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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第5章 ティルシ王国編①
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第50話 悪魔崇拝者たちの遺跡

「そろそろチーム名を考えませんか?」


 あの騒動から数日。

 ベルクの傷は癒え、冒険者活動を再開していたそんなある日、ギルドの受付嬢からそんなことを言われた。


「そこまで困ってはいないが、いるものなのか?」


「お三方は人気が徐々にでてきていますので、あった方が支援してくれる方々もわかりやすくて、よろしいかと思います」


「人気......俺の魅力が世間に知れ渡っちまうな」


「俺たち、そんな人気になるようなことしたか?」 


 ベルクはオーギを無視してそう受付嬢に聞いた。


「かなり強いですし、チームの関係もよく、それに、魔物を捌いて料理できる能力。それはもう指名依頼がくるほど......あ、忘れてました。指名依頼がきてました」


 受付嬢は紙を取り出し見せてきた。


「遺跡探索?」


「ええ、学者さんからの依頼です」


「危ないものなのか?」


「魔物が住み着いている可能性がありますね」


「その、報酬の方は......」


「数日かかる可能性があるので、かなり高いですよ。運が良ければ1日で終わりますし」


「じゃあ受けようかな」


***


「よ、よろしくお願いします......」


 依頼を受けてから2日後、3人がギルドで待っていると、黒髪の小柄な女性が丸眼鏡を押さえながら走ってきて、そう言った。


「こちらこそよろしくお願いします」


「あの、敬語じゃなくても大丈夫です。わ、私は守ってもらう側なので......」


「そうか。あ、俺はベルクだ。隣のこいつはオーギで、この子がレナだ」

 

「あ、わ、私はコル」


 4人は自己紹介を終え、目的地へと向かう。

 王都の外の、舗装されていない獣道を4人は歩く。


「えっと、今日む、向かうのは、多分悪魔を崇拝している遺跡です」


「悪魔崇拝について研究しているのか?」


「いえ、ほ、本当は嫌ですけど、でも遺跡を調べないわけには行かないので......。まぁ、嫌なし、仕事を新人だから押し付けられただけなんですけど」


 少し悲しそうな顔のコル。


「コルは優しいんだね。レナだったら駄々こねちゃうもん」


「そ、そうですかね。あ、ありがとうございます。あ、見えてきました。あれです」


 コルの指差す方向には、小さな60センチ四方ほどの立方体の石の建物があった。

 

「あんなに小さいものなのか。でも、ギルドでは数日かかるって言われたんだけどな」


「し、下に広い空間があるので」


 そう言われて、建物の中を覗くと、下に続く階段があった。


「それじゃあさっそく行くか」


 進もうとする3人をコルが引き留めた。


「ちょっ、ちょっと待って......」


 膝に手を置き、肩で呼吸するコルは、眼鏡をとって、長髪を耳にかける。少し汗が滲む額は、彼女が疲れていることを示していた。


「休憩しよっか」


 みんなで石の遺跡に寄りかかり、座り込んだ。

 ベルクはふと立ち上がり、鞄から水筒とコップ、そして布袋を取り出した。


「みんな汗かいただろ?これとこれで塩分補給して」


 ベルクは1人1人にアイスティーとクッキーを手渡す。そして、レモンを輪切りにし、コップのふちにさしてあげた。


「あ、ありがとうございます」


 コルはアイスティーに口をつける。


「おいしい......。私心配だったんです。そ、その、私って迷惑かけることが多くて、こういう依頼しても雑に扱われることも多くて......」


「こんな綺麗なお姉さんを雑に扱うなんてなんて野郎だ!」

 

 急にオーギが立ち上がりそう叫ぶ。


「そうだ!そうだ!」


 レナはコルの肩に手を回してオーギに同調した。


***


 4人は遺跡の中へと入った。

 太陽の光は届くはずがなく、頼りないランタンの灯りだけが真っ暗な通路をわずかに照らす。長年こもった空気が埃っぽい。

 

「ほんとうにいいの?地図なら私が書くよ」


 敬語をやめたコルが、紙とペンを握り目を細めるベルクに言った。


「大丈夫。こういうの好きだから」


 ベルクのその言葉を聞き、コルは遺跡の所々にある石碑を見ながら、何かを紙に書き写す。


「ねえ、何が書いてあるの?」


「知らない方がいいかも。面白いものがあったら教えるね」


 静かな遺跡には、カリカリと紙とペンが擦れる音だけが響く。


「なんか不気味だな......」


「オーギビビってるのか?」


「ち、違うし!」


「でも、魔物が出ることもあるらしいし、警戒して損はないかもな」


 そんなことを話していると、空気を読んだかのように何者かの足音が近づいてきた。


「コル下がって!」


 コルを後ろに庇い前を照らした。


「いやぁぁぁ!」


 叫ぶレナ。その先には骸骨が立っていた。


「気持ち悪っ!」


 オーギも少したじろいでしまったので、ベルクがその骸骨を斬り刻む。


「3人とも大丈夫か?」


 粉々になった骸骨を見て3人はほっと胸を撫で下ろす。


「これ料理できそう?」


 レナが意味のわからない質問をしてくる。


「仮にできたとしても病気になるぞ」


「私もベルクさんの料理見てみたかった」


「食材は持ってきてるから安心してくれ」


***


 ぐぅぅぅ。

 レナのお腹の音がお昼を告げた。


「お昼にするか」


 ベルクは鞄から食材や調理器具を取り出し、準備を始める。

 その近くでレナとコルが座っていた。


「纏う波は全てが持つ。神が前を見、後につける。悪しき波は自然へと返し、良き波は神へと帰す?どんな意味?」


 レナが勝手にコルの書いた文字を読む。


「人はね、前世の行いに応じて正のオーラか負のオーラを纏うの。それでね、悪いオーラを纏った人は昔、善行を積ませるために災害を抑えるための生贄に使われてね、来世では正のオーラを纏えるようにしていたっていうのが、今まで発見された遺跡の文献の内容だったんだけど」


「だけど?」


「この遺跡にはね、この負のオーラを纏った人を、悪魔崇拝の儀式をするための生贄にしてるの」


「オーラって見えるの?」


「見えないけど、占いでその人のオーラがわかる人たちが、何人もいたらしいよ」


「それってほんとうなの?」


「どうなんだろうね」


 ニコッと笑いコルはそう言った。


「2人ともーお昼できたぞ」


 コルは紙を片付けて、レナと共にベルクとオーギの方へ歩いて行った。

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