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君のための異世界放浪記〜奴隷猫耳少女は旅人に連れられ旅路を歩む〜  作者: みかん太郎
第1期 第5章 ティルシ王国編①
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第49話 成長の時

すっかり暮れた日は、人々を家の中に閉じ込める。

 人のいなくなった街の中を、3人の男女が1人の男を背負って走っていた。


「もう少しだよ。頑張って......」


 レナはベルクにそう呼びかける。


「あがぁう......?」


 人のいない街で、1人の人影が目の前に現れた。


「あ、あれは!シアの手下や!」


 目の前の男は酷い斜視の目をこちらに向け、涎を垂らしていた。


「うぎゃぁぁぁぁ!」


 男は急に叫び出し、4人に向かって走りだす。


「オーギ君!」


「まかせろ!」


 オーギは素早い動きで顔に蹴りを決める。

 めり込んだ頬は血を吹き出していた。


「どんなもんじゃい!」


 得意げな顔をするオーギ。だが、その顔はすぐに青ざめてしまった。


「か、囲まれた!」


 レナは周りを見渡しそう言った。周りには、先ほどの男のような人たちが数十いや、100はいた。


「ベルクは渡さねえからな」


「レナが絶対守る!」


 レナは戦鎚で、オーギは剣で敵を薙ぎ倒していく。


「俺もやってやる......俺は臆病な自分に勝つんや!【道化魔法 | 現実は喜劇よりも嬉なり(ア・プレザント・リアリティ)】」


 ラウルが魔法拳銃を取り出し、玉をこめ、正確に敵の足に打ち込んでいく。

 

「どんなもんや!うぐっ」


 ラウルの腹に、敵の手が貫通していた。だが、その手をラウルは掴み、銃を撃つ。腕が抜けた後の腹は、あっという間に治ってしまったり


「まだまだやで!」


***


 幸先のいいスタートを切った3人の戦いは、徐々に減速し、レナは足をくじき、オーギは腕を怪我して、ラウルは魔力がほとんどなくなっていた。


「3人とも......よく頑張ったな」


 ベルクは立ち上がっていた。


「ベルクだめ!」


「そうだよ!」


 ベルクを寝かせようとする2人にベルクは続ける。


「2人がどう思っているかわ分からないが、俺は2人の親なんかになれればなんで思ってる。だから、レナとオーギに守られてばっかじゃ面子がたたないだろ?」


 ベルクは手を前にかざす。


「お前らよくもやってくれたな......【禁忌魔法暴食の業火(グラトニー・ファイア)】」

 

 1人の敵がベルクの手から放たれた炎で燃え出す。その炎は燃え広がり、立っているのは4人だけとなった。

 そして、ベルクは振り向き言った。


「どうだ?かっこいいだろ?」


 少しふらつくベルクが微笑んだ。


「はぁ、感動シーンとか私泣けないタイプなんですよね」


 ベルクは後ろから来ていた増員に気づかなかった。


「「ベルク!?」」


「シア!やめろ!」


「お馬鹿さん4人組は、私のおもちゃがもうなくなったと思っていたんですか?可哀想に......。はぁ、じゃあ死んでくださいね。安心してください。ベルクさんは有用に使わせていただきますから」


 

 4人が生まれる前。魔法学会で、1人の魔法の発現条件を調べる研究者がひとつの説を提唱した。

 

 大切な人を守るため、過去の情けない自分を変えるため。そんな何かしらの自分を変えたいと思う強い気持ちが、その勇気が魔法の恩恵をもたらすのだ。


 かつて学会で笑われたこの説は、あながち間違いではないのかもしれない。



「シア、お前との因縁に決着をつけてやる。【道化魔法 睡蓮が咲く(デストラクション)】」


「ベルクは俺を救ってくれた。今度は俺の番なんだ!【生命創造魔法 自由なる逃避行(フリー・トゥー・フリー)】」


「ベルクはレナに優しさを、愛を教えてくれた。大好きなベルクを傷つける奴は許さない!【水魔法 地動鎚(サイスミック・ハンマー)】」


 ラウルが指を鳴らすと、目の前が爆発し、煙幕が立つ。その煙幕が消えると、目の前に髑髏マークの書かれた爆弾の山が現れた。


「俺は俺の手で喜劇を演じていくんや。道、開けろや!」


 爆発する爆弾は、敵たちを粉砕していく。


 その横でオーギが剣を地面に落とし、両手を広げて、手を握り、ぐっと引っ張った。すると、敵たちは何かに足を引っ張られたように転んでしまう。


 その隙にレナは戦鎚を地面に叩きつけた。すると、地面から水が吹き出し、敵を粉々にしてしまった。


「な、なんで?私は......まだ資金が溜まってないのに......」


 シアは頭を抱え唸る。


「はぁ、もういいです。私を殺したいんでしょ?さあ、早くやってください」


「俺はシアと一緒に騎士団に行くわ。罪を償たいんや」


「今更、罪を償えるとでも思ってるんですかぁ?早く殺せよ!この腰抜け!」


「そうやな。俺は......たくさん殺したな。この償いが俺の勝手な独りよがりやったとしても、それでも、意思は変わりはせえへん。何もせず逃げ続ける自分にはもう戻りたくないんや」


 ラウルは、シアを拘束して行ってしまった。


 残されたレナとオーギはベルクに肩を貸して、治癒院に向かった。


 夜深かった空は、明るくなりつつあった。

 夜明け前が1番暗い。それを乗り越えた4人は、朝日に照らされた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

ついに5000pvを達成しました!総合評価の変動は少ないですが、pv数は着実に増えてきているので、すごく嬉しいです。

これからも応援よろしくお願いします!

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