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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第6章 ティルシ王国編②
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第58話 第2試合

「次は私の番ね。張り切っちゃおうかしら」


「うっほー、可愛い姉ちゃんじゃねえか。殺すのがもったいねえな」


 第二試合 メリー対第1司祭フリップ。

 

 2人は表面的に見れば、戦おうとしているような雰囲気ではない。だが、闘技場を満たすほどの殺気が彼らからは漏れていた。


「私に殺される準備はできたかしら?」


 先端に3本の針のついた球のついた鎖が繋がれたモーニングスターの柄を下から上へとゆっくりと舐めた。

 フリップはロングソードを抜いた。

 メリーは走り出し、モーニングスターを振り回す。

 

「いいねえ、やっぱり女は刺激的じゃねえと。【防御魔法 5分間の拷問(ファイブ・ミニッツ・オブ・トーチャー)】」


 振り下ろしたフリップの剣は、メリーの頭上に向かう。その剣をメリーは鎖で絡めた。


「太くて大きい......いい剣ね。でも、持ち主がそんなのじゃ宝の持ち腐れだわ」


 思い切りモーニングスターの柄を引っ張り、剣を取り上げる。剣がなくなったフリップは、素早く後ろに下がる。


「まあいいさ。俺には立派な銃があるからな」


「へぇ、あなたの銃小そうだけど」


 フリップのことを笑うメリーのクスクスという笑い声。それは銃声によってかき消され、やがて悲鳴に変わる。

 フリップが一瞬で懐から取り出した魔法銃は煙を吹いていた。


「な、なんで......まともに照準も合わせてないのに」


「俺は7メートル先まで正確に早撃ちできるのさ」


 ポタポタと垂れる血がメリーの足元を濡らす。

腹の銃傷は致命傷ではなかったものの、気を失うには十分だったらしい。倒れてしまったメリーにフリップが近づく。


「俺が愛するのはルシファー様だけ。下品な女に靡くわけないわな」


 メリーの髪を掴み、顔を持ち上げて、虚ろな目をするメリーにそう話した。


「あ......ぁぁ、許して......」


 メリーはそう呟き、フリップの頬を手で撫でる。フリップはその手を払おうと手を伸ばすと、その手をガシッと掴まれる。

 

「なっ!」


 メリーは力強くフリップの顔を自分の方に寄せ、口づけをする。


「こんな傷で意識が朦朧とする訳ないでしょ。女の嘘も見抜けない童貞さんは、私の魔法で死んじゃいなさい【精神操作魔法 調教師の口付け(トレーナーズレインズ)】」


 フリップの目からフッと光が消え、地面に倒れ込んだ。


「流石に痛いわね。はぁはぁ」


 メリーは上着をちぎり、傷口を止血する。縛った上着に滲む血は、どんどん量を増す。

 

 メリーには趣味があった。


「あなたは今から死んじゃうのよ。フフフ、可愛い顔ね」


 メリーは、いやらしい手つきでフリップの体を触る。

 今から殺す男の私物を持ち帰るのが彼女の趣味だった。

 

 しばらく探っていると、コツっと手に何か固いものが当たった。咄嗟に上着を脱がせると、8丁もの銃がフリップの体中にあるホルダーに収められていた。


「こんな重いもの抱えて戦ってたの!?」


 メリーはとりあえず魔法拳銃を全てホルダーから外す。

 

 メリーは次にズボンのポケットに手を突っ込んだ。

 ポケットの中には、異質な懐中時計が入っていた。


「何これ?何のための物?」


 確かに時を刻んでいるその時計のメモリは1から5までしかなく、普通の時計でないことは一目瞭然だった。その時計の針は、4と5のメモリの間をチクタクと動いていた。

 この時計のメモリが5のところにいったら一体どうなるのか。

 メリーの背中に寒気が走る。すぐに時計をポケットにしまう。それから十数秒後......。


 ジリリリリリリリリ!


 耳を塞ぎたくなるほど大きな音が闘技場に鳴り響く。


「何この音......」


 時計の音が鳴り終わると、フリップが何事もなかったかのように起き上がる。


「私の魔法が効かないの!?」


「もう5分たっちまったから、もう俺には効かねえ」


「いいわよ。困難が多い方が、恋は熱くなるもの」


 メリーはモーニングスターを振り回し、フリップの顔を殴打しようとする。フリップは、後方にバク転をして、懐に手を入れる。


「銃を抜きやがったな」


「ごめんなさい、私へのプレゼントかと思ったの」


 フリップは一歩前に出て、大きく足を蹴り上げた。メリーの手首をへし折る勢いで蹴られた手は、モーニングスターを手放してしまう。メリーの武器は、フリップの手に渡ってしまった。


「それじゃあこれはお返しかな?ありがとよ」


 モーニングスターを振り回すフリップに、メリーはさっき奪った銃を向ける。


「その構え方。素人だろ」


 下手くそな構え方のメリーにフリップは言った。

 

「別に動かない相手なら当たるかもしれないわよ」


「なに言ってる、俺は動き続けて......まさか!」


 メリーの銃口は観客席へと向いていた。そして引き金が引かれる。

 思わず後ろを見るフリップは気づく。


 この距離を素人がそう簡単に照準を合わせられるのか?


 観客席に座る仲間たちとメリーの間には距離があり、後ろを確認しても誰も怪我をしていない。咄嗟にメリーの方に向き直すと、すぐ目の前にメリーがいた。しかも、フリップの頭に銃を突きつけて。


「じゃあねー」

 

 パン!

 

 響いた銃声の次に、ドサっとフリップが倒れる音がした。

 

「いい男かと思ったけど、私の勘違いだったみたいね」


 メリーはハンカチで血の顔を拭い、口紅を塗り直した。



【魔法解説】


5分間の拷問(ファイブ・ミニッツ・オブ・トーチャー)

魔法を無効化する魔法。

無効化したい魔法を受けてから5分後に効果を発現する。

魔法発動時に手に現れる懐中時計が5分を知らせてくれる。


調教師の口付け(トレーナーズレインズ)

生物の自我を奪う魔法。

自分の体液を操りたい相手に摂取させることで、魔法が発動する。

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