしい。

 最終的に大陸の東南の果てに追いやられ、そこでドワーフ族と獣人族が協力して国を作ったとか。

 なので、彼らは人族が嫌いなのだろう……当然の話だね。


「そうなんです! だからこっちにきてびっくりしちゃって……狩りにも行ってないのに、ご飯が出てくるなんて。しかも、無料で良いとか」


「試験に受かった時点で、君たちの国から学費等は支払われてるしね」


「アルトさん、ドレイクはどんな場所なの?」


「えっと……こっちみたいに大きな建物はなくて、平屋の家が多いです。あとは屋台とか多いし、いつもざわざわしてます。僕はあれですけど、獣人やドワーフは声が大きいので」


 その話を聞いて納得する。

 俺の知るライカさんも声がでかい。

 同じクラスのレオン君もそうだし、アルトが少数派なのかもしれない。


「あとは海があるよね?」


「あっ、知ってるのですか?」


「まあ、獣人の知人がいるからさ」


「海……わたし、見たことありません」


「まあ、見たことない人がほとんどだと思うよ」


 何せ、この大陸には海に面してる国は《《本来なら一つしかないのだ》》。

 森や川はあるけど、高い山々や砂漠に包まれる場所が多い。

 海に面しているのは南西にあるアスカロン教会か、南にあるドレイクだけだし。

 教会は遠すぎるし、基本的に信者以外は国に入れないし。

 ドレイクは人族を嫌ってるので、そうなると我が国で見たことある人は限られる。


「どんなところなのでしょう? いつか、見てみたいです」


「うーん、使節団としていくか、お偉いさんの許可があればいけるかな。


「すみません、ちょっと難しいです。ただ、いずれはできるかなって。こうして僕たちも、この国に来れたので」


「それも、今の国王陛下になってからの政策だよね。それこそ、平民や獣人を学園に入れ始めたのも」


 名君と言われるアドラス国王陛下は、ドレイクとの関係修復を始めた人だ。

 そのおかげで、少しずつ我が国との関係性は変わってきている。

 無論、まだまだしこりは沢山残ってるけどね。


「はいっ、なので仲良くなれたら良いなって。こっちにきて、友達とかできたらって思ってました」


「じゃあ、成功だね。早くも友達がいるがいるじゃないか……ここにね」


「えへへ、貴族と平民と獣人と勢ぞろいです。アルトさん、よろしくお願いしますね?」


「ユウマ君、カレンさん……はいっ、よろしくです!」


 すると、後ろからわざとらしく声が聞こえてくる。


「おいおい、獣人と元平民と田舎貴族が仲良くしてるぜ」


「はっ、お似合いってやつだな。あーあ、庶民くさいし獣臭くて嫌になる」


「あぅぅ……」


「あ、あなたたち……ユウマさん?」


 俺はカレンが立ち上がるのを手で制す。

 ここで騒ぎを起こすと、色々と面倒なことになる。

 ここは、平和的に解決するとしよう。


「……地面よ、凍れ」


「いてぇ!?」


「何やって——あたっ!?」


 俺が設置した氷の床により、彼らが勢いよく尻餅をつく。

 もちろん、バレないようにすぐに解除する。


「何やってんだ、ダセー」


「何もないところでこけてやんの」


「う、うるせえ!」


「は、早く行こうぜ」


 大勢の前で転んだ彼らは、慌ててその場を去っていった。

 うんうん、平和的解決ってやつだ。

 無論……もっと直接的だったら、こっちにも考えがあるけどね。


「あ、あれ? 何もないとこで転んじゃった」


「ユウマさん?」


「俺は何もしてないよ」


 すると、コツコツと足音が聞こえてくる。

 振り返ると、そこにはミレーユさんがいた。

 相変わらず美人で、思わず身惚れそうになる。


「ふふ、相変わらず使い方が上手いな」


「なんのことです? いやー、危ないですね」


「まあ、いい。あれくらいなら可愛いものだ。さて、私も一緒でもいいか?」


「「はいっ!!」」


 二人がガチガチになりながら返事をする。


「そんなに硬くなることはない。こうして私と一緒に食事をすれば、少しは手助けになると思ってな」


「あっ……お気遣いありがとうございます」


「えっと、何がなんだが……」


 ……なるほど、そのために来たのか。

 平和的で、一番簡単な方法かもしれない。

 これでも何かいうやつには、容赦しなくていいかな。


「アルト、この方は王族を除けば頂点にいる方だ。その方が、君のために一緒に食事を取ってくれるってさ。そうすれば、表立ってうるさいこと言う人も減るよ」


「あっ、そういう……あ、ありがとうございます!」


「いや、気にすることはない。一応、私は生徒会長だしな。全く、困ったものだよ」


「そんなこと言ってますけど、生徒会長じゃなくても同じことしてたかと。ミレーユさん、優しい人ですから」


 なんだかんだで、俺の面倒も見てくれたし。

 今だって、俺が何もしなければ自分で注意したに違いない。


「〜!? わ、私を優しい? 生意気だとか、女らしくないと言われてきた私を……」


「はい、優しい先輩ですよ。きっと、そいつらは見る目がないですね」


「まったく、君って男は……だが、悪くないものだな」


「えへへ、ユウマさんらしいですね」


「うんうん、ほんとに」


 あれ? 今更気づいたけど……四人席のテーブルに、女の子三人に男が一人。


 気がつけば、違う意味で男子からの視線を感じる気がする。


 ……早く男友達を作らねば孤立してしまうかもしれない。







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