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第8話 魔薬と金

投稿が不定期になってしまい申し訳ありません。

勉強が忙しくなる時期に入り、これから一年ほどは不定期投稿(月に最低二回は投稿したいと思っています)になると思いますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

 スカルの仲間の隠れ家にレナとエルミアはいた。

 家の古そうなレンガで囲まれた寂しい部屋に置いてある古臭い机。その周りを囲むように置いてある椅子に3人は座っていた。


「今スカルと行動している部下は裏切り者です」


「そうだったのか。だけどよ、なんでスカルを狙うんだ?あいつは狙われるほどの人物には見えないが」


 スカルを軽く馬鹿にするような言い方をするエルミア。そんな彼女を男は睨んだ。


「ある意味うまく演じてたって感じか......。まあ、バレてるならあなたたちに言ってもいいでしょう」 


「......?」


 レナが男の呟きを聞いて首を傾げた。


「スカルは、いえ、スカルさんは、『ブラックイービルズ』が魔人に乗っ取られる前のボスです」


「じゃあ、あんたらのボス、かなりまずい状況だな」


 男はその言葉を聞き、いつの間にか吸っていた煙草の煙を口の端から吐きながら笑った。


「あなたたちは自分の心配をした方がいいですよ。敵はあなたたちが思っているほど手強い。それに、ボスはそう簡単にやられるタマじゃ、ありませんから」


「スカルさん、そんなにすごい人だったんだ」


「全然見えなかったよな!」


 驚嘆の声を上げるレナと笑うエルミアを見て、男は不機嫌そうに口を開く。


「この話題はやめましょう。それよりも早く本題を話したい」


「本題って?」


「はぁ......。私たちのマフィアを乗っ取った魔人、『フロウ』についてですよ」


***


 街のとある場所。ここは、怯えて誰も近寄ることのできない建物。

 その一室で1人の男が酒を嗜んでいた。

 男の持つグラスの中の酒の水面が僅かに揺れると、男は立ち上がり部屋の扉を見つめた。


「何の用だ」


 男はグラスを置き、長い髪を後ろで縛りながら、そう言った。

 その声に呼応するように扉が開かれると、ロン毛の男の仲間と思われる男と、その男に首根っこを掴まれ、怯える老人が部屋へと入ってくる。


「こいつ、俺らの『魔薬』に混ぜもんして売ってやがりました」


 それを聞くと、ロン毛の男は老人の頬を手のひらでペシペシと叩きながら不敵な笑みを浮かべる。


「俺はフロウだ。よろしくな」


 老人はロン毛の男が『フロウ』と名乗った途端、ガタガタと震え始め、真っ青な顔になった。


「ひっ、ひぃ......。ゆ、許して......」


「許して欲しいのか?」


 尚もニヤニヤとした表情を続けるフロウは、老人にそう問いかけた。


「は、はいぃ......」


「じゃあ、誠意を見せろよ」


「へ?」


 フロウの唐突な言葉に老人は固まった。


「誠意だよ!誠意!反省してんだろ?」


 フロウの仲間も老人を責め立てるように大声をあげる。

 

 そして、老人は迷った挙句、床に手をつき頭を下げた。


「ハハハハハハッ!」


 笑うフロウは老人の頭を蹴り上げた。


「誠意つったら金に決まってんだろ。とりあえず金貨10枚持ってこい」


「ふぐぅ......。む、無理ですよぉ......」


 掠れた小さな声でそう言った老人をフロウは睨み、耳元で囁く。


「目玉一つ、金貨5枚で買ってやるよ」


 そう言うと、フロウは仲間に目配せをする。

すると、仲間はナイフを取り出して老人に握らせた。


「はぁ、はぁ、はぁ、許して......」


「嫌なら金を作れ」


「わ、わかりました!」


 その場をすぐにでも立ち去ろうと立ち上がった老人は、フロウの仲間に肩を掴まれる。


「や、やめてください!お金は絶対に用意しますから!」

 

「待て待て待て。お前は俺の貴重な時間を奪っただろ?」


「ひぃ、す、すみませんでした」

 

「謝罪は金にならねえ。もう金貨5枚追加で払え」


「やめてくださいぃぃ......」


「......」


 老人を見つめるフロウの目は真っ黒だった。

 突如フロウは老人の目にナイフを突き立てた。


「毎度あり。片目潰してやったんだから、それをダシに乞食でもしろ」


 うずくまる老人を無視して、フロウは酒の入ったグラスをとった。

 老人の叫び声は彼らのアジトの外にまで響いていた。


「そういやボス、スパインの野郎はどうしますか?」

 

「うちに潜らせていたアイツの仲間を殺したんだ。そろそろ動き出す頃だから注意しておけ」


「わかりました」


 フロウの仲間は叫び続ける老人を引っ張り、彼の部屋から出ていった。


***


「うぐぁぁぁぁ!目がぁぁぁ!」


 外から聞こえてくる叫び声。


「なんだこの声」


 レナとエルミアは声の方向を向く。


「という感じでフロウは容赦がなく......って聞いてますか?」


「悪かったよ、えーっと......そういや私たち自己紹介すらしてねえな」


「少し失礼でした。私はスパインです」


「私はレナ。こっちがエルミアだよ」


 レナが名前を言い終わったあと、スパインは再び話し始めた。


「それで、奴らを潰す作戦なんですが、正直のところないんですよね」


 下を向きながらスパインは言う。


「おいおい、さっき私たちに勝手に動かれたら今まで積み上げてきたものが無駄になるとか言ってたじゃねえか」


「いや、その作戦の核となる奴らの中に紛れ込ませた仲間と連絡が取れないんですよ」


 スパインはエルミアの怒気のこもる声に落ち着いて答えた。

 そんな彼にレナが一つ尋ねる。


「そ、その人たちって無事なの?」


「それを確認して欲しいんです。私は顔が割れている可能性がありますから」 

 

***


「おーい、誰かいるかー?」


 エルミアはとある家の扉をノックしていた。


「スパインさんの仲間、居なさそうだね」


 レナがそう言うと、エルミアが扉に耳を当て始めた。

 

 レナが『どうしたの?』と問いかけようと口を開いた瞬間、エルミアが彼女の口を押さえた。


「中に誰かいる......」


「えっ、スパインさんの仲間.....?」


「十中八九、マフィアの野郎だな」


 エルミアはそう言った後、固く閉ざされていた扉を思い切り蹴り壊した。


「少し遅かったですね。ずっと待っていましたよ」


 扉を開くと、すぐ前に椅子に座った丸刈りの男がいた。


「お前は私たちとスカルを襲ってきやがった野郎じゃねえか!」


「はぁ、私の名前はサリーです。それと、先日は申し訳ありませんでした。もう貴女たちと事を構えるつもりはありませんから、どうかその武器を下ろしてください」


 サリーは細い目でこちらを見ながら、そう言った。


「どう言う事?」


「あれは演技でしかなくて.......」


「なんだそれ?結局お前はなんなんだ」


「私は、悪魔を......いえ、ルシファーを殺すべく奮闘する少し魔法の使える僧侶でしかありません」


 サリーは自分の事をそう2人に紹介した。

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