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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第5章 ティルシ王国編①
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第52話 アキとウミ

ベルクはコルとギルドで話していた。

 3人組の男たちに襲われた次の日、騎士たちにひと通り話終わり、コルが報酬の支払いをギルドですると言ったので、ギルドに来ていたのだった。


「でも、それだけじゃ......」


「半分でいいよ。俺たちのせいで、遺跡調査中断させちゃったからさ」


 ベルクは予定の半分の報酬だけを受け取った。

 

「どうかしたのか?」


 周りを少し気にするコルにベルクはそう聞いた。


「最近、妹が冒険者になるって家飛び出しちゃって......」


「それ大丈夫なのか?」


「一応、戦えますし魔法も使えるから大丈夫なはずなんだけど......」


「いくつなんだ?俺も気にかけてみるよ」


「18歳だよ。それと、私と同じ黒髪で多分短髪だと思う」 


「わかった」


「ありがとう。じゃあまたね」


 ギルドからコルが出て行くのと同時に、受付嬢が話しかけてくる。


「ベルクさんお願いがあるんです!」


***


「えっと、俺はベルクだ。よろしくな」


「俺はオッドだ。俺の言うことはしっかり聞けよ」


 ベルクは小太りの冒険者と共に、2人の少年と1人の少女の前に立っていた。

 

 数十分前、受付嬢があることを頼んできた。


「まだ冒険者を始めたばかりの青年たちに、戦い方を教えていただけませんか?」


「いいけど......俺は1度に何十人も教えられる技量はないぞ」

 

「そこは大丈夫です。十数人の冒険者たちが協力して、2人組をつくって3、4人の駆け出し冒険者に教えますので」


「いつから教えればいいんだ?」


「今日からって......できませんかね?」


「急だな。今日はレナとオーギとケーキ作ろうと思ってたんだが、やるよ。それで、死人が減るならな」


「ありがとうございます」


 ベルクは急いで宿に戻り、レナとオーギにお金を渡して、お昼を自分たちで食べるように言って、ギルドへと戻った。


「ベルクさんこっちです」


 受付嬢に手招きされ、別室へと案内された。


「あんたがベルクか。最近人気あるらしいが、あんまり調子乗って、俺の足引っ張んなよ?」


 椅子にふんぞりかえっている小太りの男は、ベルクが部屋に入ってきた途端そんなことを言う。


「......。えっと、誰?」


「あ、今回共に駆け出し冒険者たちを教育するオッドさんです」


 絶対余り物とくっつけられただろ。こんな時にイデア(ベルクが料理を教えた受付嬢)がいれば......。

 はぁ、喧嘩にならないようこちら側が引くか。


「よろしくお願いします」


「おいおいあんた嫌味言われてんのに、言い返さないと舐められちまうぞー。はっはっはっ」


 無心だ無心。落ち着けベルク......。


 ベルクは心の中でそう思い、深呼吸をする。

 目の前の小太りの男は、まともに整えられていないヒゲを触りながら、前に置いてあるテーブルの上に足を乗せた。


 絶対教育者に向いてないだろ......。


「それでは、ギルドの訓練場に案内します」


「訓練場があったのか?」


「はい、ギルドの裏手にありますよ」


 2人は案内され、訓練場へと到着した。そして、そこにいた3人の駆け出し冒険者たちに自己紹介をした。


「俺はあの女に教えっから、あんたはあのガキンチョどもを教えとけ」 

 

 オッドがこちらに耳打ちしてくる。

 

「2人で3人を教えたほうが良くないか?」


「いいだろ別に。あんま変わんねえよ。なあ頼むよー」


「......わかった」


 ベルクは2人の少年の前に行く。

 銀髪の2人は狼の亜人のようで、アルフレッドたちを思い出す。

 

「2人ともよろしくな」


 ベルクは手を差し出し、2人と握手を交わした。

 

「僕はアキです。よろしくお願いします」


「俺はウミ!よろしく!」


 アキはウミよりも小柄で、丁寧な言葉遣いで挨拶をしてくれる。ウミは体がガッチリしていて、元気のいい挨拶をしてくれた。そして、アキはレイピア、ウミは大斧という感じで、体に合った武器をそれぞれ持っていた。


「まず、2人の力を見せてほしい」


 ベルクはあらかじめギルドから借りておいた木刀を構えた。


「遠慮なくかかってこい」


 アキとウミは顔を見合わせた後、武器を抜いた。


***


「ねえオーギ君」


 ベットに寝転がっていたオーギをレナが呼ぶ。


「なに?」


「ベルクにお昼ご飯作って持ってってあげようよ!」


「いいなそれ!フッフッフッ、ベルクは泣いて喜ぶぞ」


 2人はお金を握りしめ、外を歩く。


「でもなに作るんだ?」


「サンドイッチとかいいんじゃない?」


「具は卵とかいいかもな」


「レナは豚肉のフライがいいと思う」


「そんなものまで挟むのか」


「ベルクがね、カツサンドっていう料理の話してたから」


 2人は相談しながら材料を買い集め、宿へと戻った。


 オーギは鍋を取り出して、卵を茹でる。


「こんな感じだったよな」


 オーギは茹でた卵を取り出して、殻を剥いて潰す。


「ねえねえ、これ見て」


 こんがりと綺麗に揚がったトンカツを、レナは見せてくる。


「すげえ!」

 

「でしょ」


 それから数十分後、2人はカツサンド、卵サンド、ハムサンドを作り、ギルドへと向かう。


「ベルクさんなら、あちらをまっすぐ行った突き当たりの扉から外に出ると居ますよ」


 ギルドに着くと、受付嬢がそう言って案内してくれた。


「あっちだって、早く行こ!」


 外の訓練場に出ると、少女に指導している男が目に入る。そして、その男の方にレナが駆け出した。


「レナ!どう見たってその人ベルクじゃないだろ!」


 そんな声も届かず、レナは男の背後から声をかける


「ベルクー!」


 振り向いた男の顔を見て、レナは固まる。


「あ、間違えました......」


「可愛らしいお嬢ちゃんだね。もしかして君も駆け出し冒険者?それなら俺が手取り足取り教えてあげるよ」


「え、えっと......結構ですー!」


 レナは男から逃げ、オーギの方へいく。


「なんで間違えるんだよ。ベルクはもっとイケオジだぞ」


「なんか先走っちゃって」


「あ、あれベルクじゃないか?」


 遠くの方で、少年たちと剣を交える男がいた。


「今度こそ......。ベルクー!」


 遠くから走ってきたレナに、ベルクが気づいた。

 ベルクはアキとウミの攻撃の出だしで2人の腕を掴む。


「2人ともちょっと待ってて」


 アキとウミにそう告げ、レナとオーギに近づく。


「大丈夫?何かあったのか?」


 急に来た2人に、ベルクは何かあったのではないかと心配する。


「えへへ、ベルクにね、お昼ご飯作ってきたの!」


 ベルクはレナからバスケットを手渡された。


「......」


「ベルクどうしたんだ?」


 下を向いて黙るベルクにオーギが聞く。


「泣きそう......」


「そんなに喜んでもらえるとは思ってなかったよ」


 少し照れくさそうなオーギが言う。

 

 レナとオーギが皿などを取り出し、食べる準備を始めた。


「アキ、ウミ、2人も一緒に休憩しよう」


 5人はバスケットから思い思いのサンドイッチを手に取った。


「これ美味しいです」


「でしょでしょー」


 美味しそうに食べるアキに、レナが嬉しそうに笑いかける。


「うま!」


「わかってんじゃん!」


 ウミと肩を組み、笑うオーギ。


 そんな光景を見て微笑ましくなるベルクは、両手にサンドイッチを持ち、食べた。


「両手でサンドイッチ持って。ふふふ、なんだが子供みたい」


「いいだろ別に。楽しみにしてたんだから」


 大きく口を開けてサンドイッチを頬張るベルク。


「おいしい?」


「世界一おいしいよ」


***


 同時刻、ベルクたちのいるティルシ王国の王都レナーテの何の変哲も無い一軒家。その家には、やけに広い地下室があった。その地下は、教会のようであるが、壁中に逆五芒星が書いてあり、崇めているものは悪魔であった。


「司教様は何をお考えなのですか。あの役立たず共を任務にあてるとは......」


 1人の女が目を手で覆い、ため息をつく。


「司教様の悪口ですか?司祭様とは言え許されないことかと」


「お姉様の言う通りです」


 黒いローブを羽織った2人は、司祭と呼ばれる女にそう言い放った。


「お黙り!そもそもこの侮辱の原因はあなたたちが役立たずだからでしょ?司教様から派遣された5人の信者のうちもう3人がやられているのですよ!?」


「それはあの3人がノロマだっただけで......」


「お姉様は悪くありません!」


 司祭の女は、綺麗に整えられた髪を掻き乱し、早く行けと言わんばかりにさっきよりも大きなため息をついた。


 よくも舐めた態度を......。この侮辱、私の剣で償わせてあげる。


 お姉様と呼ばれる方の女は、心の中でそう思い、剣を抜いて司祭の女に斬りかかる。


「あまり調子に乗らないでください。【逆転魔法 鏡写しの常識(ミラーリングパワー)】」


 司祭の女が指を弾いた瞬間、女が踏み込んだ足がずるりと滑り、盛大に転ぶ。


「ちっ、今回だけはその侮辱許しますよ」


「お姉様に感謝しろ!」


「早く行きなさい。私は今から祈りを捧げるのですから」

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