休み時間
そして長いホームルーム兼一限目が終わり、少し長い休み時間になる。
今日は特別だけど、普段は学校の授業は九時半に始まり、午前中に五十分授業が二回あり、その度に十分休憩があるみたい。
そのあとはお昼を食べて、十三時から外に出て十五時まで実技の授業になるとか。
「すぐには冒険者にはなれないのか。そうなると、随分とのんびり出来ちゃうなぁー。うーん、何か暇つぶしを考えるか」
「ユウマは冒険者になりたいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど。ただ、師匠の一人がが冒険者でさ。色々と話を聞いていたから憧れはあるかな。そうだ、セリスもどう? 昔はよく、そんなこと言いながら遊んでたし」
「あのね、一応言っておくけど……普通、貴族の人は冒険者にならないのよ? そもそも、卒業したら士官か事務官になるわ。もしくは跡を継いだりね。もちろん、そういう人ばかりではないけど」
「へぇー、そうなんだ。俺は領地を継ぐかわからないけど、その前に冒険者にはなっておきたいかな」
別にバルムンクを使えることが、当主の証ってわけでもない。
弟のルークが継いだって、俺的には問題ないし。
継母であるあの人も、多分そっちの方が居心地いいだろうしね。
「えっ? 長男だし、継ぐんじゃないの? 」
「いや、そうと決まってるわけじゃないし。弟は優秀で真面目だし、よっぽど俺より向いてるかもね。もちろん、その場合でも補佐はするつもり。弟の下について働くのもありかなって」
「ふふ、異母兄弟なのにそう言えるのは素敵ね」
「まあ、普通に可愛いしね。そういえば、二人には会ったことないのか。今度、休みになったらくる?」
「それもいいかもしれないわね。九月の長期休暇になれば、私も屋敷に帰ることになるし」
この学校は四月から始まり、九月で約二ヶ月……つまり60日の長期休暇になる。
そして十一月から再開し、また四月まで学校に行く仕組みだ。
地元に帰るだけで十日以上かかる人がいるので、そのような仕組みになっているのだろう。
「あ、あの! わたしもお邪魔していいですか?」
「うん? いや、俺はもちろん構わないけど。ただ、田舎で何もないよ?」
「それに、家の許可が下りるかしら?」
「それは……でも、行ってみたいです」
「それじゃ、許可が出たらそうしよっか」
「はいっ! そのためには、良い成績を取らないとですっ」
「それは私達も一緒ね。クラスが下がったりしたのに、遊ぶわけにはいかないもの」
すると、そのタイミングで鐘が鳴り、ノルン先生が戻ってくる。
というか、他の人と話すタイミングがないや。
なんか、避けられてるっぽいし。
「はーい! みなさん、揃ってますねー! それでは、早速授業を始めます! 先程言っていた、選択授業についてお話ししようと思います。武器は剣、短剣、盾、槍、弓、斧、拳の扱い。魔法は火、水、風、土、光を学んでいきます。ちなみに、闇は講義で習います」
「先生、また質問をしても?」
「はい、ユウマ君」
「俺の武器は刀になると思うのですが……」
「あぁ、珍しい武器ですよね。そうなると分類は剣になります。もちろん、刀を使える先生もいるので安心してください」
「ありがとうございます」
「いえいえ、皆さんもなんでも聞いてくださいね」
一応、剣も使うけど刀の方に慣れてしまった。
扱いがだいぶ違うので、癖みたいなものもついてるし。
「それでは引き続き……その中から、五日間ある学校の午後授業のうち、四つを選んでください。全部得意なものでも良いし、あえて苦手なものでも良いです。もしかしたら、新しい発見などもあるかもしれません。ちなみに光の日は、午後の授業はないですからね」
「先生、良いっすかね?」
「はい、リチャード君」
今度はツンツンした赤い髪の男子が手を挙げた。
確か、セリスと同じ侯爵家でドボル家だったかな。
もう、後の子達はほとんど忘れてしまった。
……あとで、セリスに聞かないと。
「俺は斧を使うんすけど、斧だけってだめなんすかね? そもそも、魔法に関しては適正がないと使えないっすけど」
「うーん、それでも構いませんよ。ただ、個人的にはおススメしないです」
「それはなんでなんすかね?」
「もちろん、一個を極めるのも大事です。ただ、それぞれの武器の特性や魔法のことを知っていたら役にたつかもしれません。例えば、その武器と自分がどう戦うのとか。魔物でも魔獣でも人でも、武器や魔法は使いますから」
「……確かにそうっすね。魔法に関しては特に」
「正解はないので、それも含めて考えると良いですね。というわけで、皆さん自分なりに考えてください。ちなみに、1ヶ月ごとに変えることもできるので平気ですからね」
ふむふむ、言ってることは間違ってないや。
俺も刀以外にも、槍とか弓はやらされたし。
その二つは刀と相性が悪いから、その特性を知るために。
それと同時に、幅広くやっても意味がないと。
得意なモノを頂点に、山なりになるのが一番だとか。
「ねえ、ユウマはどうするの?」
「どうしようかなぁ……剣は気になるし、風と水も良いし。重点的にやるか、他の属性を学ぶか」
「わ、私は、ひとまず剣はとるわ。だから、その……また剣で手合わせしてくれる?」
「もちろん、俺で良ければ」
「ふふ、約束よ」
そう言い微笑む姿は、すっかり女性的で美しかった。
ただ同時に、台詞と姿に当時の面影があって懐かしくもある。
セリスとこうして過ごせるだけで、学校に来た甲斐はあったかもね。




